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【『手帖』と手“帳”(13)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 13日目)

昨日12日は、代官山~恵比寿~大久保とギャラリーをハシゴした先の早稲田「あかね」さんでツイキャスに出演させてもらうことになっており、開店の19時ちょっと過ぎに入るとすでに4人の方がいて、「平岡さんですか」と聞いてくださったのは赤木さんという方だった。
これまで、知っていたものの来たことのなかった「あかね」さんと私を結びつけてくれたのは詩人の渡辺八畳さんで、この日はその渡辺さんと、「あかね」の坂本さんという方と3人で話す…がまだおふたりは来ていなかったのでとりあえず、勧めてもらったソファに座ってジンジャーエールを飲みながらぼーっとしている。
隣に、女性の、スタッフさんと思しき方が座ってたばこに火をつけるが、たばこの香りにうっすらと懐かしさを覚えるのは亡くなった母方の祖父が吸っていたためだ。しかし、吸っている姿がほとんど記憶にない…のは小児ぜんそくだった私を気遣って、長期休みの度に7日ほど泊まるその間、家で吸っていなかったらしいからで、タバコを静かに吸っている人を見ると、なんとなく祖父がひとり、部屋で煙をまとっている背中を想像してしまう。
そんな私はさぞ反応の薄い聞き手だったろう、目の前では音楽談義が交わさせれており、その間にも渡辺さんと坂本さんがやって来てもじもじと挨拶をする。

そこからの配信については、

https://twitcasting.tv/waseda_akane

を見てもらえれば嬉しいけれど、ちょうど「あかね」壁面に展示されていた雨々ひかりさんが、人の臓器と魚(あるいはクリオネ)の出会い…なのかすれ違いなのか紙一重のように、代官山で見た佐々木成美さんの作品では単行本サイズの分厚いキャンバスから咲きかけのチューリップ(の陶器)が生え伸びているが、それは、「岩の上で日向ぼっこしているトカゲが、岩を岩として認識しているのか?」(『暇と退屈の倫理学』より、おそらくユクスキュルからの引用だから私のは孫引きだ)ということとも通ずるかもしれない。
対して、高田マルさんは恵比寿・ナディッフの壁面に直接で線を引いていて、折れたのか、単3と単4電池の間くらい太い鉛筆の芯が落ちているし、壁際には鉛筆の粒子なのか、消しかすなのか、黒いものがうっすら積もって線を成しているそれらは壁ー鉛筆ー作家という出会いの跡だ。
さらに、大久保・callboxで見た“楡木真紀”さんの「ボールペンをカチカチと鳴らしながらギリシャのたぬきを再起動して登下校した50年間」みたいな言葉の作品も、おそらく出会わなかっただろう単語、概念たちをぶつけていて、「あかね」でのトークも、限りなくある出会いのグラデーションの中のひとつだったし、その合間には『手帖 3月号』として、3月20日と17日に見たものを接続していた(続く)。

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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