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はね駒#75、76 (再放送朝ドラ)

先週今週と、主人公りんの妹・みつをメインに話が進んでいる。そしてとうとう、みつは亡くなってしまった。

農家に嫁ぎ、出産直前まで農作業に駆り出され、出産後も大切にされないまま、実家に返される。わが子を遠くからぼんやり見ただけで、一度もその手で抱くこともなく死んでいったのだ。

産後の肥立ちが悪かったことに加え、精神的ショックで死んだ彼女。嫁ぎ先に殺されたといっても間違いではない。ドラマだと解ってても憤激したが、それは100年ほど前の日本では普通のことだったようだ。

にしても、やはり樹木希林である。

主人公姉妹の母親を演じる彼女は、当時42歳にして既に円熟味を感じさせている。大事な娘を喪い悲嘆に暮れつつも、せめて娘が夫婦として幸せな日々を過ごしたのだと信じたい親心を、淡々なのに深く印象づける。みつが死ぬよりも、その親心につられて泣いた。

寺内小春の脚本が素晴らしいから、このドラマも見応えがあるのだ。セリフだけで胸に迫ってくる。今の朝ドラにも、良いシーンやセリフはたまにある。しかし全体のトーンが軽薄で、もはやバラエティ番組の寸劇かと思うことも多い。2番組を続けて見ていると、作品の持つ品格や重厚さに雲泥の差が歴然と生じていることに気づくだろう。

昔が良い、と言うのではない。変化もまた進化である事は承知している。しかし、過去や歴史を描くときは真面目に丁寧にやって欲しい。

それを見て自分がどう思うのか、今と比較してどうなのか、そういう事を考える機会の一つとして朝ドラには存在して欲しいのだ。

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