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今日のビブリオマンシー。

 あの瞬間の私のときめきこそが、一切の条件を求めない瞬間だった。
 どんなみじめな時期にもきっと訪れうるもの。
 私の心は虹色の世界にきらきら広がってゆき、世界がそれを受け止めて虹色に喜んだのがわかった。
 そうだ、交換してるんだ、お互いに。
 私はこの世界にこんなに影響を与えている。そのことを知らなかった。世界は私が輝くと輝きをきっちり同じ分量で返してくれる。ときにはすばやく、ときにはゆっくりと、波みたいに、こだまみたいに。
 こんなちっぽけな私がどういう気持ちでいるか、そんなことが世界を確かに動かすことなのだ。
 目に見えない世界で確かにそれは起こっていることで、見る目を変えればいつでもその影響を見ることができるのだと、私ははっきりと知って戻ってきた。
 宝物を持ったゾンビになって帰ってきたのだ。それはそれは変な状態だけれど、そうとしか言いようがない。いいとか悪いとかではない、珍しい生き物として。
 まあもちろん人間だから、そんな希望はすぐ地面に落ちて、ルーチンの世界は必ずはじまる。
 この世界はときめきを食べて生きているのだ。
 だからときめきはいつもすばやく奪われるし、かといってハイでいることはときめきに最も遠い生き方になる。毎秒生み出そうとするしかないのだ。果てしない戦いだがそれだけがトータルで勝てる可能性を見いだすたったひとつの道なのだ。

スウィート・ヒアアフター/よしもとばなな

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ここ数週間、軽く自分に絶望していました。
そのことを書こうと、何度かまっさらなnoteの編集画面を見て、自分の内側から言葉をひねり出すのですが、どうもうまく書けなくて。
「絶望」なんて言葉がそもそも大げさなんです。でも渦中のときって、そういうものです。

とりあえず、このネガティブな数週間について書くことを諦めて、枕元にあった薄い小説を開いたら、この一説が目に止まりました。
すでに読んだ筈の場面で、最初に読んだときはするっと通り過ぎてしまったのに、今この瞬間のわたしをぎゅっと引き留める強いちからを感じました。

絶望している間でもわたしは、

美味しいチョコレートに悶絶したり、
店先の立派な大根に目が釘付けになったり、
友達からのメッセージにふふふと笑ったり、
家の中のいっとう日当たりのいい場所で昼寝をしている犬をじっと眺めたり、
丁寧に研いだ包丁の切れ味に感動したり、
万年筆にいちばん好きな色のインクを入れたり、

つまり、そう絶望的でもなかったわけです。笑。

もう、自分がすんばらしい人間じゃないからといって、
自分を攻撃したり蔑んだりするのはやめよう。

そしてもっともっと必死にときめこう。

今日のビブリオマンシー書物占い

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