OcciGabi Winery

北海道余市のぶどう畑とワイナリー&レストランOcciGabi(オチガビ)

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最近の記事

120.人生何十年?

 人間五十年、  下天の内をくらぶれば、  夢幻の如くなり。  一度生を得て、  滅せぬ者のあるべきか。   我が国に住む男のふたりにひとりは好きな「敦盛」の一節、というよりは信長が深く愛した人生観がこれです。兎に角、我が国の歴史上一等天真爛漫なる革命児で、他の誰もが模倣出来ない人生だったからこそ、うらやみの眼で見られるのでしょうか。   生涯殆ど大きな組織に縛られることな く、しかも生来反骨心の強い人間ゆえ、アホみたいにこの一節を信じて生きている私です。最近では、「ロクでも

    • 111 ヘミングウェイ②

        新潟市でカーブ・ドッチというワイナリーを経営していた時は、とても大きな庭の中に幾つもの建物を配置しました。その庭はせっせとバラやら宿根草で飾り、樹木も何十本と植えて、残っている空間はすべて芝生で覆ったので、きれいな空間となりました。   しかしその事がアダとなってと言うべきでしょうか。それとも最初に捨てられていた猫の親子7匹を大事に大事に育てていたせいでしょうか、人口80万人の街の不届きな人々が次から次へと猫を捨てに来たのです。22年間そのワイナリーを経営していて合計41

      • 65.「日本ワイン」①混迷の時代の始まり

        2016/3/18  昨年10月に施行された新ワイン表示法。泰平の眠りを覚ます何とやら・・・でしょうか、今まさに我国ではワインの新時代が始まろうとしています。勿論維新前夜の幕末期の如く、庶民はと言っては失礼ですが、一般のワインファンの多くはこの事態の到来を殆んど知らず、それどころか肝心要のワイン製造業界内でさえ、自分に都合良く解釈している人の多いのが現状です。曰く、きっと政府は悪いようにはしないし抜け道も用意して呉れるさ。曰く、こんな厳しい法律なんて業界が一丸となって骨抜き

        • 64.冬の南ドイツ

          2016/03/16  1月下旬に4日間ほどドイツに行って来ました。プファルツ、バーデン、ヴュルテンベルク、フランケンといった南部ワイン地帯のちょうど中心に、自分が40年前、ワインぶどう栽培とワイン醸造を学んだ国立の学校があります。かつての同級生や全体で1000人程現役で活躍している同窓生もこの地帯には多く、彼等を訪ね歩いたり、新しい醸造機器を見たりするのが目的です。  ドイツでは一般に自分の頭の中にあることを言葉に換えて、大きな声で喋ります。相手の意見も十二分に尋き出そう

        120.人生何十年?

          179.ワイン作りは北海道のどこで

          2020/3/11 ワイン作りの観点から、と言うよりはdirectに「ワイン用ブドウ栽培」の視点に立って考えた揚げ句、私は余市を選びました。数日単位なら、今迄日本中を色々と視て歩きましたし、長く住み着いて自分自身が何万本単位で栽培を行ったところも、北海道・長野・新潟で4カ所あります。そうです、ドイツ・オーストリアでの勉学・研修後43年前に帰国して以来、実践しながら考え、更に工夫を施すを繰り返して参りました。その結果、ワイン用ぶどう(以下ヴィニフェラと呼びます)栽培の地として

          179.ワイン作りは北海道のどこで

          178.凍害の心配

          2020/2/17   大寒、立春も過ぎ、今後は三寒四温を繰り返しながらも、気候は確実に暖かい方へと向かうハズですが、この時季に天気概況を見ていて一番気になるのが朝方の最低気温のことです。凍害が心配だからです。全体としてはこの3~40年温暖化の傾向とはいえ時折ドキッとするようなー20度、―30度の観測気温が発表され、しかもそれが近年ワイン用ぶどうを植えた地域の時はとても気になります。積雪が充分にあってぶどうの枝やその枝に付いている冬芽がきちんと寒さから保護されている場合は問

          178.凍害の心配

          177.ワイン作りの伝導師フランスより来たる?

          2020/2/15   昨年9月と此の正月、放送はNHKながら画面に出てくる人々を見ると、制作の陰の仕掛け人は北海道庁と思われる映像が流れました。或るフランス人が異常気象ゆえワイン作りの聖地ブルゴーニュを捨てて、世界中を捜した揚げ句やっと見つけたこの世の理想の地・函館にやって来たというストーリーです。その名はエチエンヌ・ドゥ・モンティーユ氏。 この人物とは私自身2017年1月下旬にメールのやり取りをして、手元にその文面が残っています。その内容を手短かに記しますと、(原文は英

          177.ワイン作りの伝導師フランスより来たる?

          176.ワインはどう流通させるべきか

          2019/12/28   昨今のGAFAの跳梁跋扈振りに、我が日本政府が大きな危機感を抱いています。対抗策として我がYAHOO JapanがLINEと組んだりしていますが、昭和22年に生まれた私は、いくら長くてもあと20年程しか生きて居ないのに、世界はこれからどれ程変わるのだろう、と考える今日この頃です。   しかし、我が国のワイン製造と流通は一度行き着くところまで行ってしまいました。原因は我が国の経済至上主義にあります。それをワインの世界に持ち込んでしまったのです。   

          176.ワインはどう流通させるべきか

          175.観念論的ワイン作り

          2019/12/26   ワイン作りは99%「ワイン用ぶどう作り」と言ってもよいと思います。そしてそれは農業なのですから、「ワイン用ぶどうを作るということ」そのものは一種の「物作り」です。ですから勿論、ワイン作りは決して芸術でも、哲学でもありません。ところがワイン用ぶどうを作ることにきちんと精力を注いでいない我が国のワイン醸造家を気取る人達は、この大事な「物作り」の部分をなおざりにしておいて、すぐに醸造理念の議論へと進みたがります。その時、一番大事な原料作り(物作り)の部分

          175.観念論的ワイン作り

          174.国内ワイン市場現況

          2019/12/16   昨年末の12月30日がTPP(環太平洋貿易協定)、そして今年2月1日が日欧EPA(経済協定)の発効日でした。国内ワインの製造現場では、この両協定が丸でボクシングのボディーブローの如くジワァーと効いてきた観があります。   先ずは輸入ワインそのものか輸入濃縮果汁を使用した場合、表と裏ラベルに「輸入ワイン使用」又は「輸入原料使用」の表示が義務付けられ、今迄のように「国内でビン詰めしたのだから国産」と声高かに宣言出来なくなりました。お役所がそれでも大手ワ

          174.国内ワイン市場現況

          173.ドモホルン・リンクル狂

          2019/12/14   熊本市に本社のある再春館製薬の若社長・西川氏が来訪しました。昨秋・今春・つい先日と3回続けてです。いくら私自身が熊本から車で南に1時間程の鹿児島県川内市(現在は薩摩川内市)の出身だからとはいえ、一年の間に遠来の人に三度もお会いするのは珍しいことです。   日本のワイナリーの多くが輸入原料に頼っている現状に腹を立てて、この40年余ずっと「国内のワイン作りは殆んどが邪道だ」と声高かに言い続けて来たせいで、ワイン業界では余り私のことを好きな人は居ないと思

          173.ドモホルン・リンクル狂

          172.Wahnsinnig

          2019/11/09   ヴァ―ン・ズィニッヒと発音します。ドイツ語の会話によく出て来る表現で、「何をバカな!」とか「そりゃ、むちゃくちゃや!」と、相手をバカにすると言うよりは論外だと議論打切り宣言の時に使います。   非常に悲しいことながら、今年この余市の町にワインぶどう畑を作ると宣言して入って来た人々の、出来上がりつつある畑を見ての私の正直な感想がこれです。或る人は真北斜面のしかも傾斜のきつい所に苗木を植えてしまいました。トラクターでの管理もその急勾配ゆえ大変でしょうに

          171.When the Sleeper wakes

            11月に入ってもぶどうの葉が落ちません。何を言うか、例年11月中旬が落葉のシーズンじゃあないか。それはそうでしょう、標準の年はね。でも私の計算法は違っています。   今シーズンは本州の悪天候を尻目に、北海道なかでも我が余市町はとても特殊な気候でした。5,6,7月は好天続きで東京よりも高温で、というより日本一高温の日さえ何日かありました。雨も小雨が2週間に一遍程度で絶好のワインぶどう日和り。8月に雨がきちんと降る日は何日かありましたものの、我がぶどう群は8月中旬には成熟期を

          171.When the Sleeper wakes

          170.民は知らず、ソムリエ諸氏も更に知らず。

          2019/10/20   先日、私と同じ町で私とは異なるワイン作りを指向しながらも、時々直かに意見を交換している「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我君と電話で話した時のこと。   私が「国税庁から国内すべてのワイン製造業者に『ワイン新法』の指針が示されたのは、確か2015年4月だったからもう4年以上昔のことだね。あの頃は誰もが、どうせザル法になるに決まっていると思っていたけれど、実際にはこの年初から完全施行されてみると、とても厳しい法律となったね。でも君、どうしてこんなに厳正な法律

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          169.トゥーンベリの主張と世界の首脳達の反応

          2019/10/01    グレタ・トゥーンベリ。スウェーデン出身の16才の人です。彼女の言っていることは何人(なんぴと)も反論が許されない程完璧に正しいと思います。現在71才の私などは彼女の主張を聴くと本当に恥ずかしくなります。そうです。現在50-60才以上の人々は何とか人生を普通に全う出来そうです。しかし彼女の世代の人々は確実に私共の残した大量の二酸化炭素のもたらす、地球環境悪化のツケを支払わされるのです。いや、可成りの確率で彼女が涙を流しながら訴えるように、人類は絶滅の

          169.トゥーンベリの主張と世界の首脳達の反応

          168.期待のヴィンテージ2019

          2019/09/18   何という偶然でしょう。「新ワイン法」元年のこの年に、6年前・5年前に植えた我がぶどう達が素晴らしい実を付けています。収穫量も果実の成育も北海道ではきっと初めての様相で、今から来年・再来年の初飲み時の喜びを想像しています。  我が畑6haの標準(スタンダード)品種はシャルドネで、この品種の房付きや収穫量、糖度、収穫日を軸にして、シャルドネより数値が多いか少ないか、何日早いか晩いかと判断します。その主軸品種の房付きが3房付きとなり、成長もとても順調で7

          168.期待のヴィンテージ2019