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【予算850億の元バイヤーが解説】遂に商品作りました。ワクワクが止まらない。其のニ

こんにちはのじです。
(私の記事は #NP企画  で検索できます)

大手ドラッグストアで10年化粧品バイヤー、1年半雑貨のカテゴリーマネージャーをしてました。辞める年は850億の予算を管理してました。

今は化粧品メーカーでマーケティング本部のディレクターをやってます。

前回其の一で実際にシャンプーの商品開発をした事を報告しました。

『ソイアミ モイストシャンプー』

其の一はこちら↓
【予算850億の元バイヤーが解説】遂に商品作りました。ワクワクが止まらない。其の一|のじ(ノジプロ企画)|note(ノート)https://note.mu/npkikaku/n/n40dd3958cd8b


今回からは発売に至るまでの戦略や他の企業にも応用できる考え方を公開していきます。

今後の内容と掲載日


▪️何を作るか? (其のニ)5.10
▪️ターゲットをどうするか? (其のニ)5.10

▪️どんな差別化を図るか? (其の三)5.18
▪️スケジュールの決め方 (其の三)5.18

▪️販売戦略の決め方 (其の四)5.25
▪️プレゼンで意識したこと (其の四)5.25

▪️見込みと商談後のギャップ (其の五)6.8
▪️まとめ&今後のプラン (其の五)6.8

①何を作るか?

前職を辞めて有給消化中の空いている時間に色んなドラッグストアの棚割を見て回って、この棚にはこんなのあったらいけるかなという商品企画案を7つ考えていました。

入社して実際に進めたのはそのうち3つでしたがその中で1番注力したのがヘアケアでした。

理由はいくつかあるのですが簡単に言うと

『自分と自社の強みを活かせる』点と
『カテゴリー特性』を考慮して

差別化できるコンセプトと価格に見合う品質があれば売れる可能性があると判断したからです。

また7つ企画して3つしか進めなかったのは手が回らないからではありません。

実は入社してすぐに自社の強み、弱み、あるべき姿、改善策、改善の期日を表にまとめました。それと同時にベンチマークする企業の強み、弱みもその横に記載しました。

その中でこの商品は今戦っても勝てる可能性は少ないというものは保留にしたからです。


それらは戦える環境を整えた地点で進めていこうと思っています。

売れなかった商品の特徴については別のnoteを参照ください。↓

以下に私が書き出した自分と自社の強みとカテゴリーの特性の一部を紹介します。

自分の強み


①市場状況や競合情報を熟知している。

②多くの商品を日本一販売してきて売れる商品、売れない商品の特徴を知っている。

③棚割の作り方、考え方がわかる

④業界内に知り合いが多い

自社の強み

①ヘアケア開発のノウハウがある。

②SNSの販促のノウハウがある。

③問屋さんとの関係性が非常に良い

④バラエティショップの販路に強い

⑤決断までのスピード感がある

⑥柔軟性が高い

カテゴリー特性

①世帯浸透率、使用頻度が高く市場規模が大きい(年間約2000億)

②大手以外でもコンセプトや使用感が良ければ消費者に受け入れられる

③市場が大きい上にロングテールのためシェア1%でもビジネスとして成り立つ

④参入しやすいが棚の競争は非常に厳しい

⑤付加価値品を継続的に売るには販促投資が必要のため販促費が少ないPBは育ちにくい

⑥棚に300~450品位採用している企業が多い

売れなかった商品の特徴については別のnoteを参照ください。↓

①の結論

『自社・自分の強み』×『カテゴリー特性』の2軸で判断する。

市場に詳しくない場合は、自社に近い規模感のメーカーの商品が5品(ブランド)以上あれば、そこはやり方とコンセプトの差別化次第で勝てる可能性が転がっていると思って良いです。

参考までに

私があまり詳しくないカテゴリーの場合は以下の3つの方法で勉強します。

①色んな企業の棚を見に行ってどんな商品がいくらで並んでいてどんな特徴があるかを調べる

②知っている人にお願いして教えてもらう

③インターネットで調べる

③の中でも結構使えるのが総務省のデータです。
裏付けや仮説を立てるのにおすすめします。

総務省統計局サイト

荒木さんのサイトに総務省にどんな統計があるか紹介してくれています。

②ターゲットをどうするか?

結論から言うと20代~40代(メインは25~44才)の髪のパサつきに悩む方をターゲットにしました。

髪のツヤが気になる方、地肌が気になる方、香りを楽しみたい方も見ていません。


もちろんそれらの悩みにもある程度対応できる品質にしますが、そこをあれもこれもと欲張ってしまうと軸がブレてしまうので見ない事とします。

そしてお客様にもメッセージを届けるために商品名にも敢えて『モイスト』の名前をつける事にしました。

売れない商品の特徴の1つにターゲットがあいまいと書きましたが何故ターゲットを明確にする事が必要なのかを説明します。

ターゲットを明確にするとはつまり『買っていただくお客様を決める事』です。

これはブランディングやマーケティングだけでなく、デザインや販促などあらゆるビジネスのスタート地点となり、迷った時に確認する場所になります。

ターゲティング戦略の間違いは、その後のプロセスも全て間違ってしまうので簡単なようで難しく非常に重要な部分です。

ターゲットを広すぎると誰にも響かない商品となってしまいます。

ターゲットを絞ってあなたのための商品はこれですと言うメッセージが伝わる事が重要です。
つまり私のための商品と認識してそこに感情移入してもらう必要があるからです。

特に最近は昔と違って情報が溢れていて、みんな向けの『憧れ』ではあまり商品は買ってもらえません。

では何が必要かと言うと

自分向けの『共感』です。

分かりやすい例で言うと昔は国民的な歌手や歌がありましたが、今は特定の人にガツンと刺さる歌手や歌が売れています。

ターゲットじゃない層からみたらどこがいいのかわからないけどドーム公演が満員にするだけのファンを抱えた歌手はたくさんいます。

ただしターゲットを絞り過ぎて地元の公民館が埋まるファンだけではビジネスは成り立ちません。

経験上ドラッグストアで商売を成り立たせるにはターゲット層の人口が1000万人位(人口の1割位)を目安にした方が良いと思います。

あくまで開発前の目安なのでターゲット外の方も購入する率は無視してもらって構いません。

今回の私の商品は

20~40代女性の人口が約2200万人
上記世代ドラッグストア利用率97%
シャンプーを使ってる人が99%
髪の乾燥に悩む方が約50%

でターゲット人口は1050万人位となります。

仮に女性向けのフケ用シャンプーを作る事にしたら髪の乾燥に比べて悩みの比率が大きく減るため年齢層の幅を広げていかないといけません。

そうなると当然デザインや販促も万人受けにする必要があります。

もしインスタ映えするキラキラしたデザインの容器やSNSに特化した販促をしようとしたら響く層がビジネスになる規模ではないのでやめておこうと言う感じですね。

②結論
年代、悩み、嗜好などの属性などでターゲットを絞ってどんな人向けの商品というメッセージを明確にして共感を呼ぶようにする。
ビジネスが成り立つレベルとしてターゲット人口は1000万人を目安にする。

ヘアケア、20代~40代の髪の乾燥に悩む方が決まったら次はどうやって競合品と戦うか、差別化を図れるかを決めていきます。

其の3につづく(5.18リリース)

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最後まで読んで頂いてありがとうございました。

のじ

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