初めて交通事故に遭ったら①

第0 はじめに

初めて交通事故に遭って何をすれば良いか分からない、あるいは、事故に遭ったら何に気をつけたら良いか分からない、という方向けの投稿です。事故当日はもちろん、その後数日間は、特に、不安な日々を過ごされると思いますので、一助になれたら幸いです。
なお、交通事故は、後で述べるとおり、ご加入の自動車保険に弁護士特約が付保されている場合があります。相手方本人や保険会社との交渉、そして訴訟追行等に関する弁護士費用や実費の支払いが保険の対象となります。一般に、慰謝料としてもらえる金額は弁護士に依頼した方が上がることもありますので、積極的にご依頼を検討されることをオススメします(お知り合いの弁護士さんでも良いですし、私を含め、ネットを通して探されたり、保険会社さんから紹介してもらったりしても構いません。)

第1 最初にするべきこと

1 相手方の連絡先を確認

 事故直後は、突然の出来事で冷静に物事を考えることができないでしょう。
 しかし、交通事故は、それまで面識がない相手方とのトラブルですから、後から調べるというのは非常に困難を伴います。相手方が任意保険に加入してない場合、直接相手方と交渉しなければなりませんので、相手方の連絡先・電話番号はもちろん、加入してる自動車保険、住所、氏名、車の所有者、(車が社用車であったり勤務中の事故である場合は)勤務先、(相手方の対応に疑義がある場合は、可能であれば)両親などの連絡先を、聞いてみましょう。

2 事故現場や車を撮影

 多くの方はスマートフォンを持っており、撮影は容易だと思います。お互いの車やその損害部分をしっかりと撮影しましょう。
 損傷部分を拡大して撮影するのと、ナンバーを含めて車全体を大きく撮影するのがポイントです。
ドライブレコーダーも上書き保存されるのでしっかりパソコンで保存する等しましょう。防犯カメラの映像も、店舗駐車場の映像は消される可能性があるので、お店に頼んで残してもらうことが賢明です。

 事故現場に関しても、後続車の邪魔にならず、車を直ぐに動かさなくて良いようであれば、事故直後の車の停止位置・角度をしっかり撮影して証拠にしておきましょう。


3 警察にも事故報告

 時折、いわゆる「点数」や、その後の予定を気にして、警察には言わないで欲しいとか、後から連絡する、支払うから等といってその場を離れたりする事案が見られます。
 しかしながら、道路交通法上、交通事故を報告するのは運転者として当然に求められる義務です。その時は「支払う」「連絡する」といってもいざしばらく経つと、連絡が取れない・来ないというのはよくあります。交通事故は誰とトラブルになるかは分かりません。そういう悪質な方は一定数いますので、しっかり報告をしましょう。
 なお、事故報告をすることで、警察に交通事故証明書や刑事記録を作成してもらうことができます。ここには相手方の連絡先の一部が書かれておりますし、事故の発生自体を証明する上で極めて重要な公文書の一つになります。

4 加入している自動車保険に連絡

 当然に、自分の保険会社にも連絡はしましょう。直近で、一番親身になって相談に乗ってくれるのは保険会社の担当者さんです。
 若年の方に多いのですが、両親が乗っている車で事故をして、両親にバレたくないから事故報告を直ぐにしない、というケースが見られます。そのようなことをされると、事故の発生自体に疑義が生じ、本来味方をしてくれるはずの保険会社も、対応をしてくれなくなることがあります。交通事故は誰しも被害に遭うことが避けられない部類のトラブルですから、引け目を感じず、しっかり報告をして下さい。

5 違和感があるなら病院へ

 事故の興奮冷めやらぬ中では、事故の衝撃でどこが、どのように痛い、動かせない、しびれるかが分からないことが多いです。
 それが、家に帰ってゆっくりしてから、あるいは、数日経ってから、何か腰や肩に違和感があると感じることがあります。一般的な医学的見地からすれば、事故から何日も経ってから痛み等が生じることは考え難いところであり、事故以外の原因が疑われ、保険会社も、その治療費を払ってくれなかったりすることにつながります。
 (※これは私の個人的な意見ですが、怪我に大きな疑義がある事案でも、念のためということで1回は通院を許してもらえるケースはあります。しかし、それは事故直後の話であって、1週間、2週間も経過してから「実は痛いんです」と申告しても、そのような対応をしてくれるとは限りません。そもそも、事故という不意に受けた衝撃は、多かれ少なかれ体に影響を与えるものです。お体が一番大事なわけですから、仮に保険会社が対応できず,自己負担で通う事になっても、健康保険を利用する等して通院されることをオススメします。)
 むち打ち損傷を始め、CTやレントゲンを撮影しても明らかでない自覚症状も事故の怪我にはなりますが、第三者から見ればわかりにくいため、しっかりと対応をしていきましょう。
 事故前から、何か仕事や年齢で痛み等を抱えている箇所であっても、医師に診断してもらうことが大事です。特に、仕事等でお忙しい方は、事故をして直ぐに通院することは出来ないかも知れませんが、なんとか工夫をして通院頂けたら・・・と思います。

6 労災事故なら勤務先へ

 通勤中、勤務中の事故の場合は労災が利用できる場合が多いので、勤務先にはしっかりと報告をしていきましょう。
 稀に、帰り道に寄り道をしていた際に事故に遭った等、会社には知られたくない何らかの事情で申告をしないという方がいらっしゃいます。他方、カルテを調べれば、帰り道での事故だったことが分かる場合がありますし、そもそも、事故の発生日時からすれば、仕事の帰り道だろうことが遅かれ早かれ分かります。その場合の労災切り替えの手続きは、手間がかかりますし、勤務先だけでなく、保険会社の心証を大きく下げてしまいますので、ご自身にとって不利なことばかりが起こり得ます。その点をよくお考え頂きたいと思います。
(労災を使って治療をするか、相手方の保険会社に治療費を払ってもらった方が良いか、メリット・デメリットは、実は色々あるのですが、それは弁護士に相談されることをオススメします)

7 相手に対する発言

 これは教習所などでも習うことかも知れませんが、相手の方に対して、「大丈夫ですか」などと声を掛けることは遭っても、「私が悪かったです」「弁償します」などとは言わないようにして下さい。後日、あなたの保険会社の回答とあなたが事故直後に言われた回答が異なるとして、揉めることがよくあります。
 裁判実務上、過失割合がどうなるか、お互いの車の損傷や損害がどうなっているかが分からない中で、上記の支払の約束をしても、それは有効に成立していないとされることが多いです。
 (事故の相手方からすれば、「払います」といわれて安心したのに保険会社が示談を代行してからは、「払いません」と180度回答が変わったとなれば、それに憤慨するのは致し方のないところだとは思います。)
 自身の保険会社を通さず、自分の財布でいくらでも払うという覚悟が無い限り、そのような不用意な発言はされないよう気をつけて下さい。


それでは、次回以降で、揃えた方が良い資料、良く直面する問題点について述べたいと思います。


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