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【『手帖』と手“帳”(17)】(美術鑑賞の日々を小説風に綴る月刊誌『平岡手帖』クラウドファンディング 17日目)

罹災後のナミイタにお伺いするのは何度目だろうか、昨年の大晦日、燃えてしまってから(たしか)3日目の様子は、フィルムの傷んだ白黒映画に迷い込んだようで、すでに駆けつけた藤巻瞬さん(ナミイタで個展も開催した、ゆかりのある作家さん)が、堆積した炭の層にスコップを突き立てていた…

ところから3ヶ月ちょっと経った。この前手伝いに行った先週4月11日には、もちろん、まだゴミがたくさんあったけれどそれらの多くはガラ袋に入れられて分別されており、あとは“裏山”を切り崩す…というわりと最終段階まで来ていて、作る人は片付ける、仕舞うのも上手いのかもしれない。

今日はもちろん手伝いに行くのだが、残り少なくなったトリゴヤ/ナミイタにお伺いできる機会(跡地には再建されない)を逃したくない気持ちもあるし、東間嶺さんにお願いしていた、クラファンの返礼品を受けとる、という実際的な理由もある。

東間さんの返礼品は、ナミイタで、これまで展示の度に作られていたポストカード(これ自体、入場料に対する返礼品であった)の体裁を踏襲していて、ナミイタファンの私からすると夢のようだ(そもそも、この『平岡手帖』自体、好きな作家さんから誘われる…という妄想みたいな話だが)。
ポストカード裏面に付された文章は、私が『平岡手帖 12月号』の一部分として書いたもので、特にその月は、トリゴヤ/ナミイタの件があった直後だから、この顛末を、片付けの進捗も、書き残せる範囲で書き残したいと思って全体の4分の1くらいナミイタのことを書いた(気がする)。
当然『1月号』にも、『2』『3月号』にも書いていて、『4月』にも登場する予定だが、それは私がナミイタの“常連”だった、という関係性の反映で、『平岡手帖』では、出来事の大小、“美術史”的重要性の判断は読者の方に任せて、個人的で偏った視点のまま書いていきたいし、当然私だけでなく色々な方が、そうした視点を文章で、あるいは別の方法で残していったなら、そこは豊かな世界だと思う。「なんだ、このぐらいなら自分でも書けるや」と思ってもらえたら、嬉しい。

そんな『手帖』だが、ようやく『3月号』が書き終わりそうだ。(続く)

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【クラウドファンディングはじまります!】

本日から『平岡手帖』定期購読者を募る
クラウドファンディングを開催いたします!

詳細は「平岡手帖」アカウントプロフィールに記載のURLからご確認ください
@hiraokatecho

○『平岡手帖』
○場所:CAMPFIRE
○クラウドファンディング期間:2024年4月1日〜4月30日(予定)
○目標金額:170万円(定期購読者300人)
○企画:平岡手帖制作委員会、ハンマー出版、額縁工房片隅

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『平岡手帖』について。

1年のうち300日以上を美術に出会うために歩き回っている平岡希望さん。ここ数年は、毎年600カ所以上の展覧会に足を運び、その空間とそこにある作品1つ1つを熱心に鑑賞している。その動向はSNSでなんとなく目にしていた。最近では、かなり長い文章で美術との出会いを克明に記している。しかし、平岡さんの全貌は謎に包まれている。日々どんな生活をしていて、どんなふうに動いて、なにを考えているのか。そして、その美術への熱量はどこからくるのか。僕はずっと気になっていた。美術と出会うために、全てを注ぎ込んでいるような人。そんな人が、1人くらいこの世の中にいてもいんじゃないか。いや、いてもらいたい。そして、そんな生き方を応援したい。そんな思いを数人と話しているなかで、平岡さんの手帖を公開して、日々の美術との出会いを記録発信していく『平岡手帖』という企画は面白いんじゃないかという話になった。平岡さんに話してみると、ぜひやってみましょう、という事になった。展覧会とは、オーロラのようなものだ。その時その場所に行かないと出会えない。そして、その一瞬の会期が終わると風に吹かれた塵のように消え去ってしまう。そんな儚い展覧会というもののアーカイブとして、この「平岡手帖」が、もし5年、10年、続く事ができたならば、未来において日本の美術シーンを語るうえでの重要な資料になるのではないかと夢想する。そして、美術に出会うために自らの全てを注ぎ、歩き回っている1人の人間のドキュメンタリー・ノンフィクション小説として読むことも出来るだろう。平岡さんの1ヶ月を1冊の小説のような形にまとめて、それが1年間12冊、毎月送られてくる。今回のクラウドファンディングでは、そんな『平岡手帖』の定期購読をしてくれる人を募りたい。

この「平岡手帖」を定期購読するという事は、少し大げさかもしれないが、美術という1つ1つの小さな出来事を、1人の存在を通して美術史に小さく書き残していく、そんな事への協力になる。ぜひ、多くの方に平岡さんのそんな生き方を応援してもらいたい。

きっと今日も平岡さんは美術に出会うため歩き回っている。こんな人この世の中になかなかいないと思う。だからこそ。ぜひ『平岡手帖』の定期購読をしての応援、よろしくお願いいたします。

(平岡手帖制作委員会_佐塚真啓)

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