見出し画像

要らない情報

さっきのことだ。
遅い朝ご飯を食べ、準備をして家を出て、電車に揺られ、ウトウトと、起きれば降りるべき一つ奥の駅。
こんなことよくあること、また一つ奥の駅で降りたとしてもこの駅から2番手の行き方がある、到着も1番手のいつもの行き方と3分ほどしかかわらない、別に大したことではない。

その駅はオフィス街にある駅でホームに少しおしゃれで大人向けのキオスクがある。
大人向けといってもそういう意味じゃない、ただなんだか気を遣っていて、1割増しで値段が高いだけ、なのにちゃんと売れる、そんな街のキオスク。
そこのチョコブラウニーはただのチョコブラウニーではない、「ほろにがチョコブラウニー」である。アップルパイは「シナモン香る」という枕がつく。

僕は遅い朝ご飯を食べたものの、あとで食べる軽食を買おうと思いそんな菓子パンのコーナーを眺めていた。

シナモンロールに手が伸びたとき、商品名の横に「糖質6.6g」と大きめに書いてあることに気づいた。
これまで気にしたこともなかった「糖質」の文字に手が止まり、とりあえず取るのはやめチョコブラウニーに手を伸ばすと「糖質5.6g」の文字が。
一旦全体を見ると全ての商品に大きな糖質表示があり、どれも5~6くらい、きっと少ない方がいいのだろう。
今思えば、あの表示は「菓子パンにしては糖質が圧倒的に少ない、このヘルシーでそこら辺の何が入ってるのかわからない甘いだけで不健康になりそうなパンなんかよりこのパンを買って!」という意味だったのだろう。

糖質5~6gが菓子パンにしては多いのか少ないのかわからない者からすれば逆効果、いろいろ吟味したものの付いてくる「糖質~g」の文字に「糖質=悪いもの」という新事実を得るだけ得て、どれにするか、そもそもこのパンをおやつとして食べる行為は悪いのではないか?という論理に行き着いたところで、これまでダイエットなんてしたことないのに「別になにもしないのにおやつにパンなんて食べたら糖質があれで太ってしまう。」という考えが浮かび、購入をあきらめてしまった。
購入をあきらめたところで電車も一本行ってしまった。

なんだかわからない、きっと甘いのであろう糖質に踊らされたそんな朝だった。

このような「いらない情報」が多いように最近感じる。

こないだラジオで流れてきた映画のCM、
とてもいい話のようでムードのある音楽にのせ、映画の印象的な会話いくつかが切り取られ、出演者の名前、脚本家、監督のこれまでの受賞歴や代表作が渋い男声のナレーションで読まれ、そして最後に一言

「3回泣けます」

嘘だろ、一瞬でここまでの気持ちが冷めた。
見ているこっちの感動する回数を指定してくる映画なんて聞いたことがない。

しかし、その映画をみた人の話を聞くとその映画は3つの話からなるオムニバス形式の映画でその一つ一つの話が感動的で「3回」泣けるそう。
そこまで聞いてやっと、良さそうな映画だと思えた。

なぜ、「3回泣けます」というキャッチコピーが僕を興醒めさせたかと言えばその映画の価値がまるで「泣ける」ということだけを狙った映画のように感じられたからである。

たしかにそのコピーを考えた人は「最近泣けていない、映画でも見て発散したい」という人に向けて捻り出した簡潔でかつ頭に残る素晴らしいコピーだと思っていることと思うし、それは大成功だと僕も思う。

でもあそこで3回泣けることを全面に出さなければ、というかあのCMで何も言わなければ偏屈で屁理屈な人々の動員も見込めたと思う。

映画の類いだとほかには
「ラスト5分あなたは騙される」だの「大どんでん返し!」だとか「衝撃のラスト」、最近だと「ネタバレ注意!」みたいな映画のコピー。

それこそ一番のネタバレじゃないか。
カメラを止めるなを見れなかったのもこれが原因。

まぁ何が言いたいかといえば、いらない情報が多いってこと。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?