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コミティア130と文学フリマの感想

11/24に東京で開催されたコミティア130にサークル参加、文学フリマに一般参加をしてきました。参加した感想と、買ったりもらったりした本の感想を書きます。ちなみに当日は二日酔い&寝不足でフラフラしていた。なぜ?なぜかというと、若い男の子と前日にお酒を飲んだので。若い男の子にお酒を注がれたら、飲むしかない。世界はそうやって回っている。

コミティアに出た感想

7年ぶり2回目だったので、ふんわりと東京ビックサイトの逆三角形は覚えていたけれど、覚えていたのはそれだけだった。サークル参加証はなくすし(あとから見つかった)、お手伝いに来てくれた人に段ボール開けてもらったり、ポスターとか色々作ってもらったりしてしまった(「不条理ゆるふわ4コマ集」というポップも作ってもらった。とてもよくて気に入っているのでメモ)。

1冊も売れない可能性も覚悟していたけれど、そんなことはなかった。買って下さって本当に本当にありがとうございました。お話も絵も全部私が考えた本に人がお金を払ってくれるって……やばすぎる。通貨制度どうなっているんだ。あれだよな、労働はやりたくないことやってるのでお金をもらえるのは当たり前かもしれないのだけれど、やりたい(描きたい)ことをやってもらえたお金(お金じゃなくて、本が人の手に渡るという目的のほうが大きいのだけれど)ってめちゃくちゃ価値があるな。

今回どうしても描きたい話があったので出たけれど、久しぶりに楽しかったので、できればまた出たいなと思いました。

コミティアで出した本の感想

①電気のひもにパンをつけて、パン食い競争をする
7年前に出た時も、こんな感じの4コマ集を出して、今回も同じように作った。何年もこんな感じのことを続けていたので慣れていたし、私はずっとこれしかやってこなかったので、これからもこういうタイプの4コマならずっと生成していけそうな気がするけれど、うーん。惰性で何となくやるのはとても楽だし楽しいけれど、お金をもらうならば、もっと色んなことを考えなければならないと思った(日記も手癖で書いてしまうけれど、ちゃんとお金が発生する文章は、色々と考えながら書いている)。ただ、じゃあ何を描きたいかと言うと、あんまり思いつかない。読んだ人を何かしらの気持ちにさせる話は、すでに他の皆が上手にしてくれているし。こういう感じの4コマじゃないのであれば、描く意味がない気がしている。

②風俗で働いている透明人間の話。
この話を描きたくて、久しぶりにコミティアに参加することにした。いったん形に残るものにして区切りをつけないと、私が今やっていることは、私が耐えられなくなってしまいそうだと思ったからだった。もうお気づきかもしれませんが、この話は私が救われたくて描きました。もちろん誰かに何かを伝えたいという気持ちもあったのだけれど、私のお腹の中にある黒い塊を、皆さんに押しつけようと思ったわけです。ひどいことをしている。だから、ビビってめちゃくちゃに少ない数しか刷らなかったのだけれど、私の手元には1冊も残っていなくてよかった。この本は、私が持っていては意味がないものなので。本当にありがとうございました(追記:イベント後に興味を持って下さっている方が数人いたので、もしかしたらほんの少しだけ再販するかもしれないです。)。ただ、描くのがすごく疲れたし、最後にはやっぱり隠しておきたくて怖くなったので、こういう感じの話はもうあんまり描きたくない。

コミティアで買った本の感想

コミティアで買った本の感想を書きました。最初に言っておくけれど、私は読書感想文がすごく苦手で、たとえば三島由紀夫の本を読んで「文章が上手くて悔しかった」と言ってしまうくらいです。

・DUNEROSE-大北真潤さん
プロの方なのだけれど、今商業誌で連載されている「夜明け前に死ぬ」という漫画の裏話というか、取材日記みたいな本だった。漫画のモデルになる場所へと直接取材へ行って写真を撮って…みたいなのを読むと、漫画家だ…となる。この方を初めて知ったのは7年くらい前、「百合姫」という雑誌だった。百合姫は女性同士の恋愛漫画しか載っていなくて、この方の漫画がすごく好きでそのためだけに定期購読していたっけな。もちろん他の漫画家さんの話もよかったのだけれど、「女の子同士の恋愛を描きたいから百合姫で連載している」のか、「百合姫で連載しているから女の子同士の恋愛を描いている」のかっていうのは少し読んだだけで何となくわかった。基本的には後者の漫画家さんが多くて、やっぱり難しいから仕方がないのだけれど、大北さんはちゃんと「女の子だからこそできる恋愛」を描いてくれていたので好きだった。絵も特徴的なのだけれど、特にセリフ回しが独特で、今時の女の子ではない、どこか別の時代とか別の国にいる人を見ているような不思議な感じ。今は名前を変えて青年誌?メインで活動されているようだけれど、百合をまとめた本は今でも好きでたまに読み返している。

