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ぼくの誇


最強のパワーランチ、ラーメンセット

種子島に渡ると必ず行く食堂がある。中種子町の「いちに食堂」だ。別になんてことのない大衆食堂だ。うまいかまずいかという話をすると、もっとうまいものを食わせてくれる店は山ほどあるだろう。まずい店だって数えきれないはずだ。
雰囲気だってそんなにイケてるわけじゃない。間違っても若い女子のグループがランチに訪れることなんて、あったとしてもめちゃくちゃ希だ。平日の昼時と言えば、一気に男臭くなる。これが休日なら家族連れだ。
オススメは何と言っても日替わりランチだ。野菜炒めにエビフライが2本のっかっていたり、鯖の竜田揚げに鳥の唐揚げが添えられていたり、牛丼にうどんが付いていたり、それはもう600円でここまでやるかという感じなのだ。
とりわけぼくがいつも気になっていたのは「ラーメンセット(ラーメン+焼き飯=800円)」というやつだ。昼時になると肉体労働者系の客が食っている風景をよく見かけた。食いきれないだろうなと思いながら、実は憧れていたのだ。いつか必ず、と。
で、思い切って注文してみたのだが、いやはや大変だった。見栄と根性でなんとか平らげたものの、その後数時間、ラーメンと焼き飯が腹の中で暴れ続けて、満足に身動きできなかった。午後の仕事はダメになったということだ。
だけど嫌いじゃないな。振り返ってみると、ぼくはこういう食事を繰り返してきたンだ。
そう、どれだけ食通を気取ってみたって、ぼくが好きなのはこういう食い物なンだ。ぼくはそういう育ち方をしてきたし、それが誇だ。

三条京阪篠田屋のしのだ丼もぼくの定番

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