にわくま

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創作No.2「しょうらいのゆめ」インスタントフィクション

「しょうらいのゆめ」 今、ぼくは、ものすごくドキドキしている。 一人一人、作文を読むんだ。テーマは「しょうらいのゆめ」。 家族みんなが見に来てる。 お母さんの方を見ると、片目で合図してくれた。 おばあちゃんもにこにこしている。 前の子が読み終わった。みんなの拍手の音と心臓の音が一緒になった。 「次は、鈴木くん。」 「はひい!」 しまった。…声が裏返った。みんな笑っている。 とっさに後ろを振り向いた。あ。お父さんはあきれ顔。お母さんは耳まで真っ赤だ。おばあちゃんは・・

    • 創作。「わたしの いもうと」インスタントフィクション

      わたしの いもうと わたしの いもうと かわいい いもうと 同じ日に 生まれた かわいい いもうと わたしの  いもうと かわいい いもうと わたしが 先に 別れを告げて  わたしの いもうと 会えなくなった どのくらい? 首に巻きつく 重たい掟 わたしの いもうと みにくい いもうと わたしと 同じ 瞳をもって わたしの 分身 かわいい 分身 先に わたしを 置いて出た わたしの 分身 みにくい 分身 みにくい わたしは 今日殺される わたしの いもうと あた

      • #もっと早く読んどきゃよかった本10選~私にとってのバナナフィッシュ日和はいつ?~

        「BANANA FISH」という少女漫画がある。一度読み始めると止まらなくなるけど、読むのにかなりカロリーを使うので2度目は手を伸ばしにくい名作。今回は、そのタイトルのもとになった、サリンジャーの作品「バナナフィッシュ日和」(「バナナフィッシュにうってつけの日」)をご紹介。 手に取るのが怖かったサリンジャー作品小さいころから、たくさんの小説に囲まれて育った。本棚には、もちろんサリンジャーの作品もあった。かの有名な「ライ麦畑でつかまえて(Catcher in the rye)

        • #もっと早く読んどきゃよかった本10選~太宰はM-1優勝候補なの、知ってた?~

          今でこそ大好きな太宰の作品だけど、出会いは最悪だった。「走れメロス」を中学生の時に読んで、がっかりした記憶がある。 何事にも評論家ぶりたいお年頃には、一見〈綺麗事〉に見えてしまう、あの作品は、批判するのに、ちょうどよかった。太宰はもう読まないと誓った中学2年生。 2度目の出逢いは高校生。教科書に載っている『富嶽百景』。 衝撃を受けた。初めて読んだ日、体中が熱くなった。日本語が、文章が、きらきらして見えたのは、この作品が初めてだった。 ちくしょー!もっと早く読んどきゃよかった

        創作No.2「しょうらいのゆめ」インスタントフィクション

        • 創作。「わたしの いもうと」インスタントフィクション

        • #もっと早く読んどきゃよかった本10選~私にとってのバナナフィッシュ日和はいつ?~

        • #もっと早く読んどきゃよかった本10選~太宰はM-1優勝候補なの、知ってた?~

          #もっと早く読んどきゃよかった本10選~岡本太郎は毒か薬か?~

          オンラインFUJI ROCKでRADの歌を聴きながら書いています。ゲスト出演の菅田くんが昭和初期の文豪みたいな髪型。夏が終わるね。 さて、もっと早く読んどきゃよかったシリーズ第2弾は、岡本太郎さんの本から。 毒だらけだよ!太郎さん。『自分の中に毒を持て』真っ赤なカバーで毒々しさ満載の1冊。電車の中でなんとなく堂々と読めなくてカバー外して読んでた(笑) 最後まで読めば分かるんですが、この本をカバー外して読む人間は100%岡本太郎に蹴っ飛ばされます。ご注意を。 この本を読むき

          #もっと早く読んどきゃよかった本10選~岡本太郎は毒か薬か?~

          #もっと早く読んどきゃよかった本10選~諭吉先生、学問がしたいです~

          Twitterでよく目にするタグにインスパイアされました。(←物は言いよう。)作品のタイトルだけでなく、内容にもふれてみました。いきなり10冊だと多いからまず1冊。 最先端の男・福沢諭吉が熱く語る『学問のすすめ』日本人が一度は目にしたことのある「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり。」の名文句から始まる本著。うわあ、とっつきにくそう!と思われるかもしれない。しかし、読み終わったころには、「福沢先生・・・。学問がしたいです・・・。」と涙することになるだろう。 す

          #もっと早く読んどきゃよかった本10選~諭吉先生、学問がしたいです~