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令和版『巨人の星』を模索する組織開発

『エンゲージメント』とは、組織メンバーの組織に対する“愛着心”や“思い入れ”を表すものとされています。昭和レトロな表現をすれば“愛社精神”となるでしょう。一方、昨今は、個人と組織が一体となり、双方が双方の成長に貢献し合おうとすることと理解されているようです。ここで「貢献し合う」とは“give and take”を想起させ、合理的に捉えている姿が伺えます。これらをまとめると、サービス残業や過大なノルマと言った要求も“ブラック” な対応ではなく、ただ、メンバーの成長を願ってのことだから、成長さえできれば、しっかりとメンバーも恩恵を受けられるのだと言っているようにも聞こえます。

では、メンバーの成長とは何でしょうか。将来に在りたいと思っている姿(ビジョン)に近づいたという実感に置いているように思われます。したがって、その思いが強ければ、換言すれば、そこに至るのだという覚悟があれば、苦労さえ充実感に置き換わるということのようです。星一徹と飛雄馬の関係を理想としているのでしょうか。

「私にはコレ(ココ)しかない」という時代ではなく、様々な興味・関心にあふれている現在は、迷いながら成長していく方法論は響かないでしょう。確かに、こうすれば上手く行くといった打ち出の小槌などはないかもしれません。しかし、先達と同じ苦労を強いられることには疑問を持つのではないでしょうか。数学は定義や定理を前提に研究されており、既にある定義や定理を改めて発見するようなことは求められません。すぐに正解を求めたがるのは当然であり、別の解答が必要であれば、一緒に考えるべきでしょう。

与えられた目標に対しては、戦略(打ち出の小槌になるかもしれないもの)が重要になります。しかし、自らが求める目標(ビジョン)に対しては、戦略を考える前に、それが確かにビジョンであるかを確認することのほうが重要です。すなわち、そのビジョンは現在の延長線上にはないものであるか。そしてそのビジョンに対して、自身がワクワクしているか。この2点が確かめられれば、戦略など思考せずとも、自身が「何をすべきか」は自ずと見えてくるのではないでしょうか。

おそらく組織の強さとは、こうしたワクワク度の総和として現れるものであるように思います。その点で組織戦略とは、組織内(メンバー)のワクワク度の総和が最大になるように組み合わせていくことではないでしょうか。ドライに考えれば、ワクワク度30の人と10の人では、30の人が優先される。そのためにワクワク度10の人が組織を去ることになるかもしれない。しかし、これもある意味、win-winでしょう。なぜなら無理に残っても、その人はワクワクできないのですから。また、ワクワク度100の人を活かすための人材が組織内にいなければ、新たに迎い入れることも必要でしょう。社会的視点に立てば、人材の流動化とは、このように実現されたいものだと思います。

『エンゲージメント』とは、個人のビジョンに対するワクワク度を基準にするほうが良いように思われます。

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