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[ファンタジー小説]メア・イノセント~夢と瀬踏み その6

登場人物

「」お兄さん 話の主人公 昔の記憶が曖昧 彼女達の兄という訳ではない
『』フェティ  元気で活発な青肌の女の子 ミーディットとは双子
【】ミーディット おとなしめなフェティの妹 夢に関する秘密がある?
ウツツム族 青い肌の種族 夢を見ないらしい 晴れの日が苦手

あらすじ 双子と一緒に〈瀬踏み〉をする事になり少し不安なお兄さん
     それを知らない双子は、お泊り会モード・・・
ーーーーーーーーーー

僕の部屋・・・と言っていいのか分からないけど

相変わらずたいした物がない
真っ白いガランとした部屋

・・・最近は、この部屋に少し寂しさのようなものを感じ始める

『おにーさーん、起きてるーっ?!
 ちょっと・・・手伝って・・・・ってわぁ!!』

ドタドタと大きな音がする

慌てて部屋の扉を開けると
大量の荷物・・・にのしかかられたフェティが目の前に

【もう・・・やっぱり荷物持ってき過ぎだったんじゃない?】
『えー?そうはいっても、せっかくのお泊り会なんだよ?!』

この子達がいる時は、寂しさも何もないんだけどな・・・

僕が、フェティの上の荷物をどかすと
何事もないようにスタスタと歩き出す

『あ、おにーさんおはよっ!
 たくさん、おかし持ってきたからね?』

【・・・お兄さん、ごめんね
 こんな感じのお姉ちゃんで
 いつもお手数かけます・・・】

申し訳なさそうな表情のミーディット

「別に、謝らなくてもいいよ
 これがフェティの良い所だと思うし・・・」

・・・多分

ーーーーーーーーーーーーー

『それで・・・今日の夢はどんな感じ?』

「えっと、今日は自分が犬になって・・・

 ・・・・・って、これも今日の瀬踏みに影響するんだよね?」

瀬踏みの事を、はっきりとは知らないものの
自分の夢をいう事に、ちょっとした責任感を感じる

【大丈夫・・・
 すごい悪夢でもない限りは
 ・・・気にしなくても】

そういえば、出会ってすぐの時、悪夢の時は
事前に言って欲しいと言っていたような・・・

ただ、おかげさまでへんてこな夢は見ても
まだ悪夢と呼べるような夢はみていない

「じゃあ・・・話すね」

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今日の夢は、自分が犬になり
意味もなくうろうろした後

唐突に土を掘りたい衝動に駆られ
掘ると、そこから大きな割りばしが生えてきて

川を渡れる橋になった事を話した

ただ橋を渡らずに橋の付け根でトイレしようとして
目が覚めた事も・・・(ここが一番の笑いどころだったみたい・・・)

最後のは話さなければよかったかな

なんか恥ずかしい・・・

相変わらず双子にはウケるようで
楽しそうに聞いていた
ーーーーーーーーーー

『んむんむ・・・おにーさんって
 いっつも楽しそうな夢だよね
 他のヒトの夢って・・・
 なんかむづかしい※話が多いからさ』 ※実際はむずかしい

・・・気づいたらお菓子の箱が、1つ空っぽになっている

他のヒト・・・か・・

言われると当たり前な気もするけど
この辺りに、僕以外にもヒトがいるんだ

「そうなんだ・・・
 どんな感じの夢なの?」

『なんか、カクシツがどうとか・・・
 えっと・・・覚えられなかったんだよね、
 ミディちゃん、ピルケさんの夢ってどんなだっけ・・・?』

【ピルケさんのは・・・
 魔法貴族同士の、確執が発端となって
 邪悪な生き物が復活してしまうの・・・
 それに呼応するように・・・空からも悪しきものが
 降ってくる・・・・だったかな?】

ミーディットがいつになく、キラキラした表情に感じる
込み入ったストーリーが好きなのかな

あーそれそれ!ね?むづかしいでしょ?』

「うん、そうだね・・・」

ヒトによっては、そんなに複雑なものを見るヒトもいるんだな
夢の内容で、少し負けた気がする・・・

【あ・・・お兄さんの夢のほうが好きだよ・・・
 いっつも、どうぶつさんが出てきて嬉しいし
 ・・・瀬踏みするなら、やっぱりそっちの方が・・・】

僕の表情を読みとったのか、フォローしてくれるミーディット
・・・優しい子だな

『それじゃあ、眠くなるまで
 遊び倒そうね?!』

続く


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