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或る「小倉日記」伝 (短編小説)

前からずっと読みたかった、松本清張の芥川賞受賞作品。「森鴎外が大好きな少し不幸な青年が、彼の足跡を探し求める物語」とまとめると平凡な印象だが、読むと松本清張らしさ全開の短編。作家として対象物を追求する姿勢が、主人公の青年・田上耕作と重なった。

私の母も祖父も松本清張の本が大好きで、ほぼ全ての作品は書棚にあった。だから、読もうと思えばいつでも読めたのだが、表紙が大人っぽいというか"子どもは見ちゃダメ"系な雰囲気があり、なんとなく近づけなかった。

「けものみち」や「点と線」、「砂の器」などメジャーどころはドラマや映画視聴と同時に読んできた。しかし「或る『小倉日記』伝」は、やはり清張先生の聖域のような気がして、軽く読んではいけないような印象があった。だから、いつ読むか悩んでいるうちに、ここまで経ってしまったのだ。

一つの事にコツコツ地道に励み続ける大切さ、改めてそれを感じさせられた。

やっぱり松本清張は、凄い。


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