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現場の意見を把握すること、情報を公開すること

陸上競技の大会運営における「役員と選手」の関係性は、通常では「上意下達」だと思います。選手側=ユーザーサイドの意見をむやみに聞いてしまうと、公正性を保つのが難しくなってしまうためです。とはいえ、選手の要望や意見を上手に集め、耳を傾けることはとても大切なことだと考えます。

2022とちぎ国体開催に向けて、2019年から大会終了時に「フィードバック・アンケート」を実施しました。全国の選手・関係者をお迎えするにあたり、大会に対する参加者の満足度を高めようとする取組です。経緯と結果、感想などについて記してみます。要旨は次の通り。

  • 2019~2022年、栃木県内における主要公認陸上競技大会の終了後、Googleフォームを用いてアンケート意見聴取を実施。各大会終了後、選手・役員・観覧者などすべての参加者が対象。運営に対する本部役員からは見えにくい運営上の課題・問題点を明らかにした。

  • 結果を審判主任者会議や理事会等で紹介し、課題解決に向けて協議し改善に至った事例があった。大会によっては、回答結果を公開した。

  • 現場の意見・感想・要望などを把握し、大会運営の改善に向けて、こまかなアップデートを重ねていくことは非常に重要。また組織の健全性・公正性を明らかにする上で、こうした情報の公開に努めたい。

競技会運営に対する選手からのフィードバック・アンケート

最近では見かけなくなりましたが(気づかないだけ?)スーパーマーケットの出入り口などに「お客様の声」として、利用者からのアンケート回答を掲示してあるものを参考に、参加者の声を拾おうと取り組むことにしました。2019年のこと。

最初のフィードバック・アンケート
2019/4/6 第1回栃木陸協記録会で実施。
この時は回答が24件ありました。

きっかけは、選手の登録や参加申込、それからTwitterによる情報発信をしている中、もともと選手や保護者、観覧者などからいろいろな意見をいただく機会が多かったのですが、それを広く集めてみよう・とりまとめてみようと思い立ってのことでした。国体開催に向けて、気づいていない問題点、課題を洗い出すことができれば、と願ってのものです。

回答数は、決して多くはありませんでしたが、貴重な意見、要望を把握することができました。また、アンケートを大会毎に行うたびに、様々な方面からの見方・考え方を知ることができ、運営の改善に役立てることができました。

情報を公開すること

2021年の栃木県スプリントでは、大会の主管を務める佐野スパルタ倶楽部の関係者と相談し、アンケート結果を公表しました。結果と組織内に留めておくだけで無く、情報を外部へ公開することで、組織と事業の信頼性を高めることにつながるのではと期待して、の取組です。

2021第2回栃木県スプリント記録会;フィードバック・アンケート結果(PDF)

さまざまな組織の情報公開や情報開示については、もはや一般化されています。例えば行政組織による様々な会議の議事録は、それぞれのホームページ上で公開されています。公開範囲は、地域や組織、内容によって様々ではあります。

関東各都県における「スポーツ推進(振興)審議会」議事録公開状況(2021年度)
多くの都県において議事録の全てもしくは概要が公開されている。
栃木県においても「全文実名公開」となることを期待したい。

学校教育現場では2007年6月の学校教育法改正により「開かれた学校づくり」が求められることとなり、教職員のみならず生徒・保護者・地域住民などによる学校評価を積極的に行い、それを外部公開することが定められています。

スポーツ関係団体においては昨今、2018年8月にスポーツ庁により示された「スポーツ団体ガバナンスコード」などにあるとおり、組織の公正性や健全性、透明性などを適切に確保する上で、積極的に情報公開をすることが求められるところとなります。

陸上競技(に限らずスポーツ競技団体すべて)の組織についても、規約、構成員・組織図、事業、会計情報、会議議事録など、公にすべきといえるでしょう。「昔からやってないから」「他の都道府県で多くはやってないから」など、過去や周囲をみて判断するのでは無く、積極的に情報公開をするべきと考えます。

栃木の陸上競技界にとって、その小さな足がかりとなることを願い、せめて「フィードバック・アンケート」結果だけでも公開しよう…という発想での取組でした。それ以外の主要な組織情報の公開については、まだ実現に至っていません。大切な宿題として、残したままとなっている状況です。地域の特性上、難しい面があるようです。近い将来に、その多くを公開することができるよう、工夫と改善に努めたいと思います。