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トルコへの情熱と奇跡 1

旅立ちから到着まで

あれはワールドカップサッカーの日韓共同開催があった翌年のことだから

かなり前の話になる。

この時、特に注目を集めていたのはトルコ代表の選手
イルハン・マンスズ。


女性4名の熱狂的なファンたちがイルハンが出場する試合を
イスタンブールで見たい。
ついでにイルハンにまつわる場所を訪ねたりして楽しく盛り上がりたい〜

という趣旨でご希望の旅行企画(受注型企画旅行)を引き受けた。


9月の爽やかな季節だからさぞかしイスタンブールは過ごしやすいはず。

仕事のお休みを目一杯もらっての彼女たち。
日程としてはあまり長く取れないのでイスタンブールでの時間を有意義に
過ごしていただけるよう、まずは助っ人をお願いした。


その当時、トルコの国内旅行を主にやっている現地の旅行会社
(社長はもちろん、トルコ人)の手配スタッフのKさん。

彼女はイスタンブールに住んで10年ほど
トルコ語も流暢に話せる日本人女性で
しかも、サッカーにも詳しいというもってこいの人。

KさんとはSNS上で知り合い、同じ旅行業界で頑張っている同年代ということもあり、話が盛り上がり今回のことにも協力いただけることになった。

私はというとトルコは知っていてもサッカーチームについてや選手にも
疎い。
ベシクタシュ、フェネルバフチェ、ガラタサライ・・・チーム名を覚えるのにも一苦労だったがそこはツアーを成功させたいという熱い思いがあるから大丈夫。

Kさんは私の依頼に快く応じて現地の通訳を引き受けてくれただけでなく、今回は皆さんとしっかりトルコサッカーを楽しむことにも集中したいので
本業の会社の方は休みを取って私達とできるだけ行動を共にしたいという
申し出。ありがたいことだ〜感謝。
(もちろん、ボランティアではなく、それなりに日当をお支払いするという約束はした)心強く、嬉しい提案。

計画を立て始めたのは6月くらい・・・・そんな中、出発まであと2週間となった9月初旬のある日・・「イルハン膝を故障。ドイツに入院」という
ニュースが飛び込む。

なんてこと〜!! 絶望的になるよね、普通は。
早速みなさんにご報告と相談。
こんな時、本来の目的が達せられないのだから旅行も中止にしよう〜というのが一般的な判断なのだが、諦め切れない、お客様の夢を実現することに
エネルギーを注ぐ私としては。

オフィスパルとしても皆さんの熱い気持ちも察しつつ、彼が出ない試合を
観戦することになるであろう、トルコへの旅行を「今回は私に預けていただけないか?」という提案をした。
「決して後悔はさせない」と彼女たちに誓い、肝に銘じた。

私のポリシーは無理はしないが全力でベストを尽くすこと。
はっきりした確信があるわけではないが信じること、諦めないことが信条。

オフィスパルの提案に快く同意していただき、誰ひとり離脱することなく
出発の日を迎えることができた。
もしかしたらこれは後に続く奇跡の序章だったのかもしれない。
ご参加の皆さん、本当に有難うございます。


同行するツアーでは「晴れ女」とか「持ってる」とよく言われるがお客様の協力なしには実現しないことも多々あるのだ。


出発当日、ほとんど初顔合わせのお客様4名。だがしかし、共通の目的と情熱を持った彼女たちとは私も含め皆さんすぐに打ち解けていた。
まさに1つのチームになった瞬間だった。

トルコ航空利用

イルハンの手に渡せるかどうかわからない彼への心のこもったお土産もそれぞれ準備しての旅立ち。

実は彼女たちには今回はイルハンの生まれ故郷であるエスキシェヒルに行き、うまくいけば自宅周辺の親戚など誰かに会えるかも?ということだけ伝えていたが「実現できないかもしれないので大きな期待はしないように」とも伝えていた。


サッカーの試合の切符もKさんに手配していただき、良い席をゲット。

その当時、イルハン選手が所属のベシクタシュでトレーニングスタッフをしている方がなんと、Kさんと友人ということもあり、色々と便宜を図ってくださった。なんだか幸先の良い予感。

地元のスポーツ紙からの取材要請も来ていた。遠く日本からイルハンのおっかけが来るらしいというのが彼らのネタだそう。
試合が始まる前に写真だけ撮らせてね〜という感じ。

