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空あります

空(から)がある。
"ないもの" が "ある" とはどういうことだろうか。

とある雑居ビルの入り口に目が止まった。
赤い文字で「空あります」と書かれている。

読み方はおそらく「から」だろう。

「から」、つまり "ないもの" が "ある" ということか?
何か哲学的なことを語りかけているのだろうか。
(後から知ったが、空は仏教的には有るも無いも両方の意味を示すそう)

空は無と有、否定と肯定の両方の意味をもつが、世間では「から、あき、むなしい」等の意味で把握され、「無」の面だけが強調される傾向にある。

https://www.otani.ac.jp/yomu_page/b_yougo/nab3mq0000000qvz.html

一見、内容が矛盾しているこの掲示。
しかしその矛盾を解消する答えはすぐそこにあった。

「あ、空室のことか…」

なんというか、あっけない答えではあった。
しかし、主語がないとか、背景がわからないとか、こういうハイコンテクストなコミュニケーションって日常的にあるよなぁと思う。

自分の中では「この表現で伝わるだろう」と推測し、言ってみたら伝わらなくて結局後から補足する。

目的語がなくて、結局「何が?」と聞き返されてしまう。

自分と相手の認知の差を考慮しないと、会話で超疲弊することになる。
そんな当たり前のことを「空あります」からあらためて意識させられた。

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