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恋なんてくだらないことで傷つくもんなんだ

なんだか急に冬が迎えに来てくれたみたいで、フリースを着たり耳当て付きの帽子をかぶったりしている。
年の瀬を1年で1番憂鬱に思うのはわたしだけなのだろうか。
わたしの耳には今日も、イヤホン越しに夏の曲が流れている。


去年の12月は早めのクリスマスと称して少し遠出をしたり、一緒に年を跨いで初詣に行ったり、1月の彼の誕生日をお祝いして動物園に行ったな〜と昔の自分が羨ましくなって12月の壁を目の前に逃げ出したい気持ちになっています。

仕事で去年の忘年会いつだったっけ?という話になりスケジュールを見返していると、そこには彼との予定がたくさん記されていてちょっぴり胸が苦しくなった。

彼はこの時から無理してわたしに合わせてくれてたのかな〜なんて思ってどうしてわたしはこんなに自分のことしか考えられなかったんだろう…とまた過去の自分を憎んでしまう。

みんな好きだったらたくさん会いたいし連絡も取りたいものなんだと思っていた。
だけどみんながみんなそうではないことを知って今すぐ過去のわたしに伝えるべくタイムマシーンを開発したくなった。


今年の年末年始は6連休もいただけるみたいで実はかなり憂鬱。
暇な時間がわたしにとって1番の毒なんです。
全然仕事してたいな〜なんて思って気付かぬうちに自分が社会の歯車の一部になっていることを痛感する。

彼は5連休だと言っていて何かの間違いでまた一緒に年を跨いでふたりで神様にお祈りできたりなんかしないだろうかと叶わない願いばかりがわたしの心に募っている。


なんだかんだ9月から月1で会っていて毎日連絡を取り続けているわけだけど。
な〜〜〜んだこりゃ!どうなってんだこりゃ!

この間付き合っている振りにお昼から遊んで服を見に行ったんだけど、おかしいくらいにあの頃と何も変わらない楽しさがわたしたちの時間に流れていくのを感じて、このまま時間が止まったらいいのになんてドラマでしか聞いたことがないようなセリフが脳内に浮かぶ。

そうです、わたしは自他共に認めるポエマーであります。

同時に、ああ、このままだとわたし、本当にまたこの人と一緒にいたい。と思ってしまうなと思って。

ご飯を食べているとき全然女性と絡んでいないと言っていたこと。
イベントの日にちを間違えてわたしの住んでいる県に来た時会おうって連絡をくれたこと。
遊ぶ日の前日友達のお店のお手伝いで仕事終わりから返信出来てなかったって電話をかけてくれたこと。
顔見知りの女の子からInstagramのDMが来たけど返信1日1回とかですぐ終わらせたんだよねと言いながらわたしには何度も返信をくれること。


わたし単純だからさ、そういうのでも自分は特別かもって勘違いしちゃうんだよね(笑)


わたしとのことをそれっぽく聞いたんだけど彼の答えは『分からない』でした。

女の子だとわたしとしか仲良くしていないしまた会いたいと思うし特別だしちょっと好きだけど『分からない』んだって。
いつ分からなくなるのかも『分からない』んだって。

ここまで来ると''恋愛の好き''と''人として好き''の境目がわたしには分からなくなってしまった。

でも本当は答えなんて明確で、また一緒にいたいと思えるまでの気持ちに至っていないんだろうなあって。
わたしにはまだ魅力的になれる伸び代が有り余っているかもしれない。

今のわたしは『分からない』で済ませられるくらいの存在なんですよね。
いても良いし、いなくても良い存在。
誰に言われなくてもちゃんと自分で分かっています。


''わからないならば そのままで 気付かずにいればいいよ
飛べなくなってからじゃもう 手遅れだけど''


この曲歌詞も大好きだけど、ノイズ混じりの佐藤千亜妃の声がめちゃくちゃ好み。
わたし好きな音楽が分かりやすくて、きのこ帝国が好きな友達に絶対この曲好きやろって言われた。
マジで正解、めっちゃ好きっす。


本当にわたしに羽は生えているのかな?
わたしはまだ飛べずにいるけど、手遅れの後悔だけはしないように自分の羽の色くらいは知っていたい。


この間遊んだとき車で羊文学をシャッフルで聴いていると『恋なんて』が流れて、彼が、これなんか一時期めっちゃ聴いてたわ〜と言っていて珍しいな、なんて思っていたんだけど。

''ねえ、本当のことを言ったら
ねえ、あなた泣くでしょう''


という歌詞を見て彼の心がそこにあった気がした。

お別れを穏便に済ませたかった。という言葉を思い出して彼は最後まで本当を秘めていたんだな、といつまでも''本当''を曝け出していたのは自分だけだったんだな〜と渇いた笑いが溢れる。

もうあの時既に、わたしたちのドラマにスポットライトは当たっていなかったんだね。

わたしはいつからこんなに欲まみれの傲慢な人間になってしまったんだろう。
付き合うという口約束がなくても、何気ない連絡を取り合ったり一緒に遊べたりする今だって幸せなのにね。

自分で自分を不幸にしちゃいけないよ。


この夏読んだ『二木先生』という小説が面白くて、満足感を得た代償に次に読み始めた短編集がなんだかつまらなく感じて一作品を読み終えた後そっと本を閉じてしまった。

人間も一冊の本と同じで読み始めてつまらなかったらすぐに閉じられてしまうのかもしれない。
だけど、最後まで読み切ったらもしかしたらもっと面白い人間だったかもしれないよね。

それは最後まで読んだ人にしか分からないこと。

わたしに栞を挟んで読みかけの本の山に積み重ねていった人は勿体無いな〜〜なんて思ってしまうけれど、本の好みがあるように人間にも好みがあるので仕方のないことです。

わたしたちが書き始めた小説の第一章の続きじゃなくて、終わりのない最終章が始まったらいいのになんて思ってしまう。
もう一度挟んだ栞を取り出すことが出来るのは自分次第なのだろうか。


勝手に自分で自分を急かしても仕方がないから、後悔しないようにもう少し恋を引き延ばすことを選んだ。

泣いても傷ついても、いつかこの時間が無駄だと思っても、選んだのは自分だから。
自分に起こる何かを誰かのせいにしたくない。
選択にはいつも、強さと弱さが混じり合っている。


人生において無駄なことが1番自分の木の枝に実をつける材料になるんだよ。
今までだってたくさん寄り道や遠回りをして来たけれど、それらで得た何かのおかげでわたしの枝にはたくさんの実がなっている。

この夏成長出来たと実感できるのは彼とのお別れがあったからなので、もう少し自分を成長させる糧を分けていただこうと思う。
ぐちゃぐちゃも苦しみも無駄も全部、自分のものにしていきたい。


''期待したりしない
何一つ自分のもんじゃないってさ
見たものもきっとどっか歪んでて 痛い''


そういえばあの日の夜も雨が降っていた。
打たれて試されても、ボタンをかけ違えないようにわたしはひとつひとつ確かめながらゆっくり袖に腕を通す。





生きている中でくだらないことなんてきっとひとつもないよ。


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