二◯二四年の春が来た〜無量寿の光に包まれて〜
花は咲く
大切な人を失った。別にとりわけ仲良しなわけでもないけれど、付き合いが長かったわけでも、たくさん言葉を交わしたわけでもない。その方の大切なご友人の方からすれば、「あんた、誰?」ってくらいの関係性だとは思うけれど、それでも僕には大切な人だった。そんな人が、会えなくなって、たったの半年くらいで逝ってしまった。
その方は、アーナンダー(うちの猫)の爪切りがものすごく上手で、うちの母親に「爪切りの先生」なんて呼ばれていたのだけれど、もう爪を切ってくれることもないのか。アーナンダーに「爪切り先生のお葬
式に行ってくるよ」と言ったら何となく悲しそうな顔をして母の顔を見ていたらしい。彼女も分かっていたのだろうか。
鹿児島の出張中に訃報を受けた僕は、気学塾を終えて福岡に戻り、翌日の葬儀へと向かった。仮住まいから一度自宅へと戻り、喪服に着替える。共通の友人とともに葬儀場に向かい、半年ぶりに再会した彼女は、まるでまだ生きているんじゃないかと思うほどに白く、小さく、可愛らしかった。人は、こんなに綺麗に死ねるのか。いや、死なんていうのは決して美化されるものではないのだろうけれど、それでもあえて「綺麗だった」と言いたい。そこには、まったく生物的な「濁り」というようなものが感じられなかった。また、遺影写真も素晴らしい笑顔で「そういえば、笑顔のイメージしかない人だったな」なんて思った。わずかに四年、しかもひと月に一回会うかどうか、さらにはその一回でも言葉を交わすのは毎回ではない。コミュニケーションを取った時間なんて、多分、百時間もないんじゃないか。だけど、そのわずかな時間を、彼女は笑顔の思い出でいっぱいにしてくれたのか。これって本当にすごいことだよな。
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