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人生のモットーを他人に語らせたい

今回は、5年近く掲げた人生のモットーを破棄するという重大決意の話である。

ちょっと前、人に「人生のモットーって何?」って聞くのが自分の中でブームだったことがある。いきなり聞いてもサクッと答えてくれる人が結構多くて楽しかった。答えにその人の性格がかなり反映されるので、この話のあとに回答者をもっと好きになることが多い。

周りの人何人かに聞いたけど、印象的な答えと自分のことについて書く。

まず「頭は使うためにある」って言った人。もうこの発言だけでこの人が馬鹿が嫌いなことがわかるよね、すごい。そうだよね、これ重いし使わないと肩凝りの原因になるだけだもんね…。私が卑屈すぎて一瞬「お前はもっと頭使え」って遠回しに言われてるのかと思ってビクついたけど、そんなことはなかった。そんな遠回しに訳わかんない喧嘩の売り方する人じゃなかった。

次に「臥薪嘗胆」って言った人。インパクト大賞だよ。どこの時代生きてんの?過去に何があったの?戦闘民族すぎてめちゃくちゃ笑ってしまった。

あとは「万物は流転する」って言った人。悟りすぎでは?同い歳でしょ君。このあと「人の気持ちは変わってしまうものだけどそれは仕方がないもの」みたいな話が始まったんだけど、だから悟りすぎでは?

じゃあ私は何かという話なんだけど、ついこの間まで「目には目を、歯には歯を」だった。

確かに「やられたらやり返せ」という殺意強めな気持ちでこのモットー掲げているのもあるけど、「やられたら同じくらいしかやり返してはいけない」という、自分を律する気持ちでこのモットーを掲げているところもあった。嫌味を言われたら、つい自分が受け取った言葉より強い言葉で返してしまいそうになるので、同じくらいの不快感しか人に与えていけないよという。結局これも殺意は強いんだけども。

「同じくらいの不快感を与える?無理では?」と思ったあなた。そうです正解です、無理です。

当たり前に私と他人は違う人間なので、同じ言葉を言われても受け取るダメージが違うんだよね。人によってはそもそもダメージですらなかったりするし。だからそれを推し量って同じくらいのダメージを与えようとするとか無理。

あとは私の性格が戦闘狂すぎてもう本当に助けてほしいっていう悲鳴なんだけど、嫌なこと言われた時「今私はこれくらいのことを言われたから…相手にはこれくらいの言葉で返して…」とか思うの無理。怒ってるから。そんな冷静なこと無理。

というわけで、「ついこの間まで〜」という言い方をしている通り、5年間くらい掲げていたモットーは先日解雇することにした。嫌なことを言われて黙って受け入れるのは勿論良くないけど、5年もこのモットーを掲げてりゃそこで黙らない力はもう身に付いているし、どちらかというと「目を潰されたら脳みそを潰す」くらいの勢いで生きてしまっているのをもう辞めなければいけない、と思い直した。

無理があることにはだいぶ前から気付いていた。それでもこのモットーを簡単には手放したくない理由もあったんだけれど、やっぱりその歪みを認知しているのに正さないのはおかしいよねという気持ちがこの年齢になってやっと勝った。

あとは普通に報復がモットーの人生ってどうなのよ、誰かに村を焼かれた訳でもあるまいし…。

なので新たなモットーを模索しているが、なかなかピンと来るのがない。パワーワードだったからね、「目には目を、歯には歯を」。短い言葉でそれに勝てるくらいインパクトがあり、且つ自分の指針となるようなものってなかなか思いつかない。

母親に「モットーは?」と聞いたら、少し悩んだ後に「死ぬまでに行きたいところに全部行き美味しいものをたくさん食べる」と返ってきた。死を見据えているとは。さすが還暦、覚悟が違う。

まだまだ死ねそうにない長い道のり、良い感じのモットーを見つけ出したいけど、長年の相棒を手放した後じゃそうそうあっさりと出会えるとは思えない。これからも周りの人にいきなりモットーお尋ね人になるので、参考までに語ってくれるととても助かる。各位、何卒よろしくお願いいたします。




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