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続・アイドルのすすめ

突然ですが、アイドルは好きですか?

私は東京に上京して、約8年間で336回現場に足を運びました。現場とはアイドル用語でライブや握手会などイベントのことです。

自慢気に336回とか言っててキモイなと思われるかもしれません。しかしヲタクの人たちから見れば、私は何の変哲もない量産型アイドルヲタクです。

本日はそんな何の変哲もないアイドルヲタクがアイドルに人生を変えられた話をします。

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「アイドル現場に行くのを減らす」

これは私が二年に一度くらい決意して、ほとんど実行されていない{合い言葉}のようなものである。{止める}ではなく{減らす}だけにも関わらず、その決意が実現されることはなかった。

なぜ減らすのか?その時々で異なる理由がある。資金繰りだったり、時間のゆとりがないことだったり、パートナーとの兼ね合いだったり、推しが卒業してしまう悲しさからだったり、転職するタイミングだったり……
これだけ重大な決断と密接な関係があるということは、アイドル現場に足を運びはじめるとそれほど生活に変化が起こるのである。

ここからは、アイドル現場に通い始めて、私に起こった変化について紹介しよう。


● 生活の軸ができる(=生活の中心がアイドルになる)

そもそもアイドルを推すという行為は、具体的に一体どんなことなのか?

基本的には、音楽を好きな人間、もしくは女の子(男の子)を好きな人間がアイドルヲタクと呼ばれる存在に育っていくことが多い。
そして、アイドルを支えるために様々なコンテンツを見たり、お金を払いはじめる。

・動画を見る
・ツイッターを見る
・リリースイベントに行く
・CDを買う
・ライブに行く
・グッズを買う
・チェキを撮る
・ファンクラブに入る
・イベントに遠征する

このような過程でヲタクは、楽曲にハマり、グループ(またはソロ)を好きになり、推しメンができ、ライブ現場に通い、仲間ができ、アイドルから認知される、といった進化を遂げていくのである。

在宅オタクやぼっち参戦など、様々な{推す}形態はあるけれど、量産型のヲタクは基本的に上記のような流れで出来上がっていくのではないかと思う。

ヲタクとして成長すると、日常生活とアイドルが密接な関係を築き始めることになる。

生活の中で大半の時間は、働く・食べる・寝る、この3つが大きな割合を占めているはずである。「お金」と「時間」を消費して、調整しながら、私たちは生活をバランスよく楽しむことが出来る。

先程述べたアイドルを{推す}行為は、愛が強くなればなるほど、お金と時間を多く消費する必要があるのは想像がつくだろう。アイドルを本気で楽しむには、推しごと(アイドルを推す活動)を中心に置かなければ生活が成り立たないのである。

生活が崩壊していくヲタクもいれば、なんだかんだバランスを保って楽しんでる人もいる。耐えきれなくなり現場を他界する(通うことを止める)人もいたり、千差万別の人生を歩んでいく。

これだけ見るとアイドルヲタクは悪いイメージを持たれがちだが、現実はそんなことはない。生活の中心に様々な欲望にまみれたコンテンツを置いてしまい、人生が狂っているやつなんて沢山存在する。

田舎出身の私からすると、女と金の欲望を満たすためだけのクダラナイ生活を歩む人間をたくさん見てきたので、アイドルという産業にお金を投資してエンタメ業界を支えている人間たちは素晴らしいとさえ本気で思える。

何事もバランスなのである。

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生活の中心にアイドルが置かれることで、どんな変化が起きるのか?私を例に撮って説明しよう。

まずはタイムスケジュールの管理を徹底的にするようになる。本気でアイドルヲタクをするには、仕事である程度まわりに認められなければならない。なぜなら資金も稼げなければ、時間も自由に使えなくなるからだ。

ということは、ライブへ行く時間を間に合わせるために、いかに無駄な仕事を減らして時間内に終わらせるか、そして結果も出せるかを考えて動く必要がある。

正に、これが本当の働き方改革であろう。

あとは上司とのつきあい方が上手になる。仕事の裁量を自分で決められるくらいの関係を築けると、大事なライブの日は仕事を入れないといったことが可能になる。

仕事以外の面でも、様々な変化が起きる。
無駄使いをしなくなったり、愚痴だけのつまらない飲み会に参加しなくなったり、会社以外のコミュニティができるようになる。

無駄なお金を使うくらいならチェキを撮るための資金にするし、つまらない飲み会に参加するくらいなら仕事後にライブに行き、オタクとアイドル話だけ楽しめる飲み会に参加して帰路につく。

すべて自分が実践していた(主観なので妄想も含まれる)ことなので、誰でもこのくらいの変化が起きるわけでございます。

最近いろいろと働き方について言われているけれど、それが実践されないのは当人が夢中になれることがないか、上司が人の足を引っ張るための仕事しか出来てないかどっちかではなかろうか。後者だと思う人は今すぐ転職すればいいさ。なんとかなる。

このようにアイドルが生活の中心になると、人生が豊かになるのです。


価値観の合う仲間に出会える

とは言っても夢中になれるものを探すことや、価値観が合う仲間を見つけるのは大変なことである。それが感覚で見つかるのがアイドル現場の良いところだ。

夢中になれるアイドルは、動画を見て、ツイッター見て、現場に行けばすぐに見つかる(はず)。問題はアイドルヲタクの仲間を見つけることだ。

アイドルヲタクといっても群れを成す人たちから、孤高の戦士まで様々な人種がいる。自分に合うコミュニティを見つけるのは大変かもしれないが、私たちには「推しアイドル」という強力な共通点があるのだ。

推しの話をするときは、すべて正解になる。なぜなら推しのことは悪く言わないから。かわいい、エモイ、尊い……ひたすら褒めて、ニヤニヤして、それだけで分かり合えた気になるのである。

そんな調子で少し勇気を出せば、ライブで隣になった人ともすぐに分かり合える。さらには、はじめての人と会ったときに起こる、煩わしい共通点探しをアイドル現場ではしなくていいのだ。

では、自分と価値観の合う居心地のいい仲間はどうやって探すのか?

簡単である。ひたすら推しの話をし続ければいいのだ。どこが好きか?を語り合えば、必然と自分と価値観が合うのか感覚で伝わってくる。
去るもの追わずなことも、アイドルコミュニティの良いところで、合わなかったら去れば良いだけだ。現場以外で会うことはない。

私はいろんな道を経て、主現場では孤高のぼっち戦士になることを選んだ。ただ、それも仲間がいないのではなく、話をしなくても一体感を味わえるヲタクたちがいる現場を見つけたからである。

誰ともつるまなくても、仲間がいるように感じる境地に達したのだ。実際は妄想かもしれないが、そのぐらいアイドルの現場は熱狂で溢れかえっているのだ。


主体性を持って動ける

境地に達した私が、アイドルヲタクになって一番感じる変化はこれである。ひとりが孤独じゃなくなり、周りに縛られずに、自由に趣味を楽しむことができるようになった。

足を運んだ現場には、気の合う仲間がいるときもあって、ライブ後に感想戦と称して飲みに行くこともある。仕事も年齢も関係ない、そこにはただただ好きなアイドルが一緒という共通点が存在するだけ。それを楽しむだけの空間においては、ひとりぼっちだろうと、仲間と一緒にいようと、楽しみ方はその日の自分の気持ちで決められるのである。

スマホが普及して、自分の好きなタイミングでSNSを見て連絡を取れるようになった。そんなコンビニエンス世代の私たちは、自分の瞬間的な欲求に素直すぎる部分がある。予定を立てるのも、遠い日程のことを決めるのもおっくうで、インスピレーションでその日の行動を決めたいのは私だけではないはずだ。

しかし、人間はひとりでなんでも行動できるほど強くはない。初めてのところに足を運んだり、自分の気分で人を巻き込んだり、好奇心だけで一緒に行動してくれる仲間を見つけるのは、至難の技である。

ところが、アイドルの現場に行くとそのようなことをいとも簡単に出来てしまうときがある。好きなものに対する行動力は、それだけ人を動かす強力なパワーになるのである。

自ら主体的に行動している人間同士は、仲間になりやすい。付かず離れずの関係が、好きなものを追いかける時はとても心地いいのである。

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一心不乱にここまで書き殴ってきましたが、アイドルが私に与えた変化をお分りいただけたでしょうか?

・生活の軸ができる
・価値観の合う仲間に出会える
・主体性を持って動ける

自己啓発本もびっくりな変化が、アイドルを好きになると起こります。

私はアイドルを好きになって、夢中になれることがある幸福感を知り、居心地の良い仲間に出会い、今この瞬間に行動する大切さを実感することができました。それは、好きになる前よりも、自分の人生を豊かに感じられることでした。

私が大好きなグループのある曲の歌詞にこんなフレーズがあります。

悪いことしたときはね ごめんって謝ろ?
そうすればケンカも争いも戦争だってなくなると思うんだ
ずっとずっと笑ってたいから ごめんと謝れるその勇気はダイヤモンド

良い変化ばかり述べてきましたが、アイドルの現場でも悲しい出来事が起こることはあります。争いが起こり、殴り合いが起きたり、悲しい事件が起きることもありました。

しかし本当は、好きなことを追求するために起こる争いは「ごめん」で済むことが多いのではないでしょうか。ごめんで済まないことは、大抵がそこで起こっている事柄と関係のない人間が起こすことばかりです。

夢中になれることを追いかけている人しかいない世界があったとしたら、そこは本当にケンカも争いも戦争だってない、ずっと笑っていられる世界になるんじゃないでしょうか。

ごめんの一言で許せる世界ならば、ずっとずっとみんなで笑っていられる世界になるんじゃないでしょうか。

私の世界は、アイドルに出会って、そしてアイドルや音楽を好きなヲタクたちに出会って、大きく変わりました。

そこのあなたもアイドルの世界に足を踏み入れて、ケンカも争いも戦争だってない世界を一緒につくってみませんか?

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。ごめーーーん!!