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その面白さにただひれ伏すばかり | 「君が手にするはずだった黄金について」(著:小川哲)

こんにちは
イデアレコードの左川です。

正直なところ小川哲さんの本は読んだことはなかったのですが、タイトルとデザインに魅せられて即買い。軽い気持ちで読み始めるとあまりの面白さに読むのが止められなくなる、本当に。

才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。
認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いや、噓を物語にする「僕」は、彼らと一体何が違うというのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!

amazon公式より抜粋

どのエピソードも面白いのですが、表題にもなっている「君が手にするはずだった黄金について」が秀逸で大好き。情報商材やタワマン、投資家、有料ブログ、炎上…よく耳にするキーワードとストーリーのように最初は感じる。だが読み進めていくと、主人公である作家を通して描かれていくその過程や背景、心情等は説得力があり、それは一つの正解でしかないように思えてくる。旬な題材を在り来りな物語にするのではなく、独特の解釈と圧倒的なリアリティを持って描かれていく世界観はたまらなく好みだ。まさしくそれこそが小説の醍醐味であろう。

もちろん他のエピソードも面白い。
一体どういう頭があればこんな物語や会話を生みだせるのか?とただひれ伏すばかりである。

そんなわけで今、強烈にオススメしたい小説です。

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