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予算を抑えつつ、いいお店を作るには?

仕事柄、多くの方からお店づくりのご相談を受けるわけですが、中でも個人オーナーさんの場合はなるべく手頃な価格で、でもできるだけ要望を叶えて欲しい!という方が多いです。

一見すると何を無茶な!という内容なのですが、とにかく安く作って欲しいというオーダーと、ここまでしかお金はないけれどできるだけ良いものをというオーダーは似ているようで違います。

前者はコストファースト。後者はドリームファースト。

うちは小さな個人のデザイン事務所なので前者の場合はお断りしていますが、後者の場合はお客さんと二人三脚でがんばれるのが強みです。

そこで、今日はこれからお店を作りたい&いつか独立してお店を作りたいと思っている未来のオーナーさんへ、どうすればコストを抑えつつ理想を実現できるのか?ロマンとソロバンのバランスをとる秘訣をお伝えしておきます。



1.家賃を抑えた物件を見つける

予算を抑えた出店でマストになるのはランニングコストをどう抑えるかです。なぜかというと、賃貸でテナント出店する場合、家賃=初期投資にも直結するからです。

また、家賃が抑えられると何かトラブルで工事が止まったり延長になったりした時にも動揺が少なくてすみます。DIY期間も余裕をもって組みやすく総工費を抑えやすくなります。

もちろん家賃だけで物件を選ぶわけにはいかないので、設備容量の事前チェックなどは必須。契約して工事始めてからガス容量不足がわかったり、外壁ダクト工事にマンション理事会がNG出して手詰まりになったり、トラブルで工事が止まると大きなロスです。

事前の根回し含めて、ある程度の経験値のある設計者と組むのがオススメです。



2.こだわりのメリハリをつける

せっかくお店を作るならこだわりたい!その気持ちはよ〜くわかるのですが、こだわるほどにお金も時間もかかります。。。

ふんだんにこだわるほど、それはお店の客単価に跳ね返るので、つまりは未来のお客様に負担を強いることにもなります。

大事なのはメリハリです。

商品に関わる調理器具は1級品、建材は手の触れる箇所に優先的にこだわる等。大きな面積の場所にこだわった建材や仕上げを採用すると必然的に大きな値段になるので、シンプルな仕上げに一点突破のこだわりを据えるのがポイント。

また、建材はためておく場所があれば廃材を集めておく等でもコストカットは可能です。トイレの水栓金具などはヤフオクでショールーム落ちの新古品などを探しておくと格安で済んだりします。

これらは床材などの大きな建材と違ってあまり場所をとりませんから、扉のドアノブからソファの色味や照明スイッチまで、先にイメージ固めて手配しておくと手戻り少なくいい空間になります。



3.総予算の2割は予備にとっておく

一般的なのは自己資金+融資で出店投資を賄うわけですが、運転資金はもちろん出店費用も総予算の2割は予備としてキープしておくこと。

なぜかというと、工事が進んで実はこれもしなきゃマズイです!当初はこうでしたが、解体してみるとこうなのでアレをやらないと...などというトラブルで思わぬお金が必要になることが多いです。

いや、もちろんそんなトラブルがゼロで進むのが一番ですよ!そうなんですけど、トラブルも見込んで見積りをと言われると、逆に見積り時点で2〜3割見込んで高めにふかして出すことになっちゃいます。

工務店に預けて何もなかったら報酬として渡しちゃうのか、自分の手元でとっておいてコントロールするか、どっちにする?というところです。


また、総予算の1割はソフト料金=設計料や設備設計料などかけるところにちゃんとかけた方がいいです。

換気風量計算や構造計算などの専門設計をしておくと、施工後のトラブルが減るのでトータルでは安く済みます。専門設計は外注なので別途お金かかりますが、結局は設備の施工費に上乗せされているか切り分けるかの違いでしかないです。

保健所や消防との事前協議なども経費はかかりますが設計職がちゃんと対応しておくと、抜き打ち検査で是正指導を受ける=営業停止や是正工事による不意の出費のリスクが回避できます。ここら辺はケチると後で痛い目見るので、専門家に頼るべき時は頼っておくべきです。



4.とにかくグラフィックだけはいいデザイナー使う

低予算案件はシンプルな内装にセンスのいいロゴをワンポイントでキメるのが鉄板で効きます。

コムデギャルソンのTシャツ的な、トレードマークになるアイコンさえパワーがあればローコストの塗りっぱなしの壁にロゴつけるだけでも成立します。店舗におけるグラフィックデザインは、デザインの力がいちばん役立ちやすいところです。

知り合いのデザイナーさんに頼むからという場合も多いのですが、そこは知人ヅテで安くすませるところじゃないです!いや、その知人の方が本当に魅力的なロゴを作る可能性もあるからアレですけど。。。


今って店名ロゴ=店舗でリアルに使う+メニューやショップカードなどの紙モノ周りに使う+SNSなどのアイコンに使うetc...色々な使われ方をしますよね。

それこそスマートフォンの画面越しで見る場合と、名刺サイズくらいのショップカードに印刷する場合と、実際に店舗の看板として大きく窓ガラスなんかに使う場合があります。

2cm角くらいのモニターのRGB表示から、2m角くらいのリアル店舗の立体サインまで、拡大縮小しても大丈夫なロゴをちゃんと作れるデザイナーってそれなりの経験と実績を積んでないと無理です。コスパ考えると、ブランドの軸になるロゴ周りのクリエイティブを10万円ケチるよりも、どこか建材や内装工事費で10万円調整した方が全然いいと思います。



5.撮影とWEBを最初にやっておく

これ忘れがちなんですけど、竣工写真&メイン商材の撮影まわり&シンプルでいいのでWEBサイト作成を最初にやっておくと後が楽です。

結局あとあとに回してもいつかは必要なので、OPEN時に揃っている方がお客さんにはリーチしやすい。何より写真のクオリティさえよければWEBのクオリティも上がるので、できれば撮影はプロに頼んだ方がいいです。

一見するとiPhoneとかでも撮れちゃうからプロに頼まなくても・・・と思ったりするんですけどね。その道で食べている人と、趣味の延長でやっている人とではやっぱり分厚い紙一重の差があるものです。

ただし、カメラマンさんによって得意不得意もありますし、それぞれの追求している世界観みたいなものがあります。太陽光の降り注ぐ明るくて全体的に白い昼間の空間と、しっとりとした影が落ちた深い表情のある夜の空間は別物ですよね?

なんでもできます!という人よりは、これが得意です!という人に得意分野の仕事をお願いするのが期待以上の成果を得るコツです。



他にもトラブルシューティングや出店前にやっておきたい事、物件探しと並行して準備できる事はたくさんあります。

ここら辺のフォローアップもしつつ、一緒にお店を作っていけるのがオーナーさんとのお店作りの好きなところです。

5月はスケジュール詰り気味なので、今お受けできるのは6月以降のお仕事になりますが、物件探しから緩く始めたい方のご相談は随時お受けしています。公式サイトの問い合わせフォームよりどうぞ。

公式サイトの作例、最近追加できていないですが連休中にはいくつか増やそうと思います。いつもやる事&やりたい事がいっぱいなのは、幸せなのか不幸なのか。。。


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