・オフィスピープル-鈴木マ球さん
ある会社の同じ部署にいる人たちの日常を見せてもらう本。登場人物に部長とか課長もいるのだけれど、みんな若い。私が昔働いていた会社だと、40代前半で課長になれたら早いほうだと言われていたので、すごく新鮮だった。きっとあんまり大きな会社ではなくて、1つの課に2人くらいしかいないような…だから上司と部下の距離が近いんだろうな。すごく新鮮だった(それとも、東京の会社はみんなこうなのかな?)。それで、鈴木さんという課長がいるのだけれど、あんまり真面目ではなくて、たぶんあんまり仕事も得意ではなくて、でも優しいので部下には舐められている感じでよい上司だったな。こういう人のところで働けたら、いい感じに空気が抜ける気がする。短いお話を何本か読んだだけで、この人はこういうこともするだろうな、あの場面ではああ言うだろうな、なんてのがわかってしまうのですごい。出張の時のリクライニングシートを倒すやつで心理戦が行われている話がめちゃくちゃ面白かった。「部下のくせにくつろぐのか、それとも避けられているのか…」とかすごくサラリーマンというか…今の上司は色々気を使わなくちゃいけないから大変なんだな。あと、鈴木さんの漫画はめちゃくちゃ絵がきれいで、1コマがまるで1枚絵のようだった。ザッ!ザザ!みたいに流しでテンポよく読んだ方がいい漫画もあるけれど、この漫画は1つ1つのコマをゆっくり丁寧に読んでいったほうが楽しめると思った。

・みぞグミペーパー-みぞグミ絵璃さん
ペーパーだけ頂いてきたのだけれど、ペーパーって初めてもらったので感動した。これぞ同人誌即売会って感じだな。。。字がころころとしていて記号みたいで可愛らしい。アナログなのかな?そういえば、全然関係ないんだけれど、種村有菜さんという漫画家がコミックスの柱(雑誌掲載時は広告だった部分)にびっしり文字を書いていたの思い出した。小学生ながら、意味わからなかったけどあれをゆっくり読むのが好きだったんだよな。意味はわからなかったけれど…。そうそう、それで、みぞグミさんは、女の子のドキドキとかワクワクとか、いやだな、つらいなと思ったことをフワフワした綿みたいなのに包んでお話にしている。たぶん、絵が可愛らしいからニコニコして読めてしまうのだけれど、本当は女の子だけじゃなくて皆が持っている、あんまり人には言いたくないようなグワーとした気持ちが底のほうにある気がする。あと、noteのご本人様のページにURLがあった「早川くんはいい子」という話を今朝読んで衝撃を受けてしまった…「いい子」って何かな、自分が正しいと思ったことは相手にとっても正しいのかな、という話。とてもよかったです。

・スマブラ見てる奴-スマブラ見てる奴さん
1枚絵のネタ帳みたいな感じの本。小さくてかわいい。100ページくらいあってかなり満足度が高かった。絵がゆるいけど上手だし、ネタも面白いのでずっとニヤついていた。定期的に読むことでひらめき能力が向上する気がする。日常にも面白いネタがたくさんあるんだなあと思った。1/3くらいゲームのネタだったので、もっとゲームに詳しかったらもっと楽しかったと思う。ゲームが好きな人はめちゃくちゃ楽しいと思う。あとは絵が簡素なんだけどちゃんとわかりやすくて、すごいなと思った。きっと丁寧に描くのはこの本ではなんか違うし、こういう絵柄だからこそ引き立ってるネタばかりだった。すごく参考にしたい絵柄だった。

・おっぱい-長イキアキヒコさん
短編のギャグ漫画が何本か入った本。全部面白かったな…。長イキさんは女の子描くとかわいいし、おじさん描くとすごくダンディになるので、さらにお話が面白くなる。主人公がツッコミのやつよりも、ツッコミがいなくて無法地帯になってる話のほうが好きだな。あとは見た目が優等生とかダンディなおじさんなのに、言ってることがめちゃくちゃなやつが好きだな。1ページだけの漫画もいくつかあって、それももちろん面白かったのだけれど、何ページか話が続いていたやつのほうが緩急がつくというか、話に入りやすくなる感じがした(自分用メモ)。確かに最初は設定を理解するのに時間がかかるから、それを理解している最中にオチまできちゃうと不完全燃焼というか、もっと読みたい!となってしまうので、なるほど、ある程度ページをかけて描いたほうがいい時もあるのか。あとはやっぱり表紙にもなってる「父」の話がめちゃくちゃ面白かったな…。

文学フリマに行った感想

コミティアを少し早めに切り上げて、同日開催された文学フリマにも行ってきた。文学フリマは初めてだったのだけれど、コミティアと雰囲気が全く違う…一般参加者もサークル参加者も「〇〇寺」みたいな駅名にいそうなオシャレで個性的な人たちばかりだった…。あとは、会場がよい広さ。1000スペースくらいだったのかな、半日くらいあればゆっくり全部回れそうなくらいだったのでいいな。あとは会場の電気が白くて明るかった。小さい本とか個性的なタイトルの本とかがあって、いいな…!と思ったけど、立ち読みが苦手なタイプなので、なかなか踏ん切りがつかなかった。見本誌コーナーもきた頃には終わってしまったし…。それと、コミティアは(たぶん)声かけはNGだったはずなのだけれど、文学フリマはOKみたいで、歩いているだけですごく声をかけてくれた。みんなキラキラしていて、「ぜひ読んでみて下さい!」という感じの気持ちが伝わってきた。ちなみにコミティアはちょっとしか回らなかったのだけれど、皆なるべく目を合わせないようにしていたし、実際に私もスペースではそうしていた。とにかく売っている人の気配を消していたのがコミティアのイメージ。あと、私が方向音痴なだけなのかもしれないけれど、文学フリマではずっと迷子になっていた。地図の見方がちょっと独特な気がした。あとは意外と自分のスペースナンバーを入れていないところが多かったな。実は文学フリマにも出たいなと思ったので行ってみた経緯があったのだけれど、出たところで私は何を書くんだろう?私が何時に起きて何時に寝るなんてこと、皆知りたいのかな…。

文学フリマで頂いた本の感想

・働くための靴-和泉りょうさん
今回の目当ての本。はてなブログで偶然この方のブログを見つけて、文章が上手いし何となく私と似ている(失礼すぎる)のですごく気になっていたんだった。遅くに行ったら完売されていて(おめでとうございます)、見本誌でよければ…と頂いてしまった。読んで最初のうちから「入学して早々高校を辞めた」とあったので、たまげてしまった。似ているなんて思ってごめんなさい…。すごい人だ。
ここまでが最初少しだけ読んで書いた文章なのだけれど、それから一気に読んで、いまもドキドキしている。これは、エッセイか?何度も見本誌ラベルのカテゴリを確認した。まじかよ。
和泉さんが今までやってきたバイトの話だったのだけれど、全てのバイトが1つ経験していれば一生話には困らないほどの衝撃があって、それをこれまでに全てやってきたなんてやばすぎる。あとは文章がめちゃくちゃに上手くて、はぁ…となってしまった。だめだ、感想が出てこない。きっとそもそも普通の人が経験してこなかったような人生を送っている方なんだろうけれど、それをさらに文章にすると、まるで物語みたいで、でも物語ではないはずなので、すごくよかった。小説とかだと、たとえ筆者がそう思っていたことであったとしても、別の人格の別の人生を送っている登場人物が代わりに言っている。そういうのも好きで、小説だからこそ面白いときもあるのだけれど、エッセイのように、実在している人物がこんなことを経験して、こういう風に思ったのだとわかるのもよい。また読みたいな。あとは縦書き良いな。ブログとかで横書きになれているけれど、こうやって縦書きで読むと、パッパッと目が右から左へと自然に流れて行くので、スッと入ってくる。

・生活は夢日記-和泉りょうさん
和泉さんにはもう1冊既刊を頂いてしまった…前回の文学フリマで出されたやつ。小説がいくつかと、和泉さんが10代の頃から書いていた日記。こんなに若いうちから、こんなに面白い日記を書くなんて…すごい人だ。若い女の子の日記をのぞき見させてもらってしまった。日記だから、私にはわからない言葉とか人とかが出てくるんだけれど、なんだかそれがさらに生々しくて、こんなに全部の人生を見せてもらっちゃってもいいのかな、みたいな気持ちになった。日記なのにネガティブなことが書いてなくてすごいな。いや、ネガティブなことも書いてあるのだけれど、カラっとしているので、全く嫌な気持ちにはならない。日記なのであんまりプライベートなことには踏み込むべきではないとは思ったのだけれど、登場人物が友人かバイト先の人くらいしか出てこなくて、「家で何をした」という描写がなかったのは、この方の世界は外にあるのかな、なんて思った。小説も面白かった。何となく、日記とかエッセイを読んで、和泉さんがどんな人生を送ってきたのかを把握してから読むと、ああ、こういう話ができるのか、と納得してしまった。

・風俗大好きお姉さん-やよいちゃんさん
一緒に文学フリマに行ったお友達からプレゼントして頂いた。ありがとうございます。会場ではぐれて心細く歩いていたら後ろから「完全に迷子の姿だった」と声をかけられて笑われてしまった。昔からよく迷子になる。スーパーでお母さんとはぐれて何度も棚と棚の間を見ながら歩いたっけ。
本は、風俗で働いていたお姉さんのエッセイ。風俗で働けてよかった、風俗大好き!という気持ちがすごく伝わってきてよかった。親バレ、ツイッターのアカウントがお客さんにバレた、掲示板での誹謗中傷などもあったけれど、楽しいこともたくさんあって最終的にはお客さんと結婚して今は風俗を辞めました、という話。文章から、本当に風俗で働くことが好きだったんだなというのが伝わってきた。お客さんを大事にしているし、どうやったらもっと喜んでもらえるだろう?と常に思っている人なんだな。「風俗嬢に悪いイメージを持っている人は多いと思うけれど、私は誇りを持って働いていました」ということがすごく伝わりました。ちょっと私が描いた漫画と似ている!読めてよかった。あとは風俗の仕事の話とか料金、業界用語なども詳しく書いてあるので、参考資料等にもすごく役に立つと思いました。

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