実は後日、日本からイルハンファンのツアーが大手旅行会社の募集する旅行として何本も出たのだが「初のファンツアー」として週刊文春の取材も来ていた。「文春砲」という言葉もない時代。それでも中身は何を書かれるのかわからないのでオフィスパルの名前も代表である私の氏名もいっさい出さない(イニシャルのみ)という約束で。
後日、記事を読んだが想像で書いた記事は正確さに欠ける軽薄な内容だったことを覚えている。
(選手にお持ち帰りされる軽い日本女性・・みたいな)
純粋に応援したいという気持ちだけで遠くイスタンブルまで行く彼女たちには見せられないと思った。


イスタンブールに到着したのは中秋の名月が美しい夜。

市内に移動後、Kさんと合流しホテルに荷物だけあずけ、彼女の努める会社の社長が経営している海辺のレストランへ直行。

海に向かって階段状になっているフロアーに通される前に入り口でのセキュリティチェックもあり、特別な人しか入れないお店だとわかった。

トルコの白ワインは美味しい。おつまみにナッツやマスカット、チーズなどを食べほろ酔い気分。
機内食も食べていたのでそれほどお腹も空いていなかったのだが ちょうど良いドリンクタイム。

気持ち良い夜の海風としずかな漣に浮かぶ満月の光でさらに素敵な時間となった。

ボスボラス海峡に浮かぶ満月

到着初日から皆さんはイスタンブールの最高の夜を楽しんでいた。

ほとんど毎日、アクティブに動き回る予定なので豪華なホテルは勿体無い。
最低限のセキュリティと清潔感のあるホテルを旧市街に取りチェックイン。

トルコのパンやヨーグルト、チーズはみんなのお気に入り

翌朝は朝食後、皆さんのたっての希望でイスタンブール大学の校内の生協へ。

少しでもトルコサッカーの選手や街の人たちと言葉を交わしたいという事で
出発前から彼女たちはトルコ語の勉強をはじめていた。
トルコ語ー日本語辞典を購入するのが目的。
日本の本屋さんで買うと1万円くらいするらしいが大学の生協では¥3,000くらいで買えた。トルコの物価と比較するとそれでも高い買い物だ。
その辞書の助けも借り、更に愛しきイルハンへ励ましの手紙を書くという。
ファンというのは本当に頭が下がる、貴重な存在だ。

イスタンブール大学キャンパスの売店には文具や辞書、コーランが・・

初日は市内の一般的な観光へ。ブルーモスクやアヤソフィア、地下宮殿など〜。

お決まりのコースといえばそうだが、全員が初めてのイスタンブールだから
最低限のところは押さえておこうということで。

ブルーモスク 爽やかな空のブルーに映える
内部はステンドグラスが美しい
アヤソフィア 


アヤソフィアは最近のニュースでは「博物館だったがモスクに戻す」とか「一般人は入場制限する」などの情報が飛び交っていたけれど現地では特に変わりなく中に入れる・・と言っていた。
ブルーモスクは先日(2021年10月)久しぶりに行ったがコロナ禍で観光客が減っている間に修復工事に入っていた。


トルコで是非体験していただきたいのは「ハマム」と「チャイハネ」
ハマムについては時間的な余裕がないのでどんなところなのか説明しながら
中を少し見せていただき終了。見学してたらバックパッカーのアメリカ人の
女の子2人がちょうど熱った体をクールダウンしているところだった。

ハマムはいわゆる垢すり。大理石のテーブルのようなものに寝そべって
たくさんの泡で体を洗ってもらい、垢すりまでしてもらうところ。
サウナほど熱くはないけど銭湯のような裸の付き合いができるところ。
おすすめのちょっと高級感のあるハマムはこちら
   ↓
https://www.hurremsultanhamami.com

市内の一般的なハマム


チャイハネはこの当時は結構あちこちで見かけていたが最近は姿を消しつつあるようだ。トルコならではのスタイルのカフェだから残念。
コロナが落ち着いたら復活してほしいものです。

彼女たちは観光の合間にひとしきり、ここでまったりしていた。

観光客向けのチャイハネ。チャイを飲みながらお菓子やナッツをつまむ。
エキゾチックな衣装も貸してくれるので記念撮影もできる。

さて、明日はいよいよサッカーの試合観戦・・・楽しみ。

                          つづく

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