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私はニート。

中学生の頃、仲良くしていた友人Mが「将来はNEET」になるのだと声高らかに叫んでいた。
私は、今から11年前にiPhone4Sを親に購入していただいたからSNSに足を踏み入れた時代が約10年前。
2ちゃんねるやニコニコ生放送などで見掛けるネットスラングにまだ疎かった。今も尚、知らない単語が数多に存在する。私は、人よりも知的好奇心がやや高めだ。そのため、「NEET」という単語に恥ずかしながら、惹かれていた自分がいた。手の届かないネット世界では、一般時なワードとして操られる言葉。どのように会話に織り込み使用するのだろう。「NEET」は動詞なのか、それとも名詞なのか。あれから11年後、社会人3年目にして体調不良になり仕事を辞め、その意味をよく知ることになった。憧れが現実となった。「NEET最高じゃん」と発言しないものの、涙を浮かべながら心の中で唱える。
話は変わりますが、本日より水無月。1年の折り返し地点になりました。半年がんばった自分をねぎらい、ここで一息つきましょう。春から夏へ移り変わる季節は、体調を崩してしまう可能性もあります。気をつけてね。駅前のロータリーには、紫陽花が咲いていました。季節の変化に目を向けて、残りの半年へ向けて気持ちをリフレッシュしましょう。
というような、内容の文章を見かけた。半年がんばった自分?朝を伸ばして昼頃まで惰眠を貪り、ダイエットというカタカナ英語を脳内から抹殺し、カップ焼きそばのブブカ麺とマクドナルドのハンバーガーを同時に食した。読書終了後に感想を書くことや、読書を通して初めてお目にかかる語彙を調べることも怠った。自分ルールを破り、開放的な日々を送った。よく頑張りました。ニートの生活を半年経験して得たものといえば、朝起床したままの状態で駅前のラーメン屋に1人で立ち寄れるようになったこと。口周りの乾いたよだれの白い跡は、流石に水で流す。それでも、大したものだ。顔面に虚飾を塗らない生活は、どこまでも自由だ。日焼け止めを顔に塗ることは、将来への美容投資だと謳うメディアにワンパンチ。市販の安めな日焼け止めをベタベタ体に塗りたくるストレスは、50代になってもシミ皺のない若々しい肌で過ごす未来の自分にとっては微塵もない。本当か?そろそろ前途有望な思考をやめましょう。明日やることは明日もしない。
いつか幸せになる、そんないつかはやってこない。

昨年の春に、友人Mに会った。「今NEETしてる」のだと苦虫を噛み潰したような笑顔で話していた。日常にパチスロやボートレースを加えて日銭を稼ぎ、また配信アプリで画面の裏側にいる方から投げ銭をいただいて生活をしているそうだ。トップライバーに君臨していた友人M、凄まじい。11年前の私のように、友人Mの言葉に冒険心を弄られる視聴者が存在するのだろう。彼女の言葉には、人を惹きつける力が籠っている。何度も何度も繰り返して発言して、一番惹かれたのは彼女自身だ。間違いない。言霊が叶えたのだ。

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