今、欲しいのは想像できる選抜
想像力の停滞
本当に突然なんですが、あなたが考えるSKE48の選抜メンバーを考えてもらってもいいですか?
人数はそうですね。
16人しましょうか。
曲名はなんでもいいので、AIに勝手に決めてもらいましょう。
よし、じゃあ、「輝く太陽のリフレイン」選抜でいきましょう。
こいつ、僕の最後のメッセージ、ガン無視で来たな。
さて、16人のメンバー、皆さんはどんな順番で決めていきますか?
まず、この曲のセンターにあたる人物から決める人が多いのではないでしょうか?
僕は、そうですね。
夏曲なのと、歌詞の世界観からいうと、これから「成長と輝き」を意識させられるメンバーがいいので、10期生の林美澪さんで行きましょうかね。なんやかんやでセンターはれる人って、かなり限られると思うんですよね。で、残りのメンバーを決めていかねばですね。
さあて、誰から。
この時、あなたの頭の中によぎる基準は何でしょう?
2024年現在、多くの方の基準にはトーク会等の売り上げがあるのではないでしょうか?
まあ、ここ3年ぐらいのCDの選抜基準の暗黙の了解として、トーク会等の売り上げが存在していると僕は考えます。遠回しにそれを配信などで語るメンバーもいますよね。
ただ、メリットとデメリットもあります。
まず、メリットを考えていくと、直接的な支持率が分かります。ああ、今このメンバーが人気あるね、と。また、トーク会でファンとメンバーとの交流が強化されて、更に応援する意欲もわきますよね。
ただし、デメリットも勿論あって、ファンの購買力に依存した選抜入りをするメンバーが出てしまうこと、全員に同じ握手会の部数が用意されてない場合のスタート地点からの不公平感があります。そして、曲の良さよりも売れているかという数字の議論に流れやすくなる恐れもあります。
「グループが存続していくには、売り上げが大事だろ、現実を見ろよ」と怒られるかも知れません。そうですよね、と多分、僕は頭を書きながら謝ると思います。こういう時はいつも全負けです。しかし、ふと俯いたまま思います。あれ? 僕らって昔からこんなに握手会の売り上げとか考えてたっけ?坂道とかの成功例があるから、それで決めていくようになったからだっけ?
現実を観過ぎたせいで、僕らは想像力を失い始めたのではないでしょうか?
好きなように選抜を決めていいよ、と言われた時ですら、その基準は握手会の売り上げに支配されているのではないか、と。ここで、じゃあ、握手会の売り上げ無しでどうやってグループ存続させるんだよ、と言われる方もいらっしゃるかも知れません。すべてがそうとは言いません。握手会の売り上げも無視できません。でも、それだけに支配されて、僕らはグループの選抜について語る時の思考回路がかなり偏っているのではないか、ということです。他の選抜の選び方の想像力っているんじゃないのかな、ということです。
逆方向から想像してみる
「Working Backwards」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これはアマゾンのジェフ・べゾスの側近中の側近コリン・ブライアーとビル・カーの共著「アマゾンの最強の働き方」の中で書かれていた考えです。製品開発の際に提唱したアイディアで簡単に訳すと「逆向きに仕事をしろ」というものです。新しい製品を作る際に、まず望ましい結果をイメージしてそこから逆算して達成するために必要なステップを設定していく方法ですね。
「この商品は世の中に必要とされているのか?」、「どんなイノベーションが生まれるのか」を想像することで、そのアイディアが必要なものであるか、強度を考えられることが出来ます。ちなみに、この考えはジェフ・べゾスもスピーチで語っていますが、1997年にスティーブ・ジョブズもアップルにCEOとして戻った時のスピーチで似たようなことを語っていましたね。「顧客体験からスタートして遡り、テクノロジーをどう活用するかを考えなければいけない。テクノロジーから考えてはだめだ」と。
じゃあ、SKE48の新しいシングルの選抜がアイドル界や日本の音楽シーンに現れることでどんなインパクトが生まれるのか? そんな想像が広がるような選抜はどんなものか?
先ほどの「輝く太陽のリフレイン」選抜から考えてみると、僕が今、日本のアイドルグループに起こって欲しい変化は、「喜怒哀楽」でいえば、「怒」や「悲」を受け止めてくれる表現が出来るグループの登場です。かつての欅坂46が僕にとってはそうでした(片ファイの頃のSKEも?)。どうしょうもない怒りや孤独な悲しみ、ときにはやるせない切なさを受け止めてくれるような表現力のあるセンター。だから、林美澪さんを選んだんですね。急に「輝く太陽のリフレイン」が無人島で遭難した人や不眠症の人の朝みたいな歌詞になりそうな気がしてきましたが、とりあえず、置いておくと表現力重視で選抜を選んでいくと、まず、僕らが参考にするのは劇場公演ではないかと思います( シングルのMVや外仕事での演技もあるかも知れませんが )。この人の曲の歌詞の読み取って表現する能力は凄いな、選抜に居ても違和感がないよね、とか、このメンバーはまだ研究生だけど公演の中で光るものがやっぱりあるよね、とか。そうなると、トーク会の売り上げとは違う選抜基準の選択肢が生まれます。
今必要なのは比喩としての青海ひな乃や平野百菜だ
逆算する未来はそれだけではありません。
たとえば、グループの認知度の拡大でいえば、多分、青海ひな乃さんをセンターに据えるのがベストだと僕は思います。国内だけでなく国外にもアピールだきる貴重な存在だと思います。
そして、卒業生でいえば、平野百菜さんはもう少し前列で観たかった人です。アイドルの配信というものをあそこまでアイディアでアップデートさせて本人のキャラクターもあって日常を楽しくしたのは、コロナ禍の毎日の希望のだったという方もいるのではないでしょうか?このメンバーの配信を絶対に観ておけ、という人が一人でも生まれるとプラットフォームの垣根を越えてファンが増える可能性もあります( わりとファンの方が挙げた切り抜きから認知度が広まるというのを五十嵐早香さん推しだった僕は体験しています )。
しかし、残念ながら、二人とも今のSKE48にはいません。
しかし、二人の要素を抽象化すると、どうでしょう?
たとえば、他国じゃなくて、他ジャンルにリーチしたメンバーやその要素をこれから獲得しそうなメンバーは沢山います。また、外にこの人の配信を知ってもらえば好きになってくれるメンバーもいるのではないでしょうか?
そうすると、センターや選抜メンバーの配分も変わってくる気が僕はしています。歌唱力で選ぶのなら、水野愛理さんや澤田奏音さんもセンターにしてもいいと思います。「世界には愛しかない」や「だらしない愛し方」のように曲中にセリフがある曲なら北川愛乃さんもいいと思います。
色々と書きましたが、勿論、アイドルもビジネスで売り上げを重視するのは大事ですが、売り上げが全てになったら、つまらなくなると僕は思います。それよりもほんの一人分の枠でもいい、いや、出来たら二人三人、なんなら四人。
夢を見せてほしい。
想像をさせて欲しい。
意味のある選抜を作って欲しい。
それが出来る個性が今のSKE48にはちゃんと揃っています。
今回選抜に選ばれたメンバーも選ばれなかったメンバーも、才能が活かされる選抜を見てみたい。
僕はまだまだSKE48は想像できるグループだと思っています。
あなたの想像力は今、刺激されているでしょうか?
こんな大変なご時世なので、無理をなさらずに、何か発見や心を動かしたものがあった時、良ければサポートをお願いします。励みになります。