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『街中でラップバトルを挑まれたら? お江戸のdis(ディス)りで戦おう!の話』

注文した料理がいつまで経っても来ないと思っていたら、自分より後に座った客に料理が来てるじゃないの!

待ちに待った郵送物が破損してる!

電車に乗ろうと並んでいたのに、割り込み乗車された!

ムキー! 嗚呼もう腹が立つ! この怒りどうしてくれようか!

日々善良に暮らしている皆様であっても
不平不満が止まらない、そんな時ってありますよね。

怒りが湧き上がりし時、必要なのはユーモア&ウィットに富んだ悪口なのです。
シニカルにクールに対応してこそ、怒りに対する真の勝利!

というわけで、本日は江戸の悪口(disり)をご紹介。


『べらぼうめ』
⭐︎シンプルで江戸っ子のパワーを感じる一言!
 二の句を告げなくさせる勢いがあります!

<語源・由来>
①箸にも棒にも掛からない、穀潰しの箆(べら=しゃもじ)
のような野郎だ、という説
②便乱坊という異形の見世物から。
目が赤く、頭は猿で、全身けむくじゃらの謎の生き物からきた、という説。

『たわけ』
☆そこはかとなく高貴さを感じさせる一言。
お前とは同じステージにはいない、争いは同じレベルの者同士でしかしない。この一言で戦線離脱!

<語源・由来>
『田分』。農家が田んぼを相続する際に、子供の数で分けていくとその分それぞれの領地は少なくなる。そんな分配方法をするのは先見の明のない愚か者であるということから。

『どさんぴん』
☆正確には「さんぴん』ですが、強調語の『ど』をつけると迫力倍増ですね!

<語源・由来>
①年三両一人扶持の低収入安月給の侍を罵ったことから
②博打の時にサイコロの目数が『三』よりも下だったならば勝ち目がないというところから

『はんしょうどろぼう』
☆背の高い人専用のdisり!ぽかんとすること請け合い!

<語源・由来>
火の見櫓に掛かっている半鐘を泥棒できるほど背が高い奴め!という変化球悪口。無理やり現代で当てはめるなら「ブレーカー落とし魔!」とかでしょうか。



いかがでしたでしょうか?これでいつ怒りが湧いても(ラップバトルを申し込まれても)安心ですね。

しかしそうは言っても。
ユーモアのない悪口は新たな火種の元、くれぐれも悪用・乱用はお控えくださいませね。お江戸悪口が、声に出さずとも心の中でお守りになってくれることでしょう。

最後はユーモアと愛の化身 福禄寿様のお姿でお別れしましょう。
それではまた。

参考:
『図説江戸面白雑学知識』稲垣史生
『江戸語辞典』東京堂出版
『福禄寿あたまのたはむれ』歌川国芳


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