見出し画像

押韻詩とネルーダの引用をひとつずつ

【詩】バラのとげのことば

いつも お水をくれてありがとう
でもあなたは 変わったひと 
わたしに指先を伸ばして すっと
ちくりと わたしにやられてしまう

だれもそんなことはしないのよ
虫も 猫も 鳥も 勇者も
花がきれいだと 魅せられていても
わたしが守っているから 触れないのよ

きみはいいと あなたはつぶやく
むやみやたらと とげがまかれる
そちらのほうが よっぽど深刻
見えないくせに 怪物になる

だめよ 近づいてはいけない
わたしがよく見えるのは お役目
美しい花を咲かせて 守るため
見えないなんて 危険がわからない

ああそうだねと あなたは笑う
きみの役目は とても尊いのさ
だからいつも きみに出会う朝
言いたくなるんだ ありがとう

ぼくを思ってくれる きみが好きだよ

ありがとう

ーーーーーー

私はよく、ばらのとげにそっと触れています。ヘン?
しっかりとしたとげを見て、
「よく守ってくれているなあ」と思いますので、押韻の4行詩にしてみました。恋愛テイストなのはお家芸ということで😅

私は、ロルカやネルーダの、ことばが平明な詩も(意味はそうでなかったりもする)、ギンズバーグの「どれだけ情景を語るんじゃいやー」という長い詩も大好きです。

単純素朴な人間のオード(抜粋)

          パブロ・ネルーダ

きみが歩くように わたしも歩く
きみが食べるように わたしも食べる
きみが婚約者を抱くように わたしも恋人を抱く
わたしたちがおんなじだと わかったとき
きみの生活とわたしの生活でもって わたしは書く
きみの愛とわたしの愛でもって 書く
それから きみとわたしとは違ってゆく
古い友だちのように きみの肩に手をかけて
わたしはきみの耳に語りかけるのだから
くよくよするな われらの時代がやってくる
来たまえ わたしといっしょに来たまえ
みんなきみに似た 単純素朴な連中だ
いっしょに来たまえ くよくよするな
たとえ きみが知らなくとも
わたしが知っているんだから
わたしたちはどこへ行くか 知っているんだから

『チェ・ゲバラの遥かな旅』戸井十月(集英社文庫)より。孫引きです。

ああ、会いたい♥️

それではまた、ごひいきに。

尾方佐羽

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?