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私の好きなお寺

京都に住んで初めての秋なので、紅葉を楽しみにしていた。
なかなか色づかないなぁと思っていたら、ここ1週間ほどで急に鮮やかになってきた。
そこで、在宅勤務の日の昼休み、真正極楽寺真如堂に行ってみた。
真如堂は家から近いので、時々散歩に行くお寺。春の桜も初夏の新緑もきれいだったけれど、紅葉の時期は一番と聞いていた。

空は高く青く、日差しが肩を温める。そして、風はおだやか。そんな気持ちのよいお昼過ぎだった。

参道。ここは日陰で、紅葉はこれから。
三重塔。

住宅街の中にあって、普段は静かだけど、この日はそれなりに参拝者がいた。カメラを持った人、着物姿の人。
それでも、本堂の左手に回ると、そこにはカエデの木がないからか、ひと気がなかった。
池があって、松などの植え込みがある。このあたりは、いつもよい香りがする。本堂の障子が開いているところから漂ってくるのだと思う。ご本尊の前に供えられた線香なのかもしれないが、線香という言葉の辛気臭さにはそぐわない、しっとりと優雅な香り。
池のそばに立って、向こう岸のカエデを眺める。ここなら、誰かとぶつからないか、撮影の邪魔になっていないかと気にすることもなく、好きなだけ見ていられる。

正面から本堂に入って、お参りをすることもある。靴を脱いで階段をのぼり、畳敷きのお堂に上がる。少し暗い。奥のほうや天井の隅の暗さは、何年も前からそこにあるんじゃないかと思う。
ちらほらとお参りして行く人がいる。皆慣れた仕草で、よく来ているらしい様子。

今まで住んだところでは、散歩をするのは公園や遊歩道だった。京都に来てからは、このお寺に通うようになった。
季節が感じられて、静かで気持ちが落ち着く場所。自然と足が向く場所。



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