10代の夏は短い。部活に宿題に夏期講習に友達との約束、学校がなくてもその分だけ予定が詰まってくる。

それに、もしも部活もやっていなくて友達がいなくても、マンガを読んだりゲームをしたりゴロゴロしているだけでもあっという間に過ぎていく。

そうしてやってくる新学期の始まりの日。

ここを楽しみにイキイキと夏休みを過ごせる人はどれほどいるのだろうか？

ひるがえって、自分の場合はどうだったか？

僕は8月末にまとめて宿題を片付けるタイプだったし、中学時代のバスケ部では落ちこぼれメンバーなのに同学年の部員数が5人しかいなくて強制レギュラーでヒーヒー言ってた。

高校時代は山岳部というマイナー部活で、まぁそれなりに楽しかったんだけれど、僕がたまたま行かなかった沢登りで先輩と後輩が事故死したり...なんていうか、あんまり夏に良い思い出がない。

そしてやってくる8月末。気持ちはやっぱりどんよりと暗かった気がする。

困難に立ち向かうだけが手段じゃない

36歳といういい歳の大人になるとわかるのだけれど、実は困難っていうのは立ち向かう以外にも色々な手段がある。

そう、若い頃に感じていた不自由さの正体っていうのは、選択肢の少なさと、自分で選んだ数の少なさだったのかもしれない。

長い休み明けの新学期に対して感じる不安や不満、倦怠感、行きたくないという気持ち...その不安の正体は「選択肢を知らないこと」からきていたりする。

大人になってもおんなじで、不安や不満を感じるのは、選択肢がぜんぜん見えていない時だ。自分では選びたくない道なのに「そこしかないよ！早く行きなよ！」と急かされているような、そんな気持ちが不安の正体のことが多い。

人生で選択肢が本当に一個しかないことなんてない。そこばかりスポットライトを当てられて、まわりのみんなもそこを目指していて、おまけに身近な両親やら友達やらもそこに行こうと言ってくる。

そうして視線を誘導されて、その道しか見えなくなっているけれど、実は影に隠れて道はたくさんある。少なくとも、立ち止まったり、その道を外れるという選択肢だってあるのだから。

大人になっていけば、そうした選択肢の多さを知るし、実は道を外れてもまた道を作れることも知る。大企業に入れなくても、入ってからドロップアウトしたとしても、やり方次第で人生はいくらでも好転させられる。

レールに乗る勝負にはあえて乗らない

そりゃまぁ、人の作ってくれた成功パターンに乗っかる方が楽だ。安定して楽をしたいなら、それなりの努力をしつつソツなくレールに乗っかって、レールが沈む前にどんどん勝ち馬に乗り換えていけばいいだろう。

立ち止まって悩む人は、そういう器用なことができない。できないもんは仕方ないから、自分にあっている方法を探そう。

少なくとも、レールに乗っかるのが得意な人たちと、レール乗りの勝負をしてはいけない。他人のルールに乗っかることは、はじめから負けにいくようなものだ。

だからまずは、自分の状況を知ったり、これから選べる選択肢にどういうものがあるのかを、じっくり考えてみるといい。

もちろん、何を考えたらいいかわからないって人もいるだろうから、僕なんかよりずっと上手に色々とまとめてくれている本を一冊置いておくよ。

色々な歴史的な偉人の言葉なんかを入れながら、新しい時代をどう生きていくかのコンパスのような一冊。10代に限らず、きっと道を照らしてくれると思う。

（残念ながら著者の瀧本さんが先日お亡くなりになられたけれど、この方の他の本もきっと役立つ。長い文章が読めるなら「君に友達はいらない」も読んでみて欲しい。）

逃げ続けよう、いつか立ち向かう日の為に

10代にとって、この先の人生は長い。だから、勝負どきは今じゃないかもしれない。

逃げるのは癖になるから逃げない方がいいって言うのは、１つの真実だとも思う。

でも、Lv.10なのに逃げないでLv.40の敵と戦うのはどう見ても無茶だろう。勇敢と無謀を履き違えてはいけない。

逃げてもいいし、逃げ続けてもいい。その先で、いつか立ち向かう日がくる。その日まで、虎視眈々と腕を磨いて逃げ続ければいい。

勉強や読書は溜め込んでおくと、あとできっと役に立つ。PCが好きならプログラミングでもいいし、マンガが好きなら徹底的に読みまくればいいと思う。好きなことを、好きなだけ、思いっきりやろう。

今いる環境を変えることも、関わっている人たちを変えることも、そんな簡単にはできない。だからって、自分を押し殺して型にハメるしか道がないなんて思っちゃダメだ。

実は環境を変えたり、関わる人を変えたり、そっちを変えたらグッと生きやすくなったりする。

生き抜きながら、いつか立ち向かうその日まで。

その逃避行が、楽しくて充実した冒険になることを、ちょっと先の未来にいる大人として願っているよ。

このnoteは #cotree_advent_note への参加noteです。