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奇偉(きい)

記録する簡単な作業より、何かを見つけることに注意深くいる方が楽しい。モネはその事柄を絵で残してくれた。

この夏に行ったモネの美術展は、魅力的に感じる絵が多かった。

モネの絵は夕日が水辺に反射している色や、木々の隙間から漏れ出ている光の色が鮮やかに見える。強調されたデフォルメに強く惹かれた。

ある色や一部分をフォーカスして描く写真の修正技術をとっくの昔に気づいて実践していたのだ。

でも本当に素晴らしいのは先進的な技法などではなく、美しい目線を景色に投影していたことだ。

景色を見て魅力的な部分を発見できなければ、それを描くことはできない。

世界をどんな風に見るかで作るものも変わる。モネの絵はその「眼差し」を持つことを教えてくれる。

自分のやり方を説明するのではなく、本質的なものを具現化できる力のなんと稀有なことよ。

足を運んだ美術館で、そんなことを思っていた。

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