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【物語詩】スランプ先生!

 ダメだ! どうしても降りてこないっ!
 物語のネタが! パッションが!
 芸術よ爆発してくれーっ!

 ……叫んだだけで三行詩のようになったな
 ……よし 繋げていくぞ!

 僕は売れない小説を書いている作家だ
 いや違った 2足3文で売りさばく作家だ
 そうじゃない ブレイク前の作家だ!!

 今はまだ努力が足りないだけ
 執筆とバイトの2足のわらじは辛いが
 いつか成功するまで努力を注ぐのだ!


 そんなある日 昼の行きつけのコンビニ
 いつものように昼飯の調達中に
 いつもと違って声を掛けられた 不意に

 彼女は店員 お客さんと駆け寄り
 何やら小物の入った袋を僕に渡してきて

 警戒しながら中身を確かめる
 そこには とても見覚えのあるUSB
 コピー機で印刷して忘れていたのは僕

 耳まで熱くしながら感謝を伝えた
 彼女はふんわりと笑って
 ほんのりと頬を花のように染めた

 その様子が花束のように美しくて
 穴が開きそうになるくらい見つめて……

 気づけば夕方 昼飯は食べ損ねた
 そう考える頭の隅で 僕は
 彼女のような娘の物語を閃いた!!


 こんな感覚は初めてだった
 後から後から湧いてくる水のようで
 鼓動を温めて加速させる炎のようで

 辛うじて体内時計を止めることはなく
 バイトの出勤時刻に遅れることもなく
 一つ季節を見送って 小説を完成させた!


 そのまま向かった彼女のいるコンビニで
 バイト終わりらしき彼女と 彼らしき男が
 手を繋ぎ帰る姿には……ズッコケたが


 本能のまま貪るコンビニ弁当は
 塩だか涙だかわからない味付けだったが
 これも明日の僕になる栄養なんだろう

 そんな創作のアスリートを気取って
 僕は次の物語をストイックに追い求める
 きっと まだ何かが書けるはずだ


 もしも彼女の物語が評価されたら
 しれっとUSBに仕込んで渡してやろうと
 ほのかな復讐心リベンジも燻ぶらせながら




あとがき

 この物語詩……モデルはついさっきまでの私(笑)。

 20時前くらいまでマジで物語詩のネタが浮かばなくて、焦ってました。それで一旦は諦めて「書けなかった~テヘペロ☆」みたいなエッセイを書こうとしたんです。その書き出しが、本作品の第1連、冒頭3行です。

 本当に諦めていたけれど、書いていて「あ、これちょっと詩っぽいな」と思ったら、スイッチが入りました。やばいですね、このセルフ急展開。一応書けちゃいました。良かった!!

 ……私って……こじらせ男子、書くの好きね(笑)。
 改めて自覚したかもしれない。というか、性別は関係なく、こじらせているの琴線かもしれない……。

 諦めたけれど、諦めなくて良かった。
 物語詩については、いろいろ展望を臨むところがあるので、頑張っていきたいと思います。


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