見出し画像

労働で人間の価値は生まれる

就職(採用)試験は、なぜ筆記試験だけで採用が決定されないのでしょうか。
素朴な疑問です。。。
私は、その理由として人間がもっている真の価値は「筆記試験」だけでは、その能力をはかれない、と人間自身が自覚しているからではないか、と考えてきました。

産業人のほとんどが、元来、学校で学ぶ勉強と仕事をおこなっていく能力には、比例する部分もあるのですが、相違する部分もあり、筆記試験だけでなく面接をとおして、応募する人間から受ける全体的な印象(かなり漠然としていますが)を把握することで、最終的な合否を決定しようという人間がもつ習性によるものだ、とみてきました。

簡単な言葉で言えば、「相性」になりますか。

筆記試験で基礎的な能力が把握できれば、その後は、企業が独自にもつ特性(人間でいう個性ですが)に合うか、合わないか、といった視点になります。
だからこそ、面接試験の不合格を、応募者は、いつまでも引きづらいないようにしてほしいものです。
もっとも、筆記試験(基礎的能力)は、普段に努力する以外に向上させる方法はありませんが。。。

私は、現行の採用方法にも、いくつかの問題点があると考えています。
企業は、もともと社会を構成する一員です。
企業内の構成は、本来、社会の構成と近似値になるように構築することがベストですが、日本人の場合、私も含めてブランドに弱く、つい自分に自信がもてないものですから、あるいはわが社では有名大学出身者が当然入社するものだ、といった考え方をもつことによって、結果として有名大学出身者を採用し、その数が増えていくように思っています。

現在、優良企業と言われている会社ほど、実際は、世の中をつくりあげている社会を構成する枠組み(社会がもっている基本的な構成)から遠ざかっているように思えます。
このことが、製造業衰退の一因(本当は本質的な原因)になっているのかもわかりません。
産業だけでなく、政治などを含め、多くの社会を構成している各機能が同じように劣化、衰退してきています。

これまでの経済成長が、皮肉にも進学率を上げ、誰もがホワイトカラーとして生きていけるという幻想を、罪もなく創りあげてきました。
第二次産業が絶対的に我国を支えていた時代でも、同様ですが、現在言われている産業のサービス化とは、誤解を恐れずに言えば、まさに仕事の内容がブルーカラー化するということかもわかりません。

実は、我国は、産業におけるブルー化部分が得意な国なのですが、妙に諸外国と同じように創造的な国になれるという幻想があるようにみえてしまいます。
もともと特殊な能力が育ちにくい我国では、知的産業ではなく、体を使った人間本来の仕事が一番むいていると感じます。
誰も、わが国が知的立国になるとは言わないでしょうし、恐らくこれから先も、我国が生きる道は知的立国だなどと想像だにしないのではないでしょうか。
しかし、産業のサービス化は、悪いことばかりではありません。
資本集約型の第二次産業のブルー化部分に比べて、産業のサービス化という土地は、誰もが耕すことができる広大で、そこそこ肥沃な土地でもあります。
いわば誰もが、起業し経営者として耕すことができる土地(インフラ/チャンス)が、目の前にあるということではないでしょうか。
人が減少する社会では、確実に労働に対する価値が生まれてきます。
このような社会でamazonの配送は、いつまでも今の無料配送が続くわけはなく、いずれPrimeの年間プランは大幅に上がっていくでしょう。
私には、その覚悟ができています。
人がもつ労働の価値を尊敬している一人だからです。

現代は、資本が少なくても事業を立ち上げることができる社会です。
物事は、起こっている事象を両面(複眼)でみることが、とても大切です。
こうしてみると、現在起きていることにも意味があり、それに早く気づいて、進化論ではありませんが、このような環境に適応する能力がある人間が、どうやら次代を切り開いていくということになりそうです。
このことは、より本質的なところでみれば、いつの時代でも、変化が人や社会を変えるということでは同じではないでしょうか。

それにしても人口減少からか、あっという間に就職活動は売りて市場になっていますから、むしろ個人も企業も注意が必要です。
このような環境は、企業のなかにおいて採用者を大切にしすぎることで事業運営をむずかしくさせます。
他方、社員は、仕事の本質をつかみ取ることができずに、仕事をするようになっていきます。
さらに転職などが、活発化し、社会の流動性が高まることはよいことですが、社会全体からみれば、社会が本来もっておくべき基礎的な力がひ弱なものとなり、国全体においては、必ずしもよいことばかりではないでしょう。
いずれにしても、個人も企業も予測が難しい時代を迎えたようです。
企業においては、このような時代の中で、どのような立ち位置で経営をしていくかが、今まで以上に問われることになるでしょう。

柔軟性がある企業は、どのような時代でも生き抜いていくことができます。
理由は、時代を意識することなく、柔軟性があり、オリジナリティがある経営を、日常的におこなっており、そして人を引き付ける魅力をつくっていき、売り手市場でも買い手市場を維持していくことができるからです。
企業がもつ本当の魅力とは、ということを考えてみるには、採用活動は企業の立ち位置を明確にしてくれるひとつの指標になっているのかもわかりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?