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書籍【センスメイキング 本当に重要なものを見極める力】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/B07K9JT38M

◎タイトル:センスメイキング 本当に重要なものを見極める力
◎著者:クリスチャン・マスビアウ、斎藤栄一郎(訳)
◎出版社:プレジデント社


「人間力」とは何か。勿論数値で計れるものではないが、今後ものすごく重要な指標になることは間違いない。
感覚的には、理解できる。
コンピューターやAIの進化で、今まで人間が行っていた仕事は今後ドンドンと機械が担っていく。
それでは人間は何をして生きていくのか?
いくら機械が進化しても、人間が最後まで行う仕事とは何なのだろうか?
その仕事を全うするためには、どういうスキルが必要なのだろうか。
突き詰めれば「感覚を磨け」ということになる。
機械が苦手なこの「感覚」という分野を大切にして、磨きをかけろということなのだ。
人間だけが持っているこの「感覚」という能力とは、分解するとどういうことなのだろうか。
人の気持ちに共感することも、その一つに含まれるだろう。
綺麗なものを見て「美しい」と思う気持ちも、その一つだろう。
他人を思いやる気持ちを持てることも該当するはずだ。
物事の真実を見極める力についても当てはまるかもしれない。
お金とか国家のような「概念」を、みんなで共有できることも、「感覚」と言えるかもしれない。
未来を想像するということも含まれるかもしれない。
こうして例を挙げていくと、どうしても精神世界に向かっているように感じてしまうが、本書はそういう内容ではない。
あくまでも科学技術を妄信することは避けろという意味で、感覚を磨けということを唱え続けている。(と私には感じた)
数年前に「世界のエリートはなぜ『美意識』を鍛えるのか?」(著者:山口 周 氏)

を読んだが、基本的な主張は本書も同じである。
今の時代、理論や科学だけでは色々と限界が来ているということだ。
これからの未来は、未曾有の事態が何度も何度も起こるだろう。
それを「想定外」で済ます訳にはいかないこともある。
たった一つの判断ミスで、甚大な被害に発展してしまうケースがある訳なのだが、そんな究極の判断を迫られることが、人生で頻繁に訪れるというのが、今そしてこれからの時代なのだ。
こんな未曽有の事態の前では、過去のデータやアルゴリズムはほとんど役に立たない。
そんな時でも決断できるというのは、人間だからこそだと思う。
「人間力」とは、結局「ピンチの時に決められる力」なのかもしれない。
本当の困難に直面した時に、あれこれ思考を巡らすよりも、速やかにズバッと判断できるか。
いざという時に、瞬時に正しい選択を出来るかが大事になる。
危機を脱するためには、生き残らなくてはしょうがない訳なので、理屈をこねている場合ではない。
直感・感覚を研ぎ澄まして、決意を持って判断するしかないのである。
確かに機械には出来そうもない。
その為にはSTEM(科学・技術・工学・数学)教育だけではなく、人文知系の学問(哲学・教養)こそ大事であるということなのだ。
本書では「センスメイキング」の五原則として、以下を説いている。
【1】「個人」ではなく「文化」
【2】「薄いデータ」ではなく「厚いデータ」
【3】「動物園」ではなく「サバンナ」
【4】「生産」ではなく「創造性」
【5】「GPS」ではなく「北極星」
意味は分かるが、結局は「感覚を磨いて判断しろ」ということかと思う。
それこそ山口周氏の言葉を借りれば「美意識」になるかもしれない。
これからの時代は、人間こそ持っている美意識や感覚が大事になる。
当たり前のことかもしれないが、やはり勉強するしかない。
今になって、哲学や教養、歴史を勉強するのは、意外と面白い。
新しく知る事そのものも楽しいし、こういう一面があったのだという自分自身に対しての発見もあった。
美意識が磨かれているかは甚だ疑問であるが、歳を重ねて感覚が鈍っているのは間違いない。
少しでも美意識を高めるように努力してみたいと思う。
(2024/2/16金)


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