見出し画像

寝るのを忘れて頁をめくる。

久しぶりに「ハードカバーの長編ファンタジーにどっぷりのめり込む」を体験しました。直近では上橋菜穂子さんの「香君」以来かな。今回は海外作品だったので、海外で縛るとハリーポッター以来!!

ステキ過ぎる装丁!
おまけに3部作!!
主人公は女の子!!!
一冊の厚さが約5センチもあって、重い!!!!
ティーンエイジャー向けファンタジーには珍しくベッドシーンが♡♡♡

死のエデュケーションシリーズ/ナオミ・ノヴィク

なんのご褒美ですか??
っていうぐらい幸せで、先を知りたいのに読み終わるのがツラい…という気持ちをたっぷり味わいました。
夢中になってページをめくって気づいたらとっくに夜中の3時を過ぎていて、家族が寝静まった空気の中で本の余韻にうっとりする時間。
この人生であと何回こんな時間が味わえるんだろう?って少し寂しく感じながらも、この本がわたしの手元に届くようにしてくれた全てに感謝でいっぱいになりました。

***

舞台は、虚空の闇に浮かぶ魔法使い養成学校。生徒たちは、生き延びるために日々魔物たちと戦い、互いに争いあう。学園サバイバル・ファンタジー。

舞台は、虚空の闇に浮かぶ巨大な魔法使い養成学校、スコロマンス魔法学院。入学した生徒は4年後に卒業の門をくぐる日まで、現実世界に戻ることはできない。ここには、教師がいない。その代わり、魔物たちが跋扈し、ときおり襲いかかってくる。カフェテリアに集う生徒たちのあいだに、友情はない。あるのは、サバイバルのみ。生徒たちは、生き延びるために日々魔物たちと戦い、生徒同士も争いあう。主人公の少女ガラドリエルは、みずからに秘められた黒い魔法を恐れながらも、生き延びるために知恵をめぐらし、仲間との交流を通して、活路を見出していく。学園サバイバル・ファンタジー、シリーズ第1部。

Amazon「闇の魔法学校」あらすじ

物語の序盤、主人公のガラドリエルはとっても孤独です。心を許せる友達はおらず、唯一の家族である母親とも連絡が取れない。学校は魔物だらけで安心して食事をすることもシャワーを浴びることも、眠ることも許されない。
ハリー・ポッターの世界のホグワーツとは大違いです。
この作品の世界では、魔法は先生に教えられるものではなく、自分で手に入れる必要があります。簡単な家事魔法が知りたいと願っても、ガラドリエルちと相性のいい魔法は大量殺戮魔法なので、なかなか学校生活に活かすことはできず、彼女の日々は困難を極めます。

過酷な日々を生き抜くためには、自分の能力をなんとか使わなければいけないけれども、本気で自分の能力を発揮したら周囲を傷つけてしまうという恐れ。

この恐れをガラドリエルがどのように乗り越えるか、自分自身を受け入れ、世界に能力を発揮していくとはどういうことか?
そういう気づきと勇気を与えてくれる素晴らしい作品でした。

***

訳者あとがき情報によると、著者のナオミ・ノヴィクは二次創作を書くほどハリー・ポッターシリーズのファンだったそうです。

……同時にノヴィクは、ハリー・ポッターの世界をプロの作家らしい視点から分析してもいた。魔法にお金はかからないのに、なぜ子だくさんのウィーズリー家は貧しいのか。どうしてロンは兄たちのおさがりを使わなくてはいけないのか。なぜ魔法使いたちは、ディメンターに殺される危険のある学校にわが子を送りこむのか。こうした疑問のひとつひとつに解答を与える形で、スコロマンスの世界は作られていった。……

「闇の礎」訳者あとがき

というわけで、ファンタジーにしてはかなり重厚な世界観は、読み応えたっぷりで、読み始めたらどっぷりできること間違いなしです。

サポートいただけると、とっても嬉しいです!いただいたサポートは、良きエネルギーとして循環するよう、素敵なことに使わせていただきます。