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『手帖』と手“帳”(8)

『平岡手帖』のクラウドファンディング( https://camp-fire.jp/projects/view/747748 )が4月1日から始まりましたが、最終日の30日まで、毎日、【『手帖』と手“帳”】と題したコラムの連載(ごっこ)をしていきたいと思います。
前回投稿については、平岡の各種個人アカウント(Instagram/Facebook/X)やnote( https://note.com/nozomu_h )を、クラウドファンディング全体の詳細については下記、あるいは @hiraokatecho をご覧ください。

この“コラム”では、

①『手帖』について(特に、現在構想中の3月号を通して、いかに書いているのか)と、

②投稿日当日や前日のこと=私の実際の手“帳”(A5判のコクヨ製キャンパスダイアリー)に書き込まれた、『平岡手帖』4月号として綴られるはずの出来事

の二つを紹介していきたいと思います(特に4月号は、定期購読していただけた方へ初めてお届けする本になります)…

昨日、4月7日に行った『爆睡蓮(バクスイレン)vol.12 Public Double 「あなたと世界との関係 その1」』というイベントでは、山岡さ希子さんのインタビュー映像作品《Public Double A》および《B》がまず上映されたけれど、昨年10月にも「Women's Lives 女たちは生きている」展で、今年に入ってもYouTube(https://www.youtube.com/watch?v=fhOG5yLbX7w https://www.youtube.com/watch?v=egDnf_5hGpw )で見ているのに印象が全然違うのは、初めて複数人で鑑賞したからだろう。
「Women's Lives」においては、ちゃぶ台めいた低めの台に置かれたモニター、その前に1枚だけ敷かれた座布団に座り、ヘッドフォンを着けて見ていたから、画面内の話し手と向かうあうような(すなわち聞き手である山岡さんの視点と重なるような)親密な距離感だったし、YouTubeについても、自宅のPCで、イヤホンで視聴したからほとんど状況は変わらなかった。
昨日はスクリーンに投影されていて、私は最前列、向かって右側のクッションに座っていた。1個空けた左隣りのクッションにもお客さんが体育座りをしていて、左奥のソファには一条さんが座っている。クッション~ソファの最前列の後ろにはスツールが数種類(座面が高くてすらりとしたもの、逆に低くてどっしりしたもの、座面がビニール張りのもの…)、ゆるやかな放射状を描いて10脚弱並んでいるが、その真ん中やや左よりには牧田さんが、その斜め後ろあたりには北山さんが掛けている。山岡さんは私の後ろのテーブルでPCを操作していて、共同企画者の佐野佳子さんは出入口寄りに立っている…ということは映像を見始めたら分からないが、それでも同じく最前列の観客は常に目の端に捉えているし、気配だけなら伝わってくる。大げさに言えば、それまでは、例えば「国家や社会の役割は何でしょう。」という映像中の問いに対する話し手の答えと、その問いや答えに対する私の反応(そして時折挟まれる山岡さんの相槌や返答)だけで世界が成り立っていたが、そこに今、隣の人は、斜め後ろの人は、この問いについてどう感じているのだろうという複数の経路が開かれた。

その後、映像を見て感じたことや、思い出したことをみんなで話した(その時、スクリーンはすでに片付けられていて、みんなで車座になった)が、私は、イベントとは無関係な、環境的要因で半ば固まっていて、“公共の”場で公共について考える難しさ、そこにはある種の“図太さ”…外からの声を気にせず自分の声を発すること、自分の声が知らない誰かに聞かれうる(そこから関係が生じうる)可能性を恐れないことが必要なのかもしれない…と考えていたが、それを山岡さんに話すまでに、イベントは終わり、ベンガル料理も食べ終えていた。

しかしそれは、私にとってはまだ上出来な方で、瞬発力に欠けているから何かを言いたい、その何かが整った頃には言う機会を逃している。文章を書いているのは、そうした“周回遅れ”の言葉を、周回遅れのままでいいからコース上で走らせたいからかもしれない。

…今日明日は、基本的に家で『手帖 3月号』を進める気持ちだけれど、大久保のcallbox(最小のギャラリーらしい)で、今日から1週間、日替わりで“7名”の作家が展示をするそうだから、日曜日までできるだけ追いかけたい。(続く)

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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