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「温度感のある数値目標」ってこういうことかもと思った話 ~コルクラボ編集専科 #5

「コルクラボ編集専科」(※)に参加してきました。

※『コルクラボ編集専科』とは、コルク 佐渡島庸平さんが主宰する編集スクール。佐渡島さんだけでなく、出版業界・WEB業界の一流編集者たちが講師をつとめます。


奇跡のような売上を出し続けてる編集者

今回の講師は、小学館の編集者 畑中雅美さん。ヒット作を連発させている『少女コミック Sho-Comi』編集長です。以前は『Cheese!』編集長をされていて、紙が売れないといわれている時代において、奇跡のような売上を出し続けている…お方です。

ヒットが出し続けられるのはなぜか?

そのヒントはいくつか語られていて、「平凡力こそが、自分の強み」「データをみて、自分なりの仮設をたてて試してみる」「成功からではなく失敗から学ぶ」…などがあったのですが、個人的には、なぜヒット作を生み出したいのか、という話が面白かったです。

ヒット作を生み出し続けたい理由

いってみるなら、畑中さんの「編集哲学」です。いわく、物語というのは、「現実直視型」と「現実逃避型」に分けられる。「現実直視型」は、現実を突きつけて、お尻を叩かれて、よし、頑張ろう!と奮起できる物語。これは、心が元気じゃないと向き合えない話。

一方、「現実逃避型」は、夢見たいな話だけど、現実でこういうことが起きたらいいなぁ、と憧れるような物語。心が元気なときに読みたい話、いいかえると、元気になれる話。

畑中さんは後者を作りたい。畑中さんが見ていたのは、世の中のいろんな格差。男女や所得や情報・・・つらいことや忘れたいことに向き合っている人というのは、自分が思っている以上に多いもので、だからこそ、そういう時に寄り添ってくれる物語が必要。物語を読んで、少しでも元気になってくれたら嬉しい。また頑張ろうと思ってもらいたい。

それが畑中さんが、ヒット作を作り続けようと思う理由だそうです。

編集長として掲げる、温度感のある数値目標

さらに、別のインタビュー記事で、「ヒットの部数は、読者の誰かを癒やした数」とおっしゃっていて、これまでの話とつながり、なんて素敵な考え方なのだろう、としびれました。

膨大なデータを細かに分析されているのに、そのデータを無機質な数字ではなく、“誰かの心を癒やした数”ととらえている。情熱というか、心がある。みんなが目指したくなる、こういうのを「温度感のある数値目標」っていうんだろうな、とそんな風に感じました。

そして、これって、リーダーとしてチームを率いて、何かを目指すとき。なりたい姿を語るときに、とても大切なことなんじゃないかと思うんです。

自分もメンバーとPVを2倍にしよう、更新本数を10倍にしよう…なんて話をしがち。でも、その数字って何の意味があるのだろう。PVは、ユーザーに喜んでもらえている証と置き換えたりすることもあるけど、畑中さんの話を聞いて、情熱が持ちにくくて、夢がなくて、魅力がないのだと思った。

このサイトを通じて、この記事を通じて、自分は読者にどんな気持ちをもってもらいたいのか、どんな勇気を届けたいのか…きっと、もう少し具体的な寄り添う気持ちから考えていくとよいのかな、と感じました。

という感じで、とても学び多い回でした。

次回はいよいよ最終回。楽しみです。

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