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嘘と魔法と笑顔

忘れたくないことを
忘れてしまいそうで
わたしの代わりに覚えていてくれませんか。

帽子を落とした。
さっき買ってもらったぬいぐるみについていた帽子。
折角、生まれて初めてわたしのために買ってもらったのに。
いつ、どこで。
こんな広いところで見つけられない。
どの道を通ったのかすらわからない場所なんだから。

輝いていた目が涙目に変わる。

「帽子を落としてしまったみたいで・・・」
お土産屋さんのお姉さんに聞いてみる。

待つこと10分。嘘が魔法に変わる。

「おねえちゃんあったよ!帽子!」
お姉さんは走って帽子を届けてくれた。

「ありがとうお姉さん。」

涙目は再び輝き始める。
もう、失くさないよ。約束する。

わかっている。
きっと新しい帽子を用意してくれたに違いない。

その1つの魔法に今でも取りつかれている。

わたしの笑顔を守ってくれてありがとう。

今日で9年だね。一緒に過ごして。


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