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トルファン 灼熱の夜に・・・。

それは真夏のシルクロードツアー トルファンの蒸し暑い夜だった。

昼間50度を超える砂漠での遺跡巡りを終え、カラカラに干からびた身体で
ホテルにもどり、シャワーを浴び蘇生する。

葡萄棚の下ではウィグルの娘たちの舞踊が始まり、独特のリズムと音に包まれる。

同行のガイド ドルジが「夜になったら20度くらい温度が下がるから過ごしやすくなるよ」と言っていたがよく考えるとそれでも30度はある。
通りで風呂上がりに飲んだビールがあっという間に汗となり吹き出るわけだ。

舞踏の喧騒の中、記憶の中のトルファンの冬を思い出す。
想像もつかないくらいに冬は寒いよね・・・とドルジに話しかける。
冬になるとマイナス20度になる・・・中華(タバコの銘柄である)を吸いながら
彼は続ける。 
寒い荒野をランドクルーザー(やはり砂漠は日本車に限る)で星だけを頼りに暗闇を走り続けると遠くにポツリと灯りが見える。
何時間も走り続けて辿りついた灯にはなんとも言えない安堵感がある・・・

近づくと遊牧民のパオがあり、中に入ると暖かいストーブを囲んで宴。
見知らぬ旅人を隣の住人のように迎え入れ、酒を汲み、馬頭琴を奏でる。

見上げるとオリオン座の近くにもやもやした昴がみえる。
これこそ旅の醍醐味と中華の煙い息を吐きドルジは言う。

その話を聞きながら真夏の夜の葡萄棚の下で相変わらず舞踏は続く・・

少し涼しく感じた。



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