見出し画像

寿命延長 ~人類は不老不死を実現する~

 このところ老化制御や寿命延長に関わる研究発表がメディアを賑わせています。我が国を始め世界中の多くの研究者がこの研究に取り組み、線虫、ショウジョウバエ、マウス等の動物実験レベルでは確実に寿命を延ばすことに成功しています。米を始め世界中の大富豪達はこれ等研究開発に莫大な資金提供をしているとの話もあります。
 このまま上手く研究開発が進めば今世紀中にも我々人類は、120歳を超えてなお元気な長寿を実現しているかも知れません。

 人類の平均寿命は直近100年程で既に2倍以上になっています。これは医療、栄養、公衆衛生の進歩によるところが大きく、特に若年層の大幅な死亡減少が大きく貢献しています。
しかし、人類は「平均寿命」を延ばす事には成功しましたが、元々持っている最も長く生きられる「最大寿命」を延長することには未だ成功していません。2000年前も今も120歳を超えることは難しいことに変わりありません。
 従って最近の寿命(最大寿命)延長研究は、もし成功すれば人類誕生以来のビッグ成果として歴史に刻まれる画期的な出来事となること必至です。

 現在寿命延長を果たすべく様々な戦略に基づいた研究が取り組まれています。

カロリー制限
テロメアの複製
オートファジイの活性化
老化細胞の制御あるいは除去
サーチュイン遺伝子の活性化
iPS細胞を使った老化の進行抑制
エピゲノムに注目した老化研究
・・等々、

 多くの角度から戦略的に研究が進められ、それぞれの分野で成果が上がっています。さらに老化制御薬剤としてセノリティクス、NMN(ニコチンアミド・モノ・ヌクレオチド)などの研究開発も進み、NMNはサプリメントとして一般に市販もされています。

 さらに、老化を制御・抑制しょうとする研究を一歩進めて老化というプロセスを逆回転させて「若返り」を実現させようとする先進的な研究も進んでいます。
 若返りが実現すれば老齢医療は大きく進展することになります。現在の老齢医療は、疾病毎に専門が分化しています。もし老化時計を逆回転させることができれば、あらゆる疾病や加齢に伴う数々の愁訴が全て改善される可能性があります。

 動悸・息切れ、老眼・皴・脱毛・白髪から腰痛・肩こり・膝の痛み等。また歯周病・高血圧・リュウマチ・脳梗塞・心筋梗塞、さらに認知症・各種ガンまで全て同時に寛解、更には完治することも夢ではありません。
 老化制御と若返り研究のパイオニアであるハーバード大学のデビッド・A・シンクレア教授によると‟老化は病気である“という定義のもとで老化を治療可能な対象として扱っています。

 人類はこれまでに多くの感染症を克服し、未だ全面解決とはいかないまでも多くの国で飢餓の無い世界を実現してきました。また空を飛んだり信じられない速さで移動したり、夏涼しく冬は暖かい住環境を実現したりとかつては不可能だったこうありたいという夢を確実に実現してもきました。
 そして今人類は積年の夢であった寿命延長、若返り、更には不老不死をも手に入れようとしています。あらゆる欲しいものを手に入れたと言われる秦の始皇帝でさえ唯一叶わなかった不死の夢を遂に勝ち取る時が迫っているように見えます。

 不老不死の扉がまさに開こうとしています。
それは人類にとって夢の世界の入り口か? はたまたパンドラの箱なのか⁇ 

 答えは開けてみなければ分からないのかも知れません。

<2022/11/11>

生物の寿命延長  ~老化・長寿命の基盤研究最前線~

※ 書籍の冒頭をブラウザ上でご確認頂けます。【ためし読み】
※ 書籍概要・購入ページはこちらです。【概要:生物の寿命延長】
※ 全文試読もご利用頂けます(ご登録が必要です)。【デジふろ】