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【『手帖』と手“帳”(18)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 18日目)

昨日はナミイタに行って、現状、捨てられるだけのゴミ(の詰まったガラ袋)を荷台に放り込んだトラックを見送る。その時トラックを運転しているのはツルオカさんで、先ほどまでは荷台で受け取った荷物を均していた、助手席の、アトリエ・トリゴヤの吉川さんは、脚立の上でゴミを待ち構えており、“アルミマン”こと飯島さんに、トリゴヤ/ナミイタと隣りあっていた作庭工房(も焼失してしまった)のイトウさんが寄せてくれた袋を吉川さんへ渡すのが、私のこの日の役目だった。ナミイタ管理人の東間さんは、手続きの関係でトリゴヤメンバーの石黒さんと作業の合間を縫って出かけており、この時はいなかった(14時頃、送り出したトラックと、ちょうど同じタイミングで帰ってきた)。

元々、石黒さんのアトリエがあったところは2月頃には撤去されて(長廻さん、ナミイタで昨年真夏に個展をやった作家さんがその時、トタンの壁をすごいスピードで剥がしていた)、それ以降は庭園の休憩スペースのごとく、低めのテーブルと、椅子が4、5脚置かれている。もう散ってしまったけれど桜がその上に枝を広げていて、うららか、というには日が強いけれど、それでものどかだ(チョコレートの袋に、蟻が侵入を試みている)。こうやって集まって片付けるのも今日で終わり(あとは個々で、必要なものを持ち帰る)らしいから、トリゴヤ/ナミイタに来るのも、何かなければこれで終わりだ。トリゴヤ/ナミイタの、燃え残った“顔”をスマホで撮って帰る。最近ようやく、燃えた後の姿を撮る気になってきていた。

今日、目覚めて数分で愛媛・高知の地震を知る。昨年末にはトリゴヤ/ナミイタ、年始には能登と、性質は違えど災いが続いていて、知り合いが増えたからこそ心配も増える、というより、今までがあまりに他人事だったのだろう。
美術を、奥多摩を通して知り合ったImabari Landscapes の周山さんに思わずメールしてしまったが、「お役に立てることがあれば~」という、自分の言葉に自分で幻滅してしまう。本当に行ったら迷惑なだけだろうが、トリゴヤ/ナミイタのように、パッと行けるような距離だったら。「物理的な距離があっても、心理的な距離が近ければ遠くない…」という、佐塚さんが以前口にしていた(そしてどこかに書き記していた)言葉が、うろ覚えな引用となって頭をよぎる。(続く)

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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