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【コラム】ダンスに関わる事と、ダンスで関わる事。

□おじさんには関係のない部類の事だ

今年で所謂ダンスを始めて25年が経ちました。
ダンスと関わるようになって25年です。

15歳でスタジオに通い始めて、それから5年ほど経ったある夜。僕はタクシーに乗り家に帰ろうとしていました。
車内でタクシードライバーさんが『お兄ちゃんそんな髪の色してなにやってるの?』(※当日金髪の若者は今ほど多くなく、なんだか妙に札幌で目立っていたのか、目立ちたかったのか。)

僕『ダンスやってます!ジャズダンスやってます!』

ドライバーさん『ふぇー。ダンスねー....まぁおじさんには関係ない部類の事だなぁ!はぁはぁはぁ』

その日から僕はあのおじさんにもダンスが関係あるものにならなくては。と勝手な使命感に燃えたのでした。

□ダンスに関わりの続ける

それから20年経った今。あるダンススタジオの発表会の総合演出なるものをやらせて頂いている。


出演者の皆様はもちろんダンスにそれぞれの想いを込め、とても素晴らしい作品が沢山揃っている。

毎回のリハーサルでそれを見守るスタジオのスタッフの方も、もちろん僕もダンスの、踊りの素晴らしさをひしひしと感じている。

ここまでがダンスと関わる。というお話。


しかし、僕はあの日のタクシードライバーさんの事を忘れた事はなく、ダンスが素晴らしいと思えば思うほど、ダンスに全く興味のない方々も大勢いることをしっかりと思うようにしている。
発表会のリハーサル会場にはダンスに興味のない方も、関わりのない方ももちろんいないわけで、いわゆる箱入りダンス状態である。

ダンス人口が増えたことによってこの箱入りダンスの状況を見えにくいものにしているが、箱が大きくなっただけでやはり箱の中で物事が流れ、終わっていっている事実に変わりはなく。
これではあのタクシードライバーさんには届かない。

□ヒリヒリしながら踊る

この7年程僕はとにかく何時でも、何処でも踊る事を心がけて来た。箱から出る事をしたかったのだろう。

願い通りにしっかりとダンスに興味のない方々の前でも踊りを踊った。
脱皮をしたことはないが、脱皮したての生物がまだ柔らかい皮膚で野山を歩くかのようにヒリヒリした感覚を味わいながらも、やはり踊りを踊り続ける。そうしているうちに、ダンスの弱点(興味のない方が、ダンスの何処に距離を感じるのか)がわかるようになって来たのでした。

それからは、自分のダンスが作ってしまっていた「壁」を極力つくらない踊り方を目指してみた。

それまでの僕は、室内で踊っていても上を見ると星空が見えているような顔で踊り。うつむくと寂しくもないのに眉間にシワを寄せていた。(もちろん今でもそれらのダンスを観ると僕は、素晴らしいと思うが)
室内で上を見たら、埃のたまったむき出しの換気口が見えたり。外でうつむくとアリが忙しそうに歩いていたり。
そんな事を見たままの顔で、心で、そこにいる事を徹底的に心がけた。
ある日『あなたの踊りは、踊りのようでなくて面白い』と言われた事がありました。
これも踊りですよ。とは思ったが、その人の中で踊りがつまらないもので、目の前の男の動きが面白い。と思ってくれたならそれはそれで大成功である。

こうして僕の中では踊りだが、外から見ると踊りでもそうでなくても構わない。というスタイルが確立したのです。

□だからこそ

今回の発表会の演出で僕はこの素晴らしいダンス達をなんとか箱から出す、またはそのきっかけにしようと、僕なりに楽しく試行錯誤しております。

ダンスを愛している人達をけっして傷付けず、あのダンス達を箱からだす。

これが綺麗事なのか、どうなのかは僕にもわからないが、
ダンスで外とか関わる事の面白みを味わえるダンサーが1人でも増えてくれたら、また何か一緒にやりたい人達が見つかるような...
新しい旅が始まった感触なのであります。

ダンス劇作家
熊谷拓明

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熊谷拓明総合演出発表会

『すーはーひっ!とん!だ ダン ダンス』
2019/7/13~14
@瞳記念講堂(三軒茶屋)
詳細→https://danceworks.jp/event/recital/36100/

熊谷拓明の『踊る?独演会』次回開催日
2019/7/24(水)19:30~
@原宿ブロックハウス(原宿)
詳細→ http://odorukumagai.petit.cc/banana/

ダンス劇DVD『上を向いて逃げよう』
好評発売中!
3000円(税込)
詳細.購入→ http://odorukumagai.petit.cc/muscat1c/categories/108737/

大衆ダンス劇
『ダブるドリブル』
柳本雅寛×熊谷拓明
2019/7/28~29 @ BEATNIKSUTDIO(恵比寿)
詳細→ https://odorukumagai.wixsite.com/mysite

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ダンス劇作家『熊谷拓明』

踊る事、話す事、歌う事、食べる事をスルスルと行き来するオリジナルジャンル『ダンス劇』を作って、 舞台を作って、自分で演じて。 2019/11/2~30 千歳船橋アポックシアターにて、一人ダンス劇を25日間40公演。 Webサイト odokuma.com
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