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映画間奏「望むのは死刑ですか」

死刑は是か非か

先日シネマチュプキ田端で見た「望むのは死刑ですか」という映画は私たちに多くの
事を問いかけてきた。


人が人を裁いていいのか?

冤罪だって絶対ないとは言えない。


私がマスコミを信じられなくなったのは松本サリン事件。
この人が犯人だと見こされた家族が毎日ワイドショーなんかでさらされた。そこの奥
さんもサリンの被害にあったにもかかわらず嫌がらせが横行したと聞いた。

後になってこの人は犯人じゃありませんでしたなんていう報道があったけれど、それ
で済む問題なのだろうか。


テレビはワイドショーであってもちゃんと裏を取って報道していると信じていたけれ
ど、そうでもないらしいという事をこの時初めて認識した

そしてそんな真偽不明な情報をもとに特定個人に悪意を向けてくる人が少なくないの
は今も昔も変わらない。

コロナ禍でもよく言われていた。悪意より怖いのは「正義感」だ。

ちなみに治療院をやっていた友達も自粛警察に文句を言われたとか。


袴田事件や和歌山カレー事件も本当に本当なのだろうか。

ある雑誌には、カレー事件の犯人(?)に殺されかけているはずの旦那さんが彼女が人
を殺すようなことをするとは思えないとあった。

「東電OL事件」の本を読んだときも決定的な証拠がないのにネパール人が犯人に特定
されていた事に対して著者の佐野眞一さんが疑念を抱いていた。
結局逮捕されたネパール人は後に冤罪とわかり賠償金が支払われたと後で読んだけれ
ど、本当にそれで1件落着なのか?!


上記の事もそこらへんの庶民である私がただ雑誌や本、ニュースなどでぼんやり見聞
きしただけの内容なので真偽のほどはわからない。


世の中にはそんな私にさえ疑念を抱かせる報道がある。

冤罪なのかどうなのか、犯罪者であっても更生して社会に戻れる余地があるかどうか
も人によるのではないか。
そこに白か黒かの線を弾けるとは思えない。


麻原彰晃の弁護人が言うには彼はやっていないとの事だった。。そして麻原さんは宗
教家然とした人だったそうだ。

では誰が一連のオウム事件を仕切っていたのか。

麻原彰晃は表に出ているだけで実は裏に彼をマインドコントロールしていた人がいた
。そして真犯人はまだ娑婆でのうのうとしてるとか。こりゃもうミステリーの読みす
ぎか(獏)


2018年7月、ひと月に13人。かつてのオウム教団の教祖と幹部らが死刑に処された。
首謀者はともかくマインドコントロールされた実行者たちの市刑は妥当だったのか。

一度に死刑になった人数の多さばかりが強調されていたけれど、問題はそこではない
んじゃないかと思うのはきっと私だけではないだろう。


一番重い刑は終身刑にという意見もあった。
私はそれを聞いて、O.ヘンリーの「警官と讃美歌」という話を思い出した。

寒いニューヨークのクリスマス、浮浪者が屋根のある家と食べ物を確保すべく警官に
つかまろうとしてあれこれ騒ぎを起こすけれどなかなか捕まえてもらえない。
最後はいい話になっているけれど、要するにホームレスよりは監獄の方がいいという
事だ。

一方では病気で働けないのに生活保護ももらえず、最後はおにぎりも買えず餓死した
人もいるというのに終身刑なら屋根と食べ物は確実に手に入る。病気になれば治療も
受けられる。
なんかこれも納得いかない。

じゃあやっぱり死刑かと言うとこれも納得できない。


そして死刑囚と言っても人間は多面的。人を殺す部分があってもほかの部分では普通
だったりする。全面的に悪で塗り固めたような人の方が珍しいのではないだろうか。

逆に本当に悪い人は立ち回りがうまく、実行犯のトカゲのしっぽを切りながら普通の
人に混ざって生活していたりするのではないかなんて勘ぐってしまうのも小節の読み
すぎか(獏)


普段刑罰について考える機会なんてほとんどなかったけれど、この映画では多くの事
を考えさせられた。

他人事のように書いてきたけれど、誰がいつ巻き込まれるかわからないのである。

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