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ソン・ウォルピョン『三十の反撃』

今回の一冊はこちら。


 本屋大賞受賞『アーモンド』の作家さん、翻訳第二作です。

 韓国の鬱屈とした社会で生きながら、それでも、それをスカッとハラしてくれる何かを待ち望んでいる……。

 主人公は30歳の女性。
 クラスに何人もいるくらいありふれたジヘと名付けられた。

 一般市民への講座を提供している、メディア系大企業のグールプ子会社で働く、インターン。
 日本で言うところの、非正規社員。

 ある日、人気講師・成功している大学教授を糾弾する男を見てしまう。
 彼が、同僚インターンとして入社してきて……。

 という始まりの物語です。

 正社員登用ありのはずが、期間が過ぎてもインターンのまま。

 転職活動もしているけど、うまく行かない。

 アパートは家賃の安い半地下。でも、それでも苦しくて次の場所を探さなきゃいけない。

 韓国社会の不合理が描かれます。

 が、苦々しい思いが湧いてきませんか。

 一つ一つの社会事情を語る用語は、知らない。

 でも、わかる。

 だって、日本にすごく似ているから……。

 鬱屈した感情を抱えながら、とりあえずその感情を濁して日々を過ごしている。 

 その中で、素敵な異性との出会いとか、今より働きやすい職場とか、人生の意義になるような目標とかを探している。

 でも、安心して読んでほしい。

 『アーモンド』もですが、爽快感のある結末が待っています。

 どんな大人になりたかったか。

 今からでも、夢を見てもいいかもしれない。


 


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