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大人になれなかった人間はどうしたらよいのか

弟が

留年するかも知れない。というか多分留年する。

去年の今頃くらいから就活生になり、夏頃に内定が決まった時の親の嬉し泣きの顔はいまだに覚えている。
私はもうとっくに社会人だったし、弟とは仲悪いわけではないけど思春期を超えてからはあまり干渉し合ってなかったから特になんの感情もわかなかったけど、親に対しては子育てがやっと終わって子供が全員社会にでたことを今まで育ててくれてありがとう、という気持ちで内定を母と喜んだ。

その日は回るけれど100円ではない寿司屋でみんなでご飯を食べた、母は寿司を食べながら「ああよかった」と何度も繰り返し、父はいつも通りビールを呑んでいた。
でも、その弟が留年するかもしれないという話を聞いた。
#大人になったものだ というタグを見た時に、 #大人になれなかった 人間を思い出して急に書きたくなった家族の恥、の愚痴。
大人になれない弟を、大人になったつもりの私が責めたいだけの、本人に言えばいいものを言わないだけの大人げないブログ。

自業自得な彼の人生

留年する原因は当然のごとく「単位が足りないこと」なので自業自得なのである。

我が家は割と厳しい方だったと思う、私も厳しい環境の中育ったし、理不尽だと思うところもあれど親の言いつけを守らないと怒られるから従うしかなかった部分もあった。
我が家で厳しかったのは母親の方だった、母親が厳しかったからこそ、思春期に入った彼は女親を見下し、母の言うことを聞かなくなった。
けど、母は弟が好きだったから、本当に怒ることはあれど彼のことを最終的には許してきた。

結果、大学受験の時は進学塾には行っていたものの夜になると「ファミレスで勉強してくる」と言って友達と遊びに行っていた。
私は分かっていたから母に何度も申告したが「勉強するためにガストに行っているんだって」といって私の忠告を聞かなかった。
もとより私はそんな彼が嫌いだったが、母は私には厳しかったので私が同じことをしたら絶対に怒り狂って殴ってきたであろうことを考えると更に彼への怒りを、そして母への怒りを感じずには居られなかった。

ちなみに父親はと言うと仕事の帰りが遅いことや弟自身ががあまり家に帰ってこないことから、叱りつけることはあれど彼からしてみれば父が居るときにだけ真面目にしていればいいという話なので結果的に効果はなかったんだと思う。

結果、当然のことながら受験に失敗、志望校の補欠として短大になんとか入学、2年次の編入試験で大学に編入して4年間を過ごしたのだ。
編入で大学に入学した場合、本来の真面目な大学生は2年次などに3年の単位も先取りしておくことで単位を稼ぐことができるのだが、それができない。
ただまあ、それ自体は別に大きな問題ではなく、編入したとしてもまともに大学に通っていれば単位なんてものは取得し、就活を控えた4年次にはある程度の人が必須科目だけ取れば卒業できるくらいにはなっているはずなのである。

しかし彼は3年次にバイト先で知り合ったフリーターの女と交際し、大学の近くに二人で家を借りて同棲をはじめた。
フリーターと学生、両親も親の目が届かなくなることや生活費を稼がなくてはいけない環境の中で学業が疎かになることを忌避してか、最初は反対したが彼女が「家賃などは全額払い、正社員として転職をすることで彼を支えます」と言ったことで渋々承諾。結果的に親の目も届かない環境で3年次を過ごすことになった。

電撃交際からの電撃同棲から約一年、正社員になったものの続かずにフリーターに戻った彼女との貧困生活に耐えられなくなったからなのか、衝動だけで始めた関係だっただけに冷めるのも早かったからなのか、いつの間にか彼は実家に戻ってきていた。4年に上ってすぐの6月頃だったと思う。

戻ってきた彼が言った言葉が「俺卒業できないかも知れない」だった。

彼が家族に向けて言った重大報告「卒業できないかも」
理由は単純明快で、同棲していた時に親の監視がないから学校をサボりすぎました、結果単位が足りなくなりました。だった。
我が弟ながら情けない。

そういった経緯から親からはバイトを辞めて学業に専念しろという指示を受けたがそれを拒否、逆にバイトを増やし始めた。
不審に思った親が洗濯物のポケットから見つけたのが街金への入金明細書、後に彼の借金が判明する。

借金を背負った留年危機男

親に隠しておきたい借金の入金明細をポケットに入れたまま洗濯物を出す、なんて愚の骨頂、本当にだらしのない男だと私は呆れ返った。

弟が帰宅後、完全にブチ切れた父親と母親と弟で大激高の話し合いが行われていた、頑なに借金の理由を話さない弟に対して父親の怒りが爆発し、隣の部屋でなるべく刺激しないようにゲームをしていた私ですら緊張してしまった。

結果、理由は大学の友達から詐欺に会い街金各社から合計で60万程度の借金を背負い、現在は利子を払って凌いでいるということだった。
あまりに情けなさ過ぎて父も母も今まで見たことのない表情になっていた。

その後、その借金について触れられることはなかったが、4年の秋口に正式に研究室の先生より「バイトを辞めて最後の試験に備えないと留年する」と言われたことで親に相談し、バイトは辞め、借金は親が肩代わりして一括で返済、就職後に返すということになった。
収入のなくなった彼は一日に1,000円の食費を母から与えられるお小遣い制となった。
奨学金を借りて大学に通っているため、勝手に留年して勝手に借金で自滅していく分には構わなかったが親に迷惑をかけていることに非常に腹が立った。

バイトを辞めて

自身も真面目な人間ではなく、世渡りと運だけで人生をなんとかしてきた非努力型の人間なので何となく分かるのだが、結局人間なんてそうすぐに変わることなどはなく借金の返済期限に追われることもなく、バイトで時間の拘束もなくなった彼は夜に「大学へ行く、卒業研究があるから」と言って遊びに行くことが増えた。
高校時代のガストの再来である。ガストは何も悪くないけど。

挙げ句、試験まで一ヶ月を切ったクリスマスの時期には彼女を作り年末年始も含めてやれデートだ、やれ家に連れてくるだ好き勝手やっていた。
親に彼女を作って浮かれていることに対してお叱りを受けたときは「俺は恋愛しちゃいけないってことかよ!!」と切れていた。
そりゃそうだろ!!!!借金持ち留年男に恋愛する権利なんてねーよ!!!!と声を大にして叫んでしまった。

結果

結果、テストも終わり卒業シーズンとなる3月に入った現在、「卒業できないかも知れない」という言葉を残した本人は彼女の家に入り浸り、別件で来たLINEで現状とこの先を聞いてみるも「大学は続けるんじゃない?」という、ありがたくも他人事のような返答が帰ってきた。

本人曰く結果は【3月11日】に分かるらしい。
両親がどうするつもりかは知らないが、結局のところ退学したら「最終学歴:高校卒業大学中退」になってしまうことも含め、この4年間が無駄になってしまうという考えから大学を続けさせるのだとおもう。

彼もそれを分かっているから現在も遊び呆け、「続けるんじゃない?」などという他人事のような発言をしているのだと思う。

“「埋没費用」(サンク・コスト)が人間の心理におよぼす影響は、このように経営者ならずともよく理解しておくことが大切だ。
「いまここでやめると返ってこないコスト」は常に存在する。
だがそれは往々にして、「このまま続けても、どうせ返ってこないコスト」だったりする。”

引用:いまからお前の生存戦略を告げる。| 新宿メロドラマ

私は彼の大学を続けさせるのは反対だ、なぜなら結果それは今現在の自分の結果を自分ごととして真面目に考えられていない彼のためにもならないし、親だからといってそこまでしなくていいと思っているからである。
もう22歳、社会的には立派に責任を求められる年齢なのである。

今までこうやって真面目に生きてこなかった彼にもそろそろ罰は必要であるし、それは親によって与えられるべきである。
なにも親がその罰を肩代わりする必要はないのである。

弟はいい、他人だから。
受験に失敗しようが、借金背負おうが、留年しようが構わない。
勝手に苦労して、逃げて、生きて、死んでけばいい、関係ない。
ただ、親は彼の親であると同時に私の親でもあるから、親が苦しむのは私は耐えられない、それが家族に寄るものであるのならなおさら。

3月11日まではまだ留年は確定ではないらしい。
でもきっと留年だろう。
そして親はきっと大学を継続させ、その費用を支払うだろう。
そして弟は学生生活を続けられることに「社会人にならなくて済んだ」といったような喜びすら感じるだろう。
情けないことにそれが我が家族なのだ。

もう私は家を出てしまっているし、ありがたいことにこのままうまく行けば結婚し、平穏に人生を歩んでいけるだろうという所まで来た。
けど両親は終わらない子育てに今も胃を痛めているのだ。
弟なんて見捨ててほしい、怒鳴って家を追い出して、その先は自分で勝手に生きてもらって、でも肩代わりした借金かちゃんと返させて。
本当はそうしてほしいけど、多分そんなことにはならないんだろうな、親にとって子供は子供だから。

そして彼は大学を卒業してもその先の人生うまく行かないと思う。
これだけ同じような失敗を繰り返し続けてきてるんだから、きっとこれから先も同じ失敗を繰り返すのだ。

むなし。

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