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ファミコン版『ポートピア連続殺人事件』を振り返る (2/全3記事)

こちらは全3部のうち、2番目の記事になります。

【ゲーム紹介の取り組み】
記事は実際にゲーム作品に触れて書かせていただき、プレイの楽しみを損なうような話題は記載しません。またゲーム画面等は著作権で認められている引用の範囲で使用しております。
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チラシのことだけど。

当時 店頭で配布されていたチラシです。読ませるデザインがされていて、とても資料的な価値があると思います。
※ここで紹介しているチラシの写真はオリジナルではなく、コピーしたものを掲載しています。

チラシ:オモテ面

ファミコンユーザーにとって、AVGは未知なるジャンル。「何をどうするゲームなのか」。その紹介としてたくさんのシーンや人物、モードを掲載して、ゲームのイメージを伝えるメーカーの努力がうかがえます。

< オモテ面 >

紙面デザインとしては全体的に ごちゃごちゃ感が否めませんが、ファミっ子を煽る表現が多く見受けられます。紙面に散りばめられている実際のゲーム画面、そしてまるで攻略本のヒントのようなコメント、「真 は ん 人 は ダ れ だ !?」と、新聞の文字を切り抜いて作った怪文書のような表記など、物語の真相を知りたいと思わせる工夫が多く見受けられます。
紙面の右下には『ドアドア』が掲載されていますが、当時はこのように直近に発売された作品をセットで紹介することも多くありました。
初めてのAVGというジャンルの予習用チラシとしての役割を感じます。またこのチラシで地下迷路の存在を明かさなかった点も大きな戦略であったと思います。

チラシ:ウラ面

ウラ面はゲーム画面をいっさい使わず、物語自体のイメージを表現することに専念している仕上がりです。
※こちらの方がオモテ面らしい感じですが、最下部にクレジットが記載されているのでウラ面としました。

< ウラ面 >

今でも語られる印象的なパッケージイラストを紙面の大半に割り当てた、製品をイメージしやすい構成となっています。
「この『ポートピア連続殺人事件』は、フィクションであり、登場する個人名、団体名は実在のものと いっさい関係ありません。」との表記がありますが、登場する 神戸、淡路島、京都などは実在するので、「”地名”はフィクションです」とは書かれていません。
「シナリオ 堀井雄二」、「プログラム チュンソフト」の文字から判断できるように、早くからゲーム制作者を作家として取り扱っていたことがわかります。

関連書籍のことだけど。

攻略本
『ポートピア連続殺人事件 完全攻略本』

攻略本
『ポートピア連続殺人事件 完全攻略本』
徳間書店 330円

この表紙のイラストをご覧になってもお分かりのように、当時の攻略本は、どれもマンガチックに描かれていました。ゲーム本編に登場するキャラクタとは異なり、別のイ ラストレータが描いたものを挿絵として使用していて、とても違和感がありました。おそらく当時は開発元からのデータや画像などの提供がなく、各出版社が独自の方法で攻略本を構成していたためだと思われます。
本書はプレイヤーであるボスの視点で進行し、解説がなされています。巻末には袋とじがあって物語のポイントがまとめられています。
AVGにおいてどのようにヒントを示すか難しいところですが、内容については やや浅い印象を受けます。

ちなみに『ポートピア』の攻略本はこの1種類しか発売されていません。

ゲームブック
『ポートピア連続殺人事件 密室殺人の謎』

ゲームブックとは、AVGの仕組みを書籍で実現するような方法で、行動の選択肢が提示されて、その選択肢の番号のページに飛び、読み手の意思で物語を進めていくことができる画期的な仕組みを持っています。ページを順番に読み進めるというより、指示された番号によって前に戻ったり、ずっと先のページに飛んだりして読んでいくイメージです。

ゲームブック
『ポートピア連続殺人事件 密室殺人の謎』
双葉文庫 420円

ゲー ムから派生したこのような読み物の場合、オリジナルの物語と大きく異なる場合がありますが、本書はファミコンの物語に近い内容で描写されていて好感が持てま す。仲間の刑事が登場したり多少の異なる展開があるものの、ファミコンの簡素なゲームを補完するような仕上がりがなされていています。時々挿入されるイラストがシーンを盛り上げ、物語も原作に忠実に構成されています。袋とじで最後のシーンが語られています。
余談ではありますが、躍起になってプレイした当時の私のメモが挟まっていて、がんばりが伺えます。



『ポートピア連続殺人事件』について、さらに次の記事に続きます‥。


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