マガジンのカバー画像

死女の唄 シビトノウタ 解説集

2
2019/8/9 杉並公会堂で初演する石川潤作曲によるホラー連作歌曲「死女の唄 シビトノウタ」 曲の中に封じ込められた霊たちがあなたに愛を囁く。そんな音楽の発想の源や想いなどを色… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

「死女の唄」 各曲テキスト紹介

歌というものは大抵詩のなかに物語が込められていると考えることができる。あるいは、バックボーンとなる物語の中でもっとも美しい瞬間を抽出したものが歌とも言える。それは例えばギリシャ神話などかもしれないし、オペラの中のアリアかもしれない。宗教的賛歌かもしれないし政治的な吐露かもしれない。あるいはアイドルソングのようにストーリーがお客と共に動いていくか、あるいはエディット・ピアフの愛の讃歌に込められた愛人への別離の想いのように歌手個人のプライヴェートが込められているものかもしれない。

「死女の唄」コアイメージ − 音楽が生きている −

ここはどこ? ねえ、 わたしをうたっているのは、だれ? 2019年8月9日に初演される「死女の唄」、この作品は音楽の内部に人格・魂がある、というシチュエーションを含む連作歌曲であるが、その核となるコンセプトは「限りなくクラシック・コンサートに近い儀式」であり、演奏表現を客観視するレディ・メイド的な発想が隠されている舞台表現である。 クラシック音楽のコンサートは20世紀よりほぼその形を変えずに続いており、さながら数百年前よりの名曲の空気を静かに演者と観客の間で追体験する独特