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見えなくてもみんな違ってみんないい

よく「目の見えない人は・・」なんて言われることがある。

亡くなった母が「見えない人はよく喋る人が多い」と言ったので、おとなしい友達の
名前を5人くらい列挙したら黙ってしまった。

「日本人は」とか「女性は」なども同様で、これを称して「主語を大きくする」と言
っていた人がいて思わず膝を叩いた。ナイス表現!!


障碍者でも先天か中途化で違うという話は映画の音声ガイドづくりの現場でも話題に
上る。私よりずっと頭がよくて物知りなはずの先天盲の友人が「天蓋付きベッド」が
よくわからないと言っていた。そっか、日本で暮らしている限りミニチュアの家具と
かを触ったりする機会がなければ天蓋付きベッドがどんなものかはわからない。
私はと言えば、見えていたころに読んだ「ベルサイユのばら」とか、旅行で行ったヨ
ーロッパの城だとかで見たことがあるからたまたま知っていた。


だからと言って気が合う合わないの基準は先天か中途かなんて所は全く関係ない。そ
して同じ見えない人でも好みや趣向にはかなり個人差がある。


私は映画の音声ガイドにはずいぶん助けられていると思っていたのだが、全盲の人で
もガイドはいらないという人がいる。彼らが言うには想像で補うからいらないという
事だった
。こういう人は先天でも中途でもいたので、いつ見えなくなったかは関係ないようだ


ちなみに私は今「呪術廻戦」のストーリーについていけなくなり、見るのを断念しよ
うかと思っている。
映画にはガイドがついていたけれど、テレビシリーズにはないのでもう誰が誰やら何
が何やらすっかり置いてけぼりになっている(涙)

そんなわけで、私はやっぱり音声ガイドは絶対あったほうがいい派だ。


映画の内容に関しても、私は頭がガイドについて行かれないのでアクション物は苦手
になった。
一方、先天でも中途でもアクションもの大好きな視覚障碍者は結構いる。


スポーツも同様だ。

少し前にボウリングに連れて行ってもらった。ガイドさんに「こっちに投げて」と言
われて投げてみる。ピンが倒れた音がしたからきっと何本かは倒れたのだろう。ガイ
ドさんに聞いて3本倒れたとか4本倒れたとか教えてもらう。

レーンの向こうのピンがおぼろげに見えていたころは何となくそちらに向かって投げ
ることができたが、今はただ言われたとおりに投げるだけで私はあまり面白みを感じ
なかった。

自分で体を動かす水泳とかランニングとかの方がヘボなりに「自分でやっている」自
己満足感をえられる・・ような気がする。しかしこれはあくまで個人的な感想。ボウ
リングは多くの視覚障碍者が楽しんでいるスポーツだ。

タンデム自転車も「ただ後ろに乗っかっているだけでつまらない」という人と「風を
切ってスピードに乗っていくのが楽しい」という人がいた。


美術鑑賞も私にはあまりピンとこなかった。たまたま見に行ったのがエイブルアート
という知的障害のある人たちの絵画やら造詣だった。

、、「視覚障碍者の美術鑑賞」という事で、見える人が説明してくれたり立体コピー
を作ってくれたりした。

当時は今より見えていたので頑張って目で見ていたが、触ってわからない盲人の私は
立体コピーは何が何だかわからなかった。

見えない人も有名な絵や彫刻は一般教養として知っていたほうがいいけれど、それ以
外の「見てなんぼ」の作品はちゃんと伝わるのだろうか。

蛇足だが、東武ワールドスクエアにはミロのビーナスとか自由の女神とか世界の有名
な建造物やら彫刻のミニチュアがあるらしく、全盲の友人がいろいろ触ってとても勉
強になったと言っていた。

私も見えなくなってからの物はわからないので、ドローンやらスカイツリーは模型を
触らせてもらって初めて形がわかった。スカイツリーは東京タワーとかエッフェル塔
みたいな先がとがった塔の形をしていないんだね。

最近のファッションも説明を聞いても今一つわからない。男性のヘアスタイルのツー
ブロック、未だにワカメちゃんしかイメージできないんだけどどこがどうおしゃれな
のか誰かわかるように説明してくれ!!


私はアニメ好きと言っているけれど、アニメの一番重要な要素である「絵」の部分が
わかっていない。音声ガイドがあっても絵の良しあしは伝わらないのである。


ビジュアル要素が強いはずの宝塚が好きな全盲もいるし、みゅうじかるが好きという
聴覚障碍者の人もいる。

見えなかったり聞こえなかったりしても皆楽しめる部分を楽しんでいるのだと思う。
要はそこが自分にはまるかどうかだ。

同じ視覚障碍者でも「いつ見えなくなったか」より教育レベルや育ってきた環境の方
がその人を形作る要素になっている。

私たちはとかく「見えない」という共通項でまとめられがちだけれど、どんなスポー
ツが好きか、どんな本が好きかなど、それぞれかなり違った趣向を持っている。

みんな違ってみんないいってところかな。

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