見出し画像

次世代のアウトライアー(異端児)を生むための「Humanities(人文学)」【Off Topic Ep206】

宮武徹郎と草野美木が、アメリカを中心とした最新テクノロジーやスタートアップビジネスの情報を、広く掘り下げながら紹介するポッドキャスト『Off Topic』。このnoteでは、番組のエピソードからトピックをピックアップして再構成したものをお届けする。

今回は「#206 シリコンバレーでリベラルアーツと哲学が必要な理由」から、次世代のアウトライアー(異端児)を生むための、「人文学(Humanities)」の重要性について。近年、ビジネスやエンジニアリングといったハードスキルを培う学問と比べて学生数が激減しているという人文学。そしてあり方が変容する大学。

スタートアップ業界で一般的にさけばれるのは(特にディープテック関連のハードスキルをもった)エンジニアの不足である。しかし宮武は、スタートアップエコシステムの課題は、むしろこのリベラルアーツや人文学の過小評価と縮小傾向にあるという。


人文学に価値を見出せなくなっている学生たち

1970年代、アメリカでもっとも人気の専攻科目は、語学や哲学、宗教学、社会学といった人文学に類する学問だった。しかし現在、人文学を専攻する学生の減少が顕著で、英語学と歴史を専攻する学生数は過去10年で3分の1にまで減少している。アリゾナ州立大学では語学専攻の学生数が、2012年の953人から2019年の578人と約半減。オハイオ州立大学では、人文学専攻の卒業者数が2012年から2020年にかけて46%減少している。またボストン大学では42%の減少となっている。

Chartr

リベラルアーツに特化した大学と言われるベイツカレッジでも半減し、ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校では、2018年人文系の専攻を廃止検討も行われたほどだ。ハーバード大学でさえ、各人文系学部を統合することが検討された。同大学の全体の在学生における人文系専攻の学生の割合は2022年には7%にまで減少し、2005年から2020年にかけては75%減少している。

一方で、ビジネスやエンジニアリング、コンピュータサイエンスなどに関する学問の人気は高まる一方である。例えば、アメリカの4年制大学ではコンピュータサイエンスを専攻する学生数が2017年から2022年にかけては34%増加、2011年から2021年にかけては3倍となっている。メリーランド大学では、2010年、アート・人文学系専攻とコンピュータサイエンス専攻の割合は4対1と、圧倒的に人文学の学生が多かった時代とは逆転している。

The Atlantic

変化する大学のあり方

ここから先は

2,761字 / 4画像

スタンダードプラン

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?