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ものづくり界隈における「目」の価値の高まりについて

本を買った。

観察 「生きる」という謎を解く鍵 単行本 – 2018/1/25
アルボムッレ・スマナサーラ (著),‎ 想田和弘 (著)

自分自身を観察する「観察瞑想」と、外の世界を観察する「観察映画」。
ジャンルは異なりながらも、「ありのままの現実を見つめる」という行為の重要性を熟知する「二人の観察者」が、「生きるとは何か?」という問いを、さまざまな角度から語り合います。

同じく観察に関して前に近い本を買った。

観察の練習 - 菅俊一 NUMABOOKS

駅やオフィス、街や家の中で出くわす、小さな違和感。あるいは、市井の人々が生み出すささやかな工夫や発明のようなもの。著者が日々収集し続けている数多の「観察」の事例を読み解く思考の追体験をしていくことで、読み手にもアイデアの種を与えてくれる。
過去の膨大な量のリサーチの中から50あまりの「観察」の成果を厳選し、テキストはまるごと書き下ろし。著者のこれまでの人気連載コラム「AA'=BB’」(modernfart)、「まなざし」(DOTPLACE)を愛読していた方も必読の、初の単著にして決定版的な一冊。

こうした「観察もの」の本が最近はやっている。もっと言えばinstagramで街ゆく人をスケッチする人が人気になったり、ファッションをテーマにした漫画「ランウェイで笑って」などでも、主人公の才能として「観察力」があげられている。

ランウェイで笑って (3)  - 猪ノ谷 言葉 http://kc.kodansha.co.jp/product?isbn=9784065101308 より

またさらに遡れば、一部サービス/UXデザイン界隈では有名な「考えなしの行動?」もある。昔は「知る人ぞ知る名著」って感じだったのに、いまや観察メソッドが一大分野に。

それにしてもなんで、今「目」が来ているんだろう。青山ブックセンターで本を買った帰り道にぼんやりと散歩しながら考えていた。

そういえば聞いた話で関連するんじゃないかと思い当たることがあった。ハリウッドの映画脚本作成術の領域において、少しずつ才能の解体が始まっているらしい。これまで「良い脚本を書く=才能」とされてきたが、シド・フィールドらの提唱する三幕構成をはじめとした脚本作成メソッドの普及によって、理論にしたがって訓練を積めば、ある程度誰でも優れた脚本をつくれるようになっているらしい。

少しずつ「才能」と呼ばれる部分が減っていき、「技術」にとってかわられているらしい。ただ技術として教えられない領域が残されているとして、それが「目」なんじゃないかと思っている。いや漫画のシーンに書かれているように、目的をもった訓練を積むことである程度の人間であれば「目」も鍛えられるのかもしれない。先述のハリウッドの脚本術でも「どう書けばいいのか」は教えられるが「何をかけばいいのか」は教えられないらしい。日常の中から何を、を抜き出す力、それが目なんじゃないかと一人考えてる。

・・・

なんて偉そうな事を書いてみたけれども、ただシンプルに「どうせ教えるなら要領いいやつに教えたほうが楽だよね」「要領いいやつは才能あるよね」という昔から変わらない話なのかもしれないんだけれど。


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