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胸を押せる看護師

何か題名がちょっとスピリチュアルって言うか啓発的な感じがしますが全然違います。


今日は久々に心停止患者が出ました。

人工呼吸器がついている患者でした。


安心してください。助かりました。


患者の急変を見つけた時は

1, 意識を確認する

2, 緊急コールをして応援を呼ぶ

3, 脈拍と呼吸を確認する

4, 脈拍、呼吸が無ければ胸骨圧迫(心臓マッサージ)をして応援を待つ。

5, 応援が到着したら心電図をつけて心電図波形を診断する


ってのが初期対応の基本です。


入院患者の異変に最初に気がつくのは多くの場合看護師です。上記の手順の内、最もハードルが高いのが「4」です。胸骨圧迫を始めるって事は、始めた看護師が患者が心停止したと判断したと大々的に公表することに他なりません。ただ、脈拍を確認するってすごく難しいことです。ドラマとかだと、首の所ににサッと指を当てて、「脈拍ありません!」なんて瞬時に判断してますが、まず無理です。慣れている人でも脈拍が無いと言うことを判断するには5秒〜10秒程度かかります。脈拍がある時ってのは一瞬で分かったりするんですけどね。

だから、手順3まで済ませた時、看護師は

「脈拍、本当に無いかなぁ」

「胸骨圧迫なんて始めて間違ってたら問題になるかな、怒られるかな、恥ずかしいな」

なんて思ったりします。

あとは、すでに患者が心停止の時には治療をしないという約束が本人とか家族とかとなされてる場合もあって、その同意が取られてたらどうしようなんて不安も生まれます。

今日は手順1の段階でたまたまそこには看護師が数名いたようです。みんな若い看護師でしたね。騒がしいので僕も駆けつけてみた時には手順の3の真っ最中でした。部屋に入った瞬間「緊急です!」の声が。ちゃんと応援要請して緊急時対応の準備をし始めています。感心しました。そして脈拍触知していた看護師が

「脈拍が無い気がします」

と報告してきました。

押せよ!!!!

と思いましたが、こんな時に誰かが怒鳴ったり何かしたら、みんな落ち着いて行動できなくなってしまって最悪になります。前述したように胸骨圧迫を始めるってハードルが高いんですよね。

私も5秒ほど頸動脈を触知してみて即座に胸骨圧迫を始めました。これだって本当は私が頸動脈を触知する必要なんて無いんですよ。私もびびったんですね。

その後、

「先生には電話してるんだもんね。心電図付けてみよう」ってことになって波形診断したところVT(心室頻拍)という心停止の波形でした。

その後はなんか奇跡的に数分胸骨圧迫を続けたことで心拍が再開しました。良かった。真っ黒だった顔も見る見る間に良くなっていきます。発見が早かったのと、正直私の胸骨圧迫が上手だったんだと思います(笑)講師やってますからね!

今日得た教訓は

「胸骨圧迫しない理由を探さない。胸を押すかどうか迷った時に押せる看護師になろう。」ということです。


やるかやらないか迷った時、やれる人間になりたいものですね。

お、ちょっと啓発っぽくなったw